ニュース
» 2018年02月04日 12時10分 公開

結局“絶滅危惧種”ウナギは食べていいのか 水産庁と日本自然保護協会に聞いてみた(2/2 ページ)

[コンタケねとらぼ]
前のページへ 1|2       

―― 消費者が購入を控えることに意味はありますか、それとも気にせず購入した方が良いですか。

水産庁:あまり意味はないと思います。ニホンウナギの個体数が減少してきているのは間違いありませんが、現時点ではその要因が特定されていません。減少の原因の可能性としてあげられているものに、海洋環境の変動、生息環境の悪化、過剰な漁獲の3つがありますが、原因が過剰な漁獲以外であった場合、仮に禁漁にしても個体数は増えません。

 また、禁漁にすれば養殖業者の多くは事業を続けられなくなるため、ウナギの食文化自体が消えてしまいます。水産物は持続的に利用してくことが重要なため、原因が特定できていない状態で消費者が購入を控える必要はないでしょう。

日本自然保護協会:意味があると思います。個体数減少の要因が所説あり現状でははっきりしていません。複合的にいくつもの要因がからんでいると思います。NACS-Jでは、個体数減少の原因の1つと考えられる、生息環境である日本の河川の状況を調査する「自然しらべ」を実施しました。結果は多くの堰(せき:水をせき止める目的で河川や湖沼などに設けられる構造物)が、ウナギの遡上阻害となる高さ40センチ以上あり、ウナギ目線でみるととても良いとはいえない現状が見えてきました。

 はっきりとした原因が分からない今は、予防原則にたって、ウナギの保全を最優先で考える必要があります。ウナギにかかわる業者の皆さんにはきついかもしれませんが土用の丑だから食べるという程度なら、わざわざ食べるということはしない方がよいとは思います。


ウナギ 絶滅危惧種 食べていいの 日本自然保護協会が実施した自然しらべ

―― 2018年は特に不漁とのことですが、この状態が続いた場合食卓から消える可能性もありえますか。

水産庁:ありえます。ただ、2018年は、例年になく際立った不漁というわけではありません。まず、ウナギは年によって漁獲量に大きな差があり、安定しない水産物です。また、前年同期比1%という数字についてですが、これは2017年が非常に特殊だったことを考慮する必要があります。

 通常ニホンウナギの漁獲のピークは1月〜2月にかけてですが、2017年は12月〜1月がピークで、2月ごろにはもうあまり捕れなくなっていました。つまり、例年になく早い時期に捕れた2017年の1月と通常の不漁の範囲内の2018年の1月、両極端に振れた時期同士を比べているため、前年同期比1%という数字が出ています。また、2018年はこれから多く捕れる可能性もあります。資源自体が減っているとと今年1年間の不漁は、切り分けて考える必要があるでしょう。

日本自然保護協会:ありえます。日本の食卓にのぼるウナギは、シラスウナギを獲って生簀で養殖したものがほとんどです。今後シラスウナギが黄ウナギとなっていく年数、さらには産卵できる銀ウナギになるまでの年数、この状況が続けばそうなる可能性が高いと思います。


ウナギ 絶滅危惧種 食べていいの 食べられなくなる可能性は否定できないようです

―― ニホンウナギは絶滅危惧種に指定されていますが、そもそも絶滅危惧種は食べてもいいものなのでしょうか。

水産庁:大丈夫です。「絶滅危惧種」はIUCN(国際自然保護連合)が定めているものであり、特に法的な拘束力はありません。

日本自然保護協会:「絶滅危惧種」として評価されただけでは法的な拘束力はありませんが、絶滅危惧種のレベルによります。個体群が消滅する危険が高いとされている絶滅危惧種は当然食べてはいけませんし、科学的な検討の上で「種の保存法」という別の国内法や、「ワシントン条約」という国際法で規制されることがあります。ウナギは個体群の減少率から絶滅危惧種にしていされていますが、現時点では直ちに絶滅するものとは考えられていません。きちんとした、個体数の把握と持続可能なシステムが構築されているのなら食べてもいいと思います。

 ただ、残念ながら、資源管理も個体数の把握もきちんとされているとはいえないのが実態なので、早急にシステムを確立するべきです。絶滅危惧種のランクについてはIUCNのサイトをご覧ください。


ウナギ 絶滅危惧種 食べていいの IUCNのレッドリストについて

―― 禁漁措置を取るような動きはありますか。また、禁漁にしても数が増えるとは限りませんか。

水産庁:原因がはっきりとしないことには禁漁措置は取れません。また、原因が漁獲によるものでなければ、禁漁としても数が増えるとは限りません。もしも個体数の減少の原因が過剰な漁獲によるものであれば禁漁となる可能性もありえますが、食卓に並ぶような水産物が禁漁になることは極めて珍しいことです。

日本自然保護協会:今のところ禁漁という動きはないと思います。はっきりとした減少要因が分からない以上、禁漁しても他の減少要因が解決されない限り数が増えるとは言い切れないのが現状です。

 ただし、今後さらに数が減り個体群を維持することが困難な数となれば、あくまでも科学的なデータに基づいての判断ですが、禁漁ではなく「種の保存法」による保護増殖の対象になり、捕ることや流通させることが法的に禁止になります。

―― ウナギは海外でも普通に食されているのでしょうか。

水産庁:水産庁では詳しいデータを持ち合わせていません。日本食ブームにより需要が増えているとは聞きます。

日本自然保護協会:中国やヨーロッパなどでウナギを食べる文化がありますが、日本の丑の日ほど一般的なものではないようです。また、北スペインではシラスウナギを食べ、ポーランドでは親ウナギを利用するなど、ウナギの食べ方などの文化の多様性もあるようです。ウナギの捕獲数の減少から年々消費量は減り続けています。

―― 「絶滅しそうなのだから各団体はもっと厳しく声を上げるべき」といったような声をネットで見かけますが、水産庁(日本自然保護協会)として何かコメントはありますか。

水産庁:池入れ量の管理や密漁の取り締まりなど、やるべきことはやっていきます。2018年の不漁については、専門家の間では潮の流れが原因と推察されているので仕方のないところがあります。1年の不漁だけを見て慌ててどうにかというのは、勇み足になりかねません。

日本自然保護協会:今回の当協会の調査結果を公表した際に、政策提言をしようと考えています。少なくともきちんとした個体数把握のための調査や、資源管理の仕組みが不可欠です。また、これまでニホンウナギについて記事を掲載しています。こちらもご参照ください(ウナギの稚魚、半分近くが違法取引によるものウナギ、今年は豊漁? 食べていいの?)。

 また、参考資料として、ウナギについて考える「うなぎ未来会議2016」というものが2016年に開催され、そのレポートがまとまっています。ニホンウナギをIUCNレッドリストで評価したときの専門家らが開催し、まとめたものです。




 予想外に意見が分かれてしまいましたが、「直ちに絶滅するというものではない」「ただし不漁が続けば食卓から消える可能性はある」という点で水産庁と日本自然保護協会の意見は一致していました。購入を控えるかどうか個々人の判断によりますが、土用丑の日だからとこだわる時代ではないのかもしれません。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2402/26/news043.jpg 生後1カ月赤ちゃん、ママが3時間抱っこで限界→バウンサーに座らせた瞬間 “激おこ”な表情に「かわいい」「ママ頑張りましたね」
  2. /nl/articles/2402/26/news040.jpg 1歳弟を寝かしつける4歳姉、2人の会話が「可愛すぎて泣ける」 “小さなお母さん”の活躍に「いつまでも仲良しでいてね」
  3. /nl/articles/2402/25/news065.jpg 「ほんと愛でしかない」「心から尊敬します」 “6男7女の大家族”うるしやま家のスーパーママ、“15人分のお弁当作り”が神業レベルで称賛の声
  4. /nl/articles/2402/25/news021.jpg 10人目妊娠中の妻、出張に行く夫から突然「疲れた時は冷凍庫を開けて」とLINEがとどき…… 優しいサプライズが140万再生
  5. /nl/articles/2402/26/news110.jpg 永野芽郁、ドラマ役作りで減量していた ミラノでの1枚に「足ほっそい!」「スタイルよすぎ」の声集まる
  6. /nl/articles/2402/25/news014.jpg 母が帰宅したと思って出迎えた猫、ふと顔をあげたら…… 想定外の事態へのリアクションに「いいねを一万個ぐらいあげたい」
  7. /nl/articles/2402/26/news122.jpg 石田ひかり、2人の娘たちが海外へ旅立ちしんみり 子どもの乗る飛行機を「朝まで追跡しておりました」
  8. /nl/articles/2402/26/news125.jpg 「時差投稿」宣言の北斗晶、ブログ写真をよく見てみると……? 白物家電の英語ボタンで示唆「円安だし」
  9. /nl/articles/2402/26/news049.jpg 着古したセーターがリメークで冬に大活躍の日用雑貨に超変身! 古着の意外な再活用が「とても懐かしい気持ちに」と話題に
  10. /nl/articles/2402/25/news007.jpg 【漫画】「愛犬の老いに直面した話」に「泣きました」「まさに同じ気持ち」と8万いいね 家族の老いと喪失に向き合う話に涙
先週の総合アクセスTOP10
  1. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  2. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  3. 宿題する8歳娘と、邪魔しつづける猫を1年記録したら…… 490万再生の愛がつまったやりとりに「最強の名コンビ」
  4. 真田広之の俳優息子、母の手塚理美がエール「彼なりに頑張ってる」 両親ゆずりのルックスに「イケメン」「男前」の声
  5. 野生の鯉を稚魚から育て4年後、判明した事実に飼い主「僕は今まで何を…」 激変した姿に「爆笑してしまいました」
  6. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  7. 食用でもらった車エビ、4歳息子に「育てたい」と懇願され…… 水槽で飼育した貴重な記録に「可愛い姿見せてくれてありがとう」
  8. 2歳娘とパパ、愛と平和しかないやりとりに「100億年分のストレスが消滅した」 涙が出るほど幸せな会話に称賛の声
  9. 3歳双子姉妹、17歳お姉ちゃんを修学旅行で見送ったら…… 寂しくて号泣する様子に「もらい泣きです」「愛されてますね」
  10. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「天までとどけ」長女役、芸能界の「負の連鎖」訴え 主演俳優の“お誘い”拒否し「他の演者やスタッフからも無視」「本当の事なんか誰も話さない」
  2. 田代まさし、南部虎弾さん通夜で“一団”に絡まれる騒動へ……にらみ合いの末に「ちょっと来い」「止めろよお前」
  3. 妊娠中の英俳優、授賞式での“金太郎”ドレスが賛否両論 「半裸の妊婦なんて見てられない」「ホットなママ」
  4. 「変わんないもん俺のと」 所ジョージ、ホンダ軽を超速カスタムで高級外車と“まったく同じ”外見に 「朝から楽しいよ」「完璧!」
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 「意識もうろう」「何も食べられない」 すい臓がんステージ4の森永卓郎、痩せた顔出しで“最悪の時期”告白 息子は「『死ぬ』が冗談に聞こえなかった」
  7. 授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後…… 「時間止まってる?」と驚愕の声がやまない父子の姿が870万再生
  8. 65歳マドンナ、ワールドツアー中のダンスが“おばあちゃん”だと視聴者衝撃 「もうやめなよ」「こんなふうに終わりを迎えるなんて」
  9. 人気ブロガー医師が4年の闘病の末に42歳で逝去 夫が伝える「素敵な女性がいたということを皆様の心に残していただければ」
  10. 能登半島地震により海底が“隆起”→すさまじい様子を収めた写真に「自然の脅威を感じる」