コラム
» 2018年04月27日 11時00分 公開

欧米人のミドルネームはどうやって付けている?

日本にはない風習。

[QuizKnock,ねとらぼ]

 外国の人名は日本人にとって非常に分かりづらいことが多いですね。西洋だと姓名の順が逆になっていたり、やたらと長かったり、途中にただの通称が挟まれて呼ばれていたり……。

 競技クイズの世界では「東洋人はフルネームを、それ以外はファミリーネーム(名字)を答えられれば正解」というルールになっていることが多いですが、問題を作ったりしていると「この人はどこからどこまでがファミリーネームなのか」とよく悩まされます。

 身近な外国人名の謎の代表格として、「欧米の人名についているミドルネーム」があると思います。

 そもそも西洋人の名前は、ざっくりといえば「ファーストネーム・ミドルネーム・ファミリーネーム」の順になっており、「拓司・編集長・伊沢」みたいな感じになっています。あれは一体、どういう仕組みなのでしょうか。


カトリックの慣習・モーツァルトの例

 ミドルネームは、もともとキリスト教のカトリックにおける洗礼に関係するものです。時代や地域、宗派などによってさまざまなルールがあるようですが、基本的に誕生日と関連がある偉大な聖人や、信心深い親戚・知人の名前をとって付けられます

 例えば、作曲家モーツァルトは、よく「ウォルフガング・アマデウス・モーツァルト」が本名として紹介されていますが、これは本来の洗礼名を少し変形したものです。洗礼名はこちらです。(画像参照)


「ウォルフガングス」がファーストネームにあたるというのが通説です

 カトリックでは生まれたばかりの赤ちゃんに洗礼を施す慣例があります。モーツァルトも、生まれてすぐに洗礼名を授かりましたので、本来はこれが本名と言うべきかもしれません。

 ところで、有名な「アマデウス」という名前は、洗礼名に含まれていません。一体どこから来ているのでしょうか。

 実は、「アマデウス」は洗礼名の中にあるギリシャ語由来の「テオフィルス」をラテン語に言い換えたもので、後になって同様の意味だと知ったモーツァルト本人が、語呂の良い通称として使ったようです。


宗派による違い

 「カトリック」の洗礼名の例としてモーツァルトを紹介しました。洗礼名が長かったり、本名に洗礼名の一部が挟まるなどしてミドルネームとなることが多いようですが、パターンはさまざまで、一概にはいえないようです。

 それだけでなく、プロテスタントや正教会といった別の宗派では、同じキリスト教であっても慣習が異なります。実は「欧米人」というまとめ方はかなり大ざっぱなんです。

 例えば、正教会ではカトリックの洗礼名と同様に「聖名(せいな)」を授かるのに対し、プロテスタントではふつう「洗礼名」は付けず、本名で洗礼を受けて入信します。


現代の慣習・ケネディの例

 こうしたキリスト教の慣習が残ってミドルネームがついている人もいれば、宗教と関係なくミドルネームがついている人もいます。

 例えば、かつてのアメリカ大統領のジョン・F・ケネディの“F”は「フィッツジェラルド」の略で、ケネディの母、ローズ・フィッツジェラルドの名字に由来します。

2018年4月27日11時53分 追記:記事初出時、「ジョン・F・ケネディはプロテスタントなので洗礼名はないはずですが」との表記がありましたが、ケネディはカトリックであり、誤った記述でした。お詫びして訂正いたします。

 ケネディの家系を図にするとこのような具合です。



 また、ジョン・F・ケネディの弟、ロバート・F・ケネディの“F”は、母方の祖父ジョン・フランシス・フィッツジェラルドの「フランシス」です。

 このように、宗教と関係なくミドルネームが付けられる例が、現代では多くなっています。

 ミドルネームを付ける理由を調べましたが、「父方・母方の両方の名字を留めたい」「ミドルネームがあることで同姓同名の人物と区別しやすくなる」などさまざまで、これといった決まりはないようです。こうしたことを気にしない家系は、父母どちらかの名字のみを継ぎ、ミドルネームを付けていないこともあります。


おわりに

 ミドルネームは、もともとは宗教との関わりが深かったものの、現代ではその色は薄れてきているようです。

 その他にも、ハンガリー人の名前が日本人と同じ「姓・名」の順だったり、レベッカ→ベッキーなど多くの短縮形があったり……と、個々の事例ごとにややこしいことになっています。

 やはり名前はその人の個性。簡単にくくることはできませんね……。

参考文献

聖光学院管弦楽団|コラム(278)モーツァルトとアマデウス

西川尚生『作曲家◎人と作品 モーツァルト』音楽之友社、2005

ジェームズ・M・バーンズ著、下島連訳『ジョン・ケネディ −その生いたちと政治的横顔ー』日本外政学会、1960


制作協力

QuizKnock


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2108/03/news132.jpg 海外記者「最高のコンビニアイスを発見した」 森永チョコモナカジャンボ、ついに世界に見つかってしまう
  2. /nl/articles/2108/03/news016.jpg 柴犬「ぬれるのイヤ〜!!」→その後の行動に爆笑 飼い主のズボンでゴシゴシ顔をふくワンコが面白かわいい
  3. /nl/articles/2108/03/news073.jpg 「四千頭身」石橋、体操銅メダルの村上茉愛とは“かなり仲良い友達” 「結構前の写真」投稿も別箇所に注目集まる
  4. /nl/articles/2108/02/news119.jpg タクシー相手に「あおり運転」繰り広げたミニバン 巻き込まれて急停止したトラックから泥化した土砂がドシャアと降り注いで破壊される
  5. /nl/articles/2108/03/news029.jpg もしや女として見られていない? 突然の別れ話に「勝負メイク」で抵抗する漫画 彼氏の言葉がじんと響く
  6. /nl/articles/2107/09/news134.jpg 「全ての支出を一度見直してみました」 小倉優子、“食費15万円”の反響を受けて節約生活スタート
  7. /nl/articles/2108/03/news007.jpg 暑い日、ミツバチご一行が手水舎に訪れ…… 専用水飲み処を作った神社の対応に「素敵」「優しいお宮さん」の声
  8. /nl/articles/2108/02/news111.jpg 「うちの子に着せたい」の声殺到 五輪会場で編み物をしていた英金メダリスト、作っていたのは「ワンちゃんの服」
  9. /nl/articles/2108/02/news038.jpg 「実は私…人の心が読めるの」クラスメイトから突然の告白、その真意は? 全部バレちゃう漫画がキュンとなる
  10. /nl/articles/2108/03/news102.jpg 小倉優子、週刊誌報道に「当たり前ですが、私の働いたお金で生活しています」 7月に月の食費「15万円」と公表

先週の総合アクセスTOP10

  1. 「くたばれ」「消えろ」 卓球・水谷隼、SNSに届いた中傷DM公開&警告「然るべき措置を取ります」
  2. 「貴さん憲さんごめん。いや、ありがとう」 渡辺満里奈、とんねるずとの“仮面ノリダー”思い出ショットが大反響
  3. 怖い話を持ち寄って涼もう→「オタバレ」「リボ払い」 何かがズレてる怪談漫画がそれはそれで恐ろしい
  4. おにぎりパッケージに四苦八苦していた五輪レポーター「日本の素晴らしい人々に感謝」 大量アドバイスで見事攻略
  5. 「助けてください」 来日五輪レポーター、おにぎりパッケージに四苦八苦 海外メディアにコンビニが大人気
  6. 「うちの子に着せたい」の声殺到 五輪会場で編み物をしていた英金メダリスト、作っていたのは「ワンちゃんの服」
  7. 五輪飛び込み金メダリスト、“手作りメダルポーチ”披露 英国と日本にちなんだデザインが「これまた金メダル級」と反響
  8. 武井壮、行方不明だった闘病中の父親を発見 「電気ついてるのに鍵閉まってて……」本人は自宅外で休憩
  9. 「涙が止まらない」「やっと一区切り」 東原亜希、夫・井上康生の監督退任で“17年分の思い”あふれる
  10. 水谷隼スタッフが一部マスコミの“行き過ぎた取材”に警告 住民を脅かすアポなし行為に「しかるべき措置を検討」

先月の総合アクセスTOP10

  1. 「竜とそばかすの姫」レビュー 危険すぎるメッセージと脚本の致命的な欠陥
  2. 笠井アナ、日比谷公園で「信じられないことが…」 サンドイッチを狙う集団に「何? えーっ! まさか、それはないでしょ!」
  3. 62歳の宮崎美子、マクドナルドCMで初々しい中学生少女を見事に演じる 「暖かい目でぜひ見てください」
  4. 瀕死のスズメのヒナを助けたのに…… 「助けたヒナたちに完全にナメられた」動画がほほえましくて面白い
  5. ハート打ち抜かれました! コロンビアのアーチェリー女子選手が「かわいい」「エルフ」と注目の的に
  6. 散歩中のラブラドール、助けを求める子猫を発見→保護 親子のような仲むつまじいふたりに涙が出る
  7. 宮迫博之、美容整形から2週間のビフォーアフター公開 手術直後の腫れ&炎症だらけな顔に「暴漢に遭ったんかって」
  8. 上野樹里、“娘”の誕生日に愛情たっぷり手作りオムライス公開 「がんばろうね ママより」と祝福メッセージ
  9. 出勤時、妻にいつになく強く抱きしめられた夫→妻が家に帰ってくると…… 何気ない日常を描いた漫画にツッコミつつもジーンとする
  10. 「本人にしか見えない」「めっちゃ似てる」 霜降り明星せいや、オリンピック開会式に“ガチのそっくりさん”を発見する