右も左も田中宏和さん 87人の田中宏和さん同士が名刺交換する「田中宏和運動2017」がすごすぎた
「田中宏和」って、全国にありふれていそうで、そうでもなさそうな、絶妙な名前ですよね。
「田中宏和運動」をご存じだろうか。「田中宏和」の名を持つ人を集める活動で、なんと23年も前から行われている。田中宏和さんを同じ場所に集め、ギネス記録にも挑戦するイベントが2011年以来、6年ぶりに開催された。
前回は71人の田中宏和さんが一堂に会したものの、それを大きく上回る「マーサ・スチュアート同姓同名164人の集まり」というアメリカ人女性たちの記録があったことが判明。惜しくも記録達成できなかった。今回は、その記録更新も狙っているというが果たしてどうなるのだろうか?
会場は渋谷の「東京カルチャーカルチャー」。受付では、来場した田中宏和さんには番号の書かれたゼッケンが配られる。初参加の田中宏和さんには、それに加えてどんな田中宏和さんであるか、パーソナルデータのアンケートも行う。田中宏和さんの家族や友人、まったく関係ない一般客の観覧も可能だ。イベント開始の30分前には、既に場内が田中宏和さんで溢れる盛況ぶり。
イベントの開始を今かいまかと待つ田中宏和さんたちの熱気が最高潮に達すると、満を持してこの会の発起人「ほぼ幹事」の田中宏和さんが登壇。すると場内から雄々しい歓声とフラッシュが一斉にたかれる。まずは、渋谷区長も駆け付け乾杯。
乾杯を終えると、ほぼ幹事の田中宏和さんから「田中宏和運動」についての歴史が語られる。
この活動が始まったのは1994年の秋。その年のプロ野球ドラフト会議で、近鉄バファローズから1位指名を受けた田中宏和投手の存在を知ったことがきっかけで始まったのだそう。そして翌年1月には、立て続けに文芸読本で作家・田中宏和を発見する。
さらに1996年には、その名前が意外な問題を引き起こす。ほぼ幹事の田中宏和さんが、車購入のため銀行から融資を受けようとしたところ審査が通らなかったのだ。その理由が、生年月日が同じの同姓同名の人物の借金によるものだった。その時、ほぼ幹事の田中宏和さんはこう思ったという。
「この日本に後どれだけの田中宏和がいるかと思うと恐ろしい。他の田中宏和のためにもまっとうに生きよう」
それから1997年には、会社の先輩の子どもの友人に田中宏和がいると打ち明けられる。1998年には、ポケットモンスター(ポケモン)の大ヒット。なんと作曲を手掛けていたのが田中宏和だった。以降、「ズームイン朝に出ていましたね」と通報を受けたり、長野の豪商田中本家博物館の館長が田中宏和だったりと徐々に増えていく。
ネット時代に突入した2003年、「ほぼ日刊イトイ新聞」で紹介されたのを機にメディアでの紹介数が増え、新たな田中宏和の情報が増加していく。同年中には、一番会いやすそうな「渋谷の田中宏和さん」と対面し、2004年には朝日新聞の土曜版「be」の企画で、先の2人に加え「ポケモン作曲者の田中宏和さん」と「田中宏和3人集会」が実現した。こうして、20年以上の活動を経て現在の全国大会へと規模が拡大していったのである。
このイベント開催前の時点で、ほぼ幹事の田中宏和さんは117人の田中宏和さんと面会しており、その117人目は、生後6カ月の田中宏和ちゃんであった。ほぼ幹事の田中宏和さんは、その時の気持ちを「自分の子供が生まれた時のようにうれしかった」と語り、大勢の田中宏和さんの心を和ませた。
この会の歴史が語られた後は、新しい田中宏和さんのあだ名つけコーナーへと移る。先ほどから何度か出てきた「ほぼ幹事」や「渋谷」「作曲者」など、田中宏和さんの前についているのがあだ名である。初参加の田中宏和さんがおのおの登壇し、ほぼ幹事の田中宏和さんとトークをしながらテンポよくあだ名をつけていく。
ほぼ幹事 「初めまして、田中宏和です」
新人 「初めまして、田中宏和です」
ほぼ幹事 「ご出身はどちらですか?」
新人 「香川県です」
ほぼ幹事 「ご職業は?」
新人 「医師です」
ほぼ幹事 「じゃあ、ドクターの田中宏和さんで、みなさんどうですか?」
会場から拍手が起こり、あだ名が決定する。出身地や職業がかぶる場合はさらに話を進め、いいキーワードが出れば大体はすぐに決まる。初参加で最高齢、75歳の田中宏和さんは、ここまで来るのに乗った新幹線が初体験だったという理由で、新幹線の田中宏和さんに決定した。
全ての新しい田中宏和さんのあだ名が決定すると、次はいよいよ、ギネス記録への挑戦へと移る。途中で駆け付けた田中宏和さんも含め、正確な数の集計に入る。
そして結果は……87人。残念ながら記録更新ならず。
けれども新たに増えた田中宏和さんは20人で、合計は137人となった。記録まではあと、30人弱である。考えてみれば、アメリカ合衆国の人口は約3億人。人口比率の上では圧倒的に上回っているのではないだろうかとも思う。今回は世界記録達成とはいかなかったが、田中宏和同士のきずなをより一層深めるテーマ曲「田中宏和の歌」を87人全員で歌うことに。
3番までしっかりと歌いあげると、全てのプログラムがここで終了。あとは時間の許す限り田中宏和さん同士の懇親会となる。いったん集まった田中宏和さんが再び散り散りになり、入り乱れていく。
筆者も何人か田中宏和さんと話してみた。まずは、物販を担当していたレコード会社勤務の田中宏和さん。53歳、大分県出身。2006年、5人の田中宏和さんが集まった第4回田中宏和集会から参加する古参の田中宏和さんだ。田中宏和運動のプロモーションビデオの作成を手掛けているらしい。そして、司法修習生の田中宏和さん。北海道出身の25歳。ほぼ幹事の田中宏和さんの友人の娘の大学時代の友人としてつながり、今回が初参加。前々から参加したかったが、司法試験に合格を機に参加を決意した。
次に話しかけたのは、京都府出身・司法書士の田中宏和さん。以前からこの会の存在は知っていたが、周囲から参加を促し続けられるうちに使命感に目覚め初参加したとのこと。
名古屋のアパレル企業で企画営業に携わる田中宏和さんは岐阜出身の39歳。なんと、前日にイベント開催を友人に知らされて急きょ参加したらしい。交換した名刺をみれば、自分と同じ名前ばかりで奇妙に感じるけれども、いろんな人生を疑似体験している感覚だと教えてくれた。
そして、溶接屋として働く田中宏和さんは大阪府出身の44歳。8年前に興味本位で自分の名をインターネットで検索し、この会の存在を知る。以前、大阪の会に参加しており、今回が2回目となる。
今回、北は北海道・函館、南は鹿児島から駆け付け、年齢は15〜75歳までと個性豊かな面々がそろいました。手にした田中宏和さんの名刺を数えれば、十数枚に
ほぼ幹事の田中宏和さんは、イベントの最後に「ばかばかしいことかもしれないが、人間がちょっとしたことで仲良くなれることを証明してるんじゃないかと思います。今回はギネス記録達成とならなかったが、次は2020年に記録達成を目指します」と再会を誓った。日本全国に多くの仲間がいて、テーマ曲もある。テレビにも注目される。田中宏和という名前に歴史を作ったこの活動は今後も、ますます広がっていくに違いない。「田中宏和」というありふれた名前が、どんな個性的な名前より輝いて見える。
(伊佐治龍 /LOCOMO&COMO)
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「素晴らしいトリビュート」「ありがとう、田中さん、岩田さん」など世界中からメッセージが。
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