クリップ、誕生100年で初めて「軽く開けるように」改良 なぜこのタイミング? 「固いのが不便という自覚なかった」
固定概念を覆す、世界初の改良――開発したプラスに取材した。
「なぜ今まで気付かなかったんだ」「盲点だった」――誕生から100年以上たつ文房具「ダブルクリップ」から、世界で初めて“開く力を軽減した新機構”が登場し、ネットで驚きの声を集めている。3月1日にプラスが発売する新商品「エアかる」だ。なぜ固定概念を打ち壊す構造が開発できたのか、プラス広報部に取材した。
ダブルクリップは銀のレバーを使って「てこの原理」で本体のクリップを開き、書類を挟む文房具。アメリカ人のルイス・エドウイン・バルツレーさんが発明し、1915年に米国で特許登録して以降、日本を含めて世界で広く製造販売されてきた。
一方で「開くのに力が必要」「加減を間違えてパチンと弾け飛ぶときがある」など、“開くときの固さ”という難点を抱えていた。持ち手の形などちょっとしたマイナーチェンジは繰り返されてきたが、基本的な構造はほとんど変わらず“固さ”もそのままになっていた。
しかしプラスの「エアかる」では、従来品に比べて開く力を最大約50%削減(※)しながら、挟む力はそのままという構造の開発に成功。本体のクリップ部分に突起を作り、支点の位置を作用点(挟む部分)に近づけ、さらにレバーをより長くして力点(手を置く位置)と支点の距離を長くし、「てこの原理」がより効果的に働くように。軽い力でクリップが開けるようになった。
プラスでもダブルクリップ製品は60年前から販売していたが、特に「開くときの固さ」に着目した商品は開発してこなかった。しかも「エアかる」は着想から発売までわずか1年と短く、開発が無理難題だったわけではなさそうだ。どうしてこのタイミングで「開くときの固さ」を改良することになったのか。プラス広報部は次のように話す。
「現在、一般のオフィスでは書類の保管スペースが減少しており、書類を長期ではなく一時的に保管する傾向にシフトしてきています。それに伴い手軽に書類をまとめるダブルクリップの需要が拡大していたので、従来のダブルクリップに何かご不便、ご不満はないかあらためてユーザー調査を行ったところ、クリップを開く時の固さと指の痛さに対してのご不満がありました。そうした不満を解決できる製品を開発したいというところがきっかけとなりました」
クリップの固さについて長年気付けなかったのはなぜなのか。
「これまで特にお客様からクレームをいただくこともなかったため、不便だという自覚がありませんでした。もともと従来のダブルクリップが『手軽に挟んでまとめて手軽に外せる』機能として完成度が高かったため、そうした利便性が『固い』という潜在的な不満よりも勝っていたのだと思います。だからこそ他社製も含め、100年以上その形状が大きく変わることなく多くの方に利用されてきたと考えております」
その知名度や汎用性の裏側で、業界でも消費者でも不便さが常識になっていたダブルクリップの固さ。自社調査をきっかけにそこをうまくすくい取ったプラスには、「既存の考えにとらわれていた」「握力が弱いのでこれは普通にうれしい」とネットで感心や称賛の声が寄せられている。
「エアかる」は全国の文具店、量販店、ネット通販等で販売予定。サイズは大・中・小の3タイプ、各10個入りで希望小売価格は大450円、中350円、小300円(いずれも税別)となっている。
(黒木貴啓)
関連記事
- 「謎のアート」「血管みたい」 東京メトロ路線図を高低差まで表現したガチャ、なぜ生まれたか
バンダイの東京メトロの路線図カプセルトイが話題に。開発経緯を取材しました。 - カップアイスを縦にスパッ! 斬新すぎる“半分こ”に「目からウロコ」の声
YouTuberのヒカキンさんもやっていました。 - みかんをカプセルトイ容器で運ぶライフハックが秀逸 ただし容器がわずかに溶けるので洗うか交換を
潰れることなくみかんを運べて便利ですが、提案者自ら実験したところ、皮の成分でカプセルが少し溶けたので注意が必要とのことです。 - ほぼ全て切断されていた ゴッホ「耳切り事件」について128年越しの新事実
図書館員「ゴッホの人生史を変えるレベルの発見」 - 昆虫が集まるコンビニを調べた中学生の自由研究 ネットの反響受け三重県総合博物館での再展示が決定
コンビニによってどうして昆虫の集まる量が違うのか――中学1年生の研究がTwitterで話題に。 - 靴の上からはく靴下 お気に入りの靴を雨から守る「Rain Socks」がナイスな発想
クラウドファンディングで人気です。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
-
ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
-
柄本佑、「光る君へ」最終回の“短期間減量”に身内も震える……驚きのビフォアフに「2日後にあった君は別人」「ふつーできねぇ」
-
“プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
-
100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
-
「品数が凄い!!」 平愛梨、4児に作った晩ご飯に称賛 7品目のメニューに「豪華」「いつもすごいなぁ」【2024年の弁当・料理まとめ】
-
「秋山さん本人がされています」 “光る君へ”で秋山竜次演じる実資の“書”に意外な事実 感動の大河“最終回シーン”に反響 「実資の字と……」書道家が明かす
-
「私は何でも編める」と気付いた女性がグレーの毛糸を編んでいくと…… 「かっけぇ」「信じられない」驚きの完成品に200万いいね【海外】
-
鮮魚コーナーで半額だった「ウチワエビ」を水槽に入れてみた結果 → 想像を超える光景に反響「見たことない!」「すげえ」
-
セリアのふきんに、糸で“ある模様”を縫っていくと…… 思わずため息がもれる完成形に「美しい」「やってみます」
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
- 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
- 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
- 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
- セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」