【検証】緑間真太郎のシュートはなぜ相手の心を折るのか?【黒子のバスケ】
東大生が物理学で計算してみる。
皆さんは『黒子のバスケ』というマンガをご存じですか? パスが信じられないくらい上手な黒子くんがバスケットボールをする激アツなマンガです。筆者は原作、EXTRA GAME、小説版を全部持っていて愛読しています。
『黒子のバスケ』は激アツなジャンプ漫画なので、激アツなライバル達が登場します。「キセキの世代」と名付けられた黒子くんの中学時代のチームメイトなのですが、まぁ強い。オンリーワンでナンバーワンの才能を持ったそのライバル5人も魅力的なマンガです。
そのキセキの世代の中に1人、超高校級では済まない、「マンガみたいな」才能を披露しているキャラクターがいます。それが緑間真太郎。
緑間真太郎という男
ポジションはSG(シューティングガード)で、彼の主な仕事は「遠くからシュートを打つこと」。バスケットボールにはスリーポイントラインより後方からシュートをし、それが決まれば2点ではなく3点を与えるというルールがあります。彼はそれを狙うのが仕事です。
その狙い方がとんでもないのが緑間真太郎。彼の決めゼリフはこうです。
「誰がそんな手前だと言ったのだよ。俺のシュートレンジはコート全てだ」
彼はコートの自陣エンドラインからシュートを打ってゴールできるのです。それも邪魔されなければ百発百中。
彼のシュートにはもう1つ特徴があります。それは「超高弾道」であるということ。正確無比なそのシュートは上空高くに打ち出され、長い滞空時間を経てリングに触れることなく突き刺さるようにゴールに入ります。
リングに触れないシュートの条件
彼のシュートの秘密を探るべく、少し計算してみました。
リングにボールが当たらない角度でエンドラインからシュートする、という条件で計算します。エンドラインからゴールリングまではおよそ26.3 m。ゴールリングの直径はボールの直径の約2倍ですのでリングに当たらずにゴールできるシュートの打ち出し角の条件は30度以上です。(正確にはボールの直径が24.5 cm、リングの直径が45 cmなので33度以上)
打ち出し角30度で26.3 m先のゴールに入れるためには、初速17.3 m/sで打ち出す必要があります。時速にすると62.1 km/h。そのときのボールの高さは3.80 mで、打ってからゴールに届くまで1.8秒かかります。
さらに、同じ17.3 m/sという初速で打ち出すなら、角度を60度にしてもちょうど26.3 m先のゴールにぴったり入ります。ボールの高さはなんと11.4 m。滞空時間は3.0秒です。こちらの方が、より緑間のシュートのイメージに合致しますね。
まとめ:滞空時間の差が生むもの
バスケットボールには、攻撃中3秒以上ゴール下の制限区域にいてはならないというルールがあります。つまり、バスケットボールにおいて3秒はとても長い時間だということ。シュートを打ってからこれだけの時間があれば、自分のチームが守備に戻るだけの充分な余裕を確保できます。
緑間はシュートを打った後すぐに後ろを向いて自陣へ守備に戻ります。自分のシュートは絶対に外れない。相手の攻撃は余裕を持って防ぐ。守備に戻る時間を作り出すために、同じ力で打てるなら緑間はより高弾道のシュートを選択しているのではないかと推察できます。
相手チームにとって、緑間にシュートを打たれたときの絶望感がお分かりいただけたでしょうか。「絶対に決められる」+「長い滞空時間による守備固め」。これでは相手チームは心を折られてしまっても仕方ないと言えるでしょう。
【追記】3月7日15時16分:画像の誤りがあったため、修正いたしました。
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