警察庁、サイバー空間を巡る脅威の情勢を公表 仮想通貨を狙った手口が確認
メール攻撃の多様化も確認されています。
警察庁が2017年上半期における、サイバー空間をめぐる脅威の情勢等を公表しました。サイバー攻撃およびサイバー犯罪の情勢と、それらへの取り組みを説明しています(以下、警察庁の資料より引用)。
サイバー攻撃は前年に引き続き、世界的規模で発生。警察が連携事業者等から報告を受けた標的型メール攻撃は589件と、前期から1506件減少しています。とはいえ、当該メールに「Wordファイルを埋め込んだPDF」や「.wsf」など、これまで見られなかった形式の添付ファイルが確認されており、依然として注意を払う必要があります。
サイバー犯罪の情勢は相談件数が6万9977件と、前年同期比で3238件増加し過去最多に。「ネットで注文し代金を振り込んだのに商品が届かない」「身に覚えがないアダルトサイト利用料金を要求するメールが来た」「掲示板サイトに個人情報を掲載されたうえ誹謗中傷を受けた」といった事例が挙がっています。
インターネットバンキングの不正送金については、発生件数は214件(前年同期比−645件)、被害総額約5億6400万円(前年同期比−3億3300万円)とともに減少しています。個人口座の被害額が約5億1300万円もの大幅な減少を見せる一方で、電子決済サービスを使用して、仮想通貨取引所へ送金する新たな手口も発覚。これにより不正に送金された約1億400万円のうち、約6900万円の仮想通貨が取引所で凍結措置を受けたといいます。
仮想通貨に関しては、アカウントへの不正アクセスによる不正送金事犯も確認されています。認知件数は23件・被害額は約5920万円相当で、5月以降に認知件数が急増。なお、被害者23人のうち20人が、二段階認証を利用していなかったとのことで、警察は金融機関や電子決済運営管理団体、仮想通貨取引所に対し、ワンタイムパスワードの利用促進や本人確認の徹底などを要請しています。
警察庁は今後もサイバー空間における情報収集と分析を継続。インフラ事業者らとの連携や高度専門人材の育成、東京オリンピックに向けた対策を推進するといった方針を示しています。
(沓澤真二)
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