「エンターテインメントとは、エモーションを体験すること」 「アナベル 死霊人形の誕生」サンドバーグ監督流の心のえぐり方
ホラーマスターに怖いホラー映画の作り方を聞いてみました。
「ソウ」「インシディアス」で知られるジェームズ・ワン監督が実話をベースに描いたホラー映画「死霊館」。2013年に公開されると、正統派ホラーとして絶賛され、その後シリーズ作品が生み出されてきましたが、作中に登場する呪いの人形(アナベル)にフォーカスした“アナベル”シリーズ最新作「アナベル 死霊人形の誕生」の公開が10月13日に迫りました。
2014年公開の「アナベル 死霊館の人形」の前日譚に当たり、アナベル誕生の秘密に迫る一作。監督は、長編デビュー作「ライト/オフ」で脚光を浴びたデイビッド・F・サンドバーグ。ジェイムズ・ワンも「若き日の俺」と絶賛する現代ホラー映画の名手に、人気シリーズの監督を務めた心境を聞いてみました。
—— ねとらぼでのインタビューは「ライト/オフ」以来ですね。また機会をくれてどうもありがとう。あのとき、「短編を撮っているときは、『日常からいかに恐怖を生み出すか』を常に意識している」と話していたのが印象的だったけど、長編撮影の経験値が増すにつれて考えに変化はあった?
デイビッド・F・サンドバーグ(以下サンドバーグ) 奇妙なんだ。「ライト/オフ」以前に撮っていた短編は全てロケーションで撮影していて、いつも歩き回りながら物事を見つけていた。僕は、ほとんどのシーンで、撮影を進めながら(そのやり方を)見つけていくのが好きなんだけど、今作は、人形職人夫婦の屋敷が舞台で、僕らはまずセットを作り上げないとならなかったんだ。
—— 自分が何を欲しているのか最初に気付く必要があったと。
サンドバーグ そう。ただ、歩き回って物事を思い付くというのは今作も同じだった。「この場所で、僕はどんなことを怖いと感じるか? ここで起こり得ることで、どんなことが僕を怖がらせるか?」とね。僕はそういったことをするのが大好きだから。
—— 短編を撮るときは「日常からいかに恐怖を生み出すか」を常に意識していると語っていたけど、そのスタンスは今も変わらないようだね。フィルムメーカーとして自身の成長は感じている?
サンドバーグ イエス。間違いなくね。特に最初の映画では、何がうまくいって、何がうまくいかないか、ものすごく多くのことを学んだから。
僕が撮影をやる度に発見していったのは、よくあるカバレッジ(カット割)の撮影は、自分は好きじゃないということ。ワイドレンズを着けたカメラを置いて、それからこのクロースアップをやって、このクロースアップをやって……というように、全てを何度も繰り返すやり方は好きじゃない。
僕は、長いテイクだったり、何かもっと面白いことをやる方が好きなようだ。その方が役者も、何度もやらなくてすんでもっと楽しいしね。短編をやっていたときは、「カメラをここに置いて、これをやって、それからこれをやる」と言うのは簡単だった。でも、こういった映画の現場では、カメラを動かすのにもひどく時間が掛かる。照明をやり直したりもするしね。
—— 「ライト/オフ」でも感じたけど、監督は光の操り方がうまいなと思う。「アナベル 死霊人形の誕生」では特に何を学んだといえる?
サンドバーグ 現場で(演出の)やり方を見つけられることが確信めいた気持ちになったこと。それは大きな経験だった。それと、子どもたちとの仕事がいかに素晴らしいものになるかも。彼らはとてもプロフェッショナルで、素晴らしかった。
—— 現場で大事なことを見つける直感が磨かれているんだね。ホラーマスターとしての地位を確実なものにしていくあなたに、人生で最も怖いと思った体験を聞いてみたいのだけど。霊の存在には否定的だよね?
サンドバーグ そんなに怖い体験はないんだ。この前、僕の妻が夜中にトイレに行っていて、僕はそれに気付かなかった。ふと目を覚まして、当然彼女が僕の横に寝ていると思っていたら、誰かが廊下を歩いてくる音が聞こえて、本当に驚いてベッドから飛び出したんだ。僕が感じる怖い体験とはそういったばかげたことだよ。
—— かわいらしい(笑)。それもある意味“日常の恐怖”だよね。ところで、今作でタッグを組んでいるジェームズ・ワンだったり、あるいはデヴィッド・リンチのように、自らのスタイルを持つ監督がいる中、あなたのスタイルを自己分析するならどんなものだと思う?
サンドバーグ 全くそうだね。特にデヴィッド・リンチは。僕は、自分が“楽しい映画”を作っていると思いたい。シリアスなところにちょっとユーモアを加えることをいつも試みるんだ。「アナベル 死霊人形の誕生」でもリンダがアナベルの顔を狙って撃ったりするシーンがあるのだけど、「ライト/オフ」ほどではないにせよ、ちょっとした笑いを盛り込んでいるよ(笑)。
—— そうなんだ。日本だと、遊園地にはお化け屋敷が付きものだったり、恐怖をエンターテインメントとして楽しんでいるけど、恐怖とエンターテインメントの関係についてはどう思う?
サンドバーグ エンターテインメントとは、“エモーションを体験すること”だと僕は思う。そして、ホラーは、とても強いエモーションを与えるもの。だから人々はそういったものが好きなんだ。それをたくさん感じることで、自分が生きていると感じるからね。
—— なるほど。「死霊館」シリーズは次回作「ザ・ナン(原題)」の2018年公開も決まるなど、作品のユニバースがどんどん広がっているけれど、あなたは今後もシリーズに関わっていく考え?
サンドバーグ 今は何もその予定はないよ。僕にとっては、「アナベル 死霊人形の誕生」がそのユニバースへの入り口で、そこには他の監督たちがいるんだ。「ザ・ナン」のコーリン・ハーディとかね。でも、今後何が起きるかは分からないよ(笑)。
—— 期待したい。最後に、「アナベル 死霊人形の誕生」の公開を待つファンに向けて一言。
サンドバーグ 今作にはもちろん人形(アナベル)も出てくるのだけど、僕は「ユー・アー・マイ・サンシャイン」という歌があるのを気に入っているんだ。ふとしたとき、人形を見たり、歌を聞いたら、「アナベル」を思い出すんだ。僕はそういうやり方で人々を破壊するのは好きだよ(笑)。この映画が人々の心に残るといいね。
—— 「ユー・アー・マイ・サンシャイン」は美しい曲なのに。
サンドバーグ そうだね。でも今そのイメージは破壊されただろ(笑)?
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