批判殺到の「Star Wars バトルフロント II」ゲーム内課金を一時停止 背景にディズニーの関与か

課金プレイヤーが有利になる点が公平性に欠けるとして批判を集めていた。

» 2017年11月20日 21時20分 公開
[Taijiro YamanakaAUTOMATON]
AUTOMATON


「Star Wars バトルフロント II」ゲーム内課金を一時停止した背景にディズニーの関与か。クレートの仕組みにも介入の噂

 Electronic Arts(以下、EA)は11月17日の「Star Wars バトルフロント II」の発売に合わせて、ゲーム内課金要素を一時的にゲームから取り下げた。本作ではキャラクターを強化できるスターカードなどをクレート(ルートボックス)から入手可能で、そのクレートはゲーム内課金で入手できるクリスタル(もしくはゲーム内クレジット)を消費することで開けることができる。そのため、より多くのお金を払ったプレイヤーがマルチプレイで有利になるPay-to-Winに繋がるとの指摘を受けていた。開発元のDICEは発売前に一定の対策を講じたものの、それでも止まないコミュニティからの批判から最終的に一時停止に追い込まれた形だ。DICEは、不公平を生む可能性のある仕組みだったことを率直に認めて謝罪している(関連記事)。

 今回の発表ではコミュニティからの声に耳を傾けた結果であることを強調していたが、その舞台裏では別の大きな力も働いていたのかもしれない。経済紙Wall Street Journalでディズニーなどを担当しているBen Fritz氏は関係者の話として、ディズニーの重役が事前にEAにコンタクトを取っていたと報じている。



 同紙によると、本作が大きな批判にさらされていたことはディズニー会長兼CEOのRobert Iger氏の耳にも入っていたそうで、担当幹部のJimmy Pitaro氏を通じてEAに懸念を伝えたという。そして、その直後に今回のゲーム内課金の取り下げが発表された。ディズニーは2012年にLucasfilm(ルーカスフィルム)を買収したことから「スター・ウォーズ」の権利を保有しており、本作においては権利者としてEAにライセンスしている立場にある。

 ディズニーはもちろん、本作に限らずスター・ウォーズ関連商品には監修などで関わっているはずだが、今回のようなゲームデザインやサービスの部分にまで普段から関与しているのかどうかは分からない。ただ、同社は映画「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」の公開を12月15日に控えている。この大事な時期に同じブランドがインターネット上で非難を浴び続けていることは、映画の最新作をプロモーションする上で好ましい状況ではないだろう。報道が事実であれば、トップ直々のお達しということからディズニーは事態を重く見ていたことがうかがえ、EAとしては早急に対応せざるを得なかったのかもしれない。

「Star Wars バトルフロント II」ゲーム内課金を一時停止した背景にディズニーの関与か。クレートの仕組みにも介入の噂

 「Star Wars バトルフロント II」へのディズニーの関与としては別の報道も出てきている。テック系業界誌VentureBeatは本作の開発過程を知る関係者の話として、今回いったん取り下げられたゲーム内課金要素に結びついているクレートの仕様に対して、ディズニーが注文を付けていたと報じている。前述したように、現状クレートからはキャラクターを強化するアイテムが入手できる。しかしDICEは、もともとはキャラクターのコスチュームなどコスメティックアイテムを入手するものとしてクレートをデザインしていたという。

 何かと批判されることの多いルートボックスだが、「Overwatch」などのようにコスメティクス要素に限定することでコミュニティに受け入れられている例もあり、DICEも同様の仕組みを考えていたようだ。しかし、これはディズニーからの要請で実装が見送られ現在の形になったという(強化アイテムが入手できる今の仕様もディズニーの要望だったかどうかは不明)。また、もともとは分隊ベースのチームワークを生かしたゲームプレイがメインだったそうだが、これもディズニーからのリクエストにより変更されたとしている(分隊は一部ゲームモードでは採用されている)。

「Star Wars バトルフロント II」ゲーム内課金を一時停止した背景にディズニーの関与か。クレートの仕組みにも介入の噂

 「ルートボックスを導入するならコスメティクス要素に限定すべき」という意見はルートボックスに関する議論の中でよく目にすることができ、実際に成功例もあることからDICEがそれに倣ったとしても不思議ではない。スター・ウォーズの映画内では、同じキャラクターでも場面によってさまざまな衣装で登場するため、そういったコスチュームに変更できるとなればファンにはたまらない要素だろう。この報道が真実ならば、ディズニーがなぜこの形式を受け入れなかったのかという謎が深まる。

 ディズニーとしては、スター・ウォーズの世界観やキャラクターのイメージを守ることが第一であるはず。場面にそぐわない衣装でもプレイできることをディズニーが望まなかった可能性も考えられるが、先日Redditでファンからの質問に答えたDICEは、開発においてはディズニーから多くの自由が与えられているとコメント。同時に、現在は存在しないカスタマイズ要素の導入は優先項目のひとつとして日々検討中だとしていた(関連記事)。本作の発売には間に合わなかったが、キャラクターカスタマイズそのものについてはディズニーは拒否しているわけではないようだ。一方で、前出のWall Street Journalの報道では、キャラクターのアンロックコストの高さが批判されていたことがディズニーにとっての懸念材料のひとつだったとしている(関連記事)。スター・ウォーズのキャラクターを使ったマネタイズ(あるいはそれに準ずる仕組み)には細心の注意を払っていることがうかがえるが、どちらが現在の仕組みを主導したのかはともかく、フランチャイズに傷をつける結果になってしまった。

 EA/DICEは今回取り下げたゲーム内課金要素について、コミュニティの意見を聞き、しかるべき変更を施したのちに再開するとしている。ディズニーが本作にどのように関与したのかは、クリスタルの販売再開にあたってゲームがどのように変化するのか、また将来の導入が見込まれるカスタマイズ要素の仕組みからうかがい知ることになるだろう。

関連記事

「ウィッチャー3」越えを狙うRPG「Cyberpunk 2077」。ゲーム内課金モデルを懸念する声に、強欲にはならないと開発元が約束

「スカイリム」など複数のニンテンドースイッチ向け3D移植ゲームに高評価が集まる。海外メディアが重視する要素とは

「ドラゴンクエストXI」×「Unreal Engine 4」、Epic Games河崎氏がスクエニに訊く(前編)

Copyright (C) AUTOMATON. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  2. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/25/news043.jpg 娘の給食の献立表を見たら…… 正体不明の“謎の料理名”が「これはわからんw」と話題に その意外な正体に納得!
  5. /nl/articles/2404/25/news129.jpg プロ野球チップスでまた“不良品”流出 伊藤大海「176m」表記に続き…… カルビー謝罪「深くお詫び」
  6. /nl/articles/2404/24/news018.jpg 1年半ケージに引きこもっていたシャーシャー猫が、ある夜布団に入ってきて…… 感涙の行動に「まるで別猫」「こんな日が来るなんて」
  7. /nl/articles/2404/24/news017.jpg メルカリで300円の紙モノセットを買ってみたら…… 出品者のあたたかな心遣いに「利益は考えていないんでしょうね」「見ててわくわくします」
  8. /nl/articles/2404/23/news185.jpg 子どもに高級キーボードのパーツを捨てられた → 公式の“先読みしすぎた対応”が話題「そういうこともあろうかと」
  9. /nl/articles/2401/18/news015.jpg 巨大深海魚のぶっとい毒針に刺され5時間後、体がとんでもないことに…… 衝撃の経過報告に「死なないで」
  10. /nl/articles/2404/22/news124.jpg ダイソー「マルチ万能ほうき」が家事ラクの救世主 名前負け知らずの便利さに「これやばっ!!」「220円に驚き」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」