レビュー
» 2018年02月14日 12時00分 公開

4Dで見る「劇場版名探偵コナン 純黒の悪夢」 最高のアクションを最高の空間で体験してきた

コナンこそ4D系で見るべき。

[将来の終わりねとらぼ]

 劇場版名探偵コナン「純黒の悪夢(ナイトメア)」が2月10日より、4D系シアターにて限定公開されている。揺れる座席に吹き付ける風、水しぶきや香りが一体となり、ひと味違った映画体験を楽しめるこのシステム。最新作「ゼロの執行人」公開を再来月に控え、名探偵コナン史上最高のスペクタクル・アクションが再びシアターに帰ってきた。


4D系に最適な「コナン」というコンテンツ

 これまでMX4Dや4DXといえば、基本的にはハリウッドスタジオのビッグ・バジェット作品に用いられることが多く、邦画では「劇場版ガールズ&パンツァー」や「シン・ゴジラ」といった一部の成功作を除き、どうもその実力を最大限発揮できる作品が少ない印象がある。

 やはりこの手の臨場体験型システムには「マッドマックス 怒りのデスロード」のようなゴリゴリのカーアクション、「パシフィック・リム」にみられるロボットと怪獣の手に汗握る殴り合い、「ワイルドスピード ICE BREAK」の圧倒的な爆破アクションといった「いかにも」な特色が必要になってしまう。

 そしてこれらの全てを満たすのが「純黒の悪夢」である。確かに「カーアクション」「殴り合い」「爆破」を最高レベルで体現している邦画といえば、間違いなく「コナン」をおいてほかにない。むしろなぜこれまで4D系上映がなかったことに疑問を抱かなかったのか……。

花火に爆破、水しぶき……“アクション全振り”に応える演出

 さて、本作「純黒の悪夢」。「あの方」の正体発表が記憶に新しいシリーズだが、黒の組織総出演に加え、人気キャラクター赤井秀一・安室透が主軸に据えられたこともあり、長らく30〜40億円にとどまっていた劇場版シリーズの興行成績を一気に60億円以上までぶちあげた記念碑的作品だ。

 本日分の首都圏シアター日中座席は予約開始と同時にほぼ即完。TOHOシネマズ新宿0時過ぎ終了の回に足を運んだが、空席は片手で数えるほど。いかに座席数が限られているとはいえ、本作の人気の高さがうかがえる。限定公開に合わせ、TOHOシネマズ新宿の物販には一部グッズが再び並べられていた。



 荷物を預け劇場へ入ると、渡された特典は江戸川コナン、安室透(降谷零名義)のサイン入りポストカード。降谷零のサインって何……?

 予告編を挟み、冒頭のカーアクションに応じ震える座席にどよめきが起こる。実際にエンジンがかかるようなこの感覚は何度体験しても見事の一言。

 しかし本作を語るうえで絶対に外せないのは、観覧車上の安室と赤井の格闘アクションだ。夜風吹きすさぶ観覧車の輪の上、スクリーン外に併設されたライトを花火の色に合わせて点灯させることで、「おまえらこんなとこで何やってんだよ」感がマシマシで若干笑えてしまう。たぶん君たちポアロで2時間くらい気取った会話抜きで話し合えば和解できるよ……してほしくないけど……。

 そしてもはやコナン映画おなじみとなった舞台となる新施設、つまり「ああ今回はこれが爆破されるのか」というこちら(驚くことに爆破されないのだが)、なんと水族館と併設されている。

 「瞳の中の暗殺者」の名シーンを例に出すまでもなく、コナン映画では水が重要なファクターとして使用されることが少なくなく、それに合わせて客席に吹き付ける水しぶき。崩壊する観覧車と揺れる座席、安室に殴られ赤井に撃たれ、いや見れば見るほど4DX向きだな……と思っている間にあっという間の1時間50分。ミステリー要素をほぼ捨て、アクションに振り切った本作と4DXの相性はバツグンだった。



新規映像で深まる安室の謎

 さて、事前告知されていたように本作には新規映像が含まれる。本編終了後、安室がホテルの一室でつぶやく「恐ろしい男ですよ、あの少年は」の言葉。

 これは本編FILE:852(コミックス81巻収録「赤井秀一の消息」)にてバーボンとしての彼がベルモットに告げていたものと同一だ。原作のこの時点では「ベルツリー急行シリーズ」(コミックス78巻収録)以降コナンになんらかの驚異と秘密を感じていた安室だが、その後「緋色シリーズ」(コミックス84-85巻収録)、ならびに本作を通じて彼はコナンに一定の信頼を置くようになったふうに描かれていた。

 しかしこのセリフを再び使ったことで、再び彼の裏は読めなくなる。これが誰かに対してかけられた言葉なのか、独り言なのかは映像からは確認が難しかったが、もし前者であれば安室が敬語を使って応対するキャラクターは限られる。そしてそれがベルモットではなく、かつコナンの存在を認知している相手、となると……。こうしてその真意をいまだ隠したまま、物語は「ゼロの執行人」へと続く。

 コナンは「異次元の狙撃手(スナイパー)」においてある人物の正体を原作の連載より先に明かすといった仕組みを使ったように、劇場版本編と長期連載原作が綿密に連動している珍しい作品だ。またTVアニメ版でも866話「裏切りのステージ(前編)」にてネクストコナンズヒント後に赤井と安室がそろって声で登場、「観覧車以来ですね」と本作のネタをぶちこんでくるなど遊び心も満載。

読売テレビさん、なにとぞお願いいたします

 次回作「ゼロの執行人」は再び安室透を主軸に据え、原作でいまだ明らかにされていない黒の組織のナンバー2・ラムを再びフィーチャーした作品となると思われる。脚本は本作や「業火の向日葵」「絶海の探偵」同様、TVドラマ「相棒」シリーズ屈指の名作「ボーダーライン」で知られる櫻井武晴。予告編から察するに本作に引けをとらないカーチェイス、そして爆破が期待できそうだ。4DXでの上映をぜひ期待したい。

 あと「天国へのカウントダウン」のツインタワー爆破+大ジャンプ、「14番目の標的(ターゲット)」の倒壊するアクアクリスタル、「ベイカー街(ストリート)の亡霊」の爆走機関車、「ルパンVSコナン」冒頭のスケボーアクション、「11人目のストライカー(Striker)」の連続爆破も4DXで、いやむしろもう一度スクリーンで見られるだけでもいいのですが、読売テレビさん、お願いできませんか。なにとぞ、なにとぞよろしくお願いいたします。

将来の終わり

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