彼氏はコミケの女性向けブースで売り子できるか問題 「ヲタクに恋は難しい」3話(1/2 ページ)

【ネタバレあり】リミッター外れるからね、コミケは。

» 2018年04月27日 01時25分 公開
[たまごまごねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

ヲタクに恋は難しい (C)ふじた/一迅社

 趣味人には「好き」がたくさんある。それが足を引っ張ることもあれば、人とつながるきっかけにもなる。

 アニメ放送中のマンガ「ヲタクに恋は難しい」は、好きなものがある人間たちの、恋なのかなんなのかわからないモヤっとした感情を描いたラブコメディー。ヲタクのみならず、いろんな若い人の背中を押してくれます。


ヲタクに恋は難しい

「進捗いかがですか」

 コミケパートは、ヲタクライフあるあるのオンパレード。特に女性ヲタクで本を出している側を、マンガではメインに描いています。

 BL同人作家の桃瀬成海。普段は擬態してヲタクを隠していますが、幼馴染の二藤宏嵩にはバレバレ。気を使わなくていい相手同士、ということで付き合うことになった二人だからこそ、コミケ前になったら相手の動向はよくわかるもんです。


画像 こういうのは経験者じゃないとわからないですね(1巻)

 「進捗」という単語は、コミケ前の同人作家にとっては恐怖の言葉。本どのくらいまで描き進んでいますか? 間に合うんですか? 間に合わないのなら落とし(本が出せないこと)ますか、それとも完成させるためにスケジュールを組み直しますか?

 大抵の場合は「なんとか完成させる」をチョイスするのですが、そうなると「誰かに手伝ってもらわないといけない」「徹夜確定」と、ハードコアな生活が始まります。もっと早くからなんとかしておけば、というのはそうなんだけども。

ヲタクはコミケでエナジーを吸収する

 そんなにきついなら出さなきゃいいじゃん、と言われたら、そうなんだ実際。でもね、成海が体中からエネルギーを吸収している様子を見て欲しい。


画像 コミケには心からの笑顔を感動があります(1巻)

 コミケは過酷な場所です、ましてや作家側は今までの疲労も緊張もあって、体力ゲージは真っ赤です。けれども、精神ゲージはもりもりたまって元気いっぱいになります。

 自分が作ったものを人に読んでもらえる。好きなものを共有できる相手が、価値を感じてくれる。こんな幸せなことはない。

 ネットでいつも見ている作家さんに出会える。直接「大好きです」と言える。生きていく力、みなぎります。

 彼女がイキイキしているのに対して、宏嵩が嫉妬するのは、まだ付き合い始めたばかりだからこそのシーン。もっとも、即売会での時間がすぎるにつれて、彼も成海の幸せをフォローする側に回り始めます。


画像 神か(1巻)

 成海が同人誌を買いに行けなかったと嘆いていたとき、売り子を変わって彼女を買いに行かせる宏嵩。男前すぎる……ここ女性向けBLブースなのに、やりおる……。このページを見るとアホっぽいけど、宏嵩のセリフはキラッキラに輝いてありがたみ感じるのは、コミケ参加経験ある人ならわかるはず。

 コミケでの二人の、どのくらいまで踏み込んでいいか、どこからは手を差し伸べられるか、自分の好きなものをどこまでさらけ出せるかの距離感は、宏嵩の家のゲーム会での会話につながっていきます。

あいつは男だし私は女だ

 頻繁に一緒に飲みに行っている二人。彼氏彼女というよりは、今まで通り「何でも話せる友人」のままのようです。

 ところがある日、飲みに行く場所として宏嵩が「じゃあ俺んちね」と言ったからさあ大変。成海がとっさに考えたのは今日の下着でした。

 社会人同士の恋愛だけれども、全く性的な方向に思いが行っていなかった二人。お互いが「ヲタクとしての共有」ができることを最優先にして「付き合う」という線引をしたのだとしたら、性的な仲が「いや」なんじゃなくて「今がちょうどいいから、それは後回し」くらいだったのかも。


画像 とっさの瞬間に下着の色を思い出す女、成海(1巻)

 でも一度意識してしまうと、もう止まらない。ここからは成海視点でのドギマギタイムが始まります。

 男女恋人同士が二人で家にいるってことは何が起きてもおかしくない。ってか幼馴染だからって「そんな気も度胸もない」なんて甘すぎるにも程がある気もしますが。

 取りあえずここは成海の勘違いで、未遂でした。それどころか、宏嵩は同僚の樺倉太郎小柳花子(どちらもヲタク友達)を家に呼ぶ有様。ああっ、夜戦回避

 かくして宏嵩ハウスはゲーム大会と化しました。手を出されても出されなくても落ち着かない。成海は行き場のないイライラに襲われます。

 ところが友達が全然いなかった宏嵩が「こんなに賑やかにゲームするの初めてだから 今 すごい楽しい」と告白したときは、さすがに成海も涙。宏嵩は、何から何まで不器用なんです。そこがかわいくない?

「好き」のはじまり

 成海はマイペースなところや不器用な部分を含めて、なんでも話せて聞いてくれて、引かない宏嵩に好意を抱いています。彼女は「いつのまにか仲よくなってた」と言っていました。

 しかし、今回のゲームお泊まり会で、いつのまにかじゃなかったことが明らかに。


画像 片方がだけが覚えていたっていう、やっちまったパターン(1巻)

 幼少期、宏嵩は成海に話しかけられて、バトルえんぴつ的なやつを交換していました。そのときから、彼は成海に好意を持ち始めていた。宏嵩はしっかり覚えていて、当時のグッズを大事に保管していました。成海は、全然覚えてないし、グッズもどこにやったか覚えていない。

 宏嵩「成海は俺と違って 友達も趣味も昔から多かったし 大事なものがほかにもたくさんあったんだから 覚えてなくても仕方ないよ」

 成海の「好き」は、人間に対しても、趣味に対しても、同じに見える。だからちょっとモヤッとするけど、「仕方ない」ですませている。支えてあげたいなとも感じている。これが、コミケ回での彼の嫉妬と、手伝いにつながるんでしょう。

 それを知った成海。「宏嵩にだけは飾ったり我慢したりしたくないし してほしくもないの!」「なのに仕方ないって諦められると 寂しいっていうか 悔しいじゃん」


画像 きたこれ(1巻)

 フェアとかフェアじゃないとか、悔しいとかどうとかはわからないけれども。「ヲタク趣味」の好き嫌いを隠さずオープンにするのと同じで、人間関係の好き嫌いもオープンでありたい。仕方ないって言い合いたくない。

 ここでのはじめてのキスは、性格的にも趣味的にも自分を明かし、本当の意味で二人が恋愛に踏み出す一歩になる、はず。……さてニヤニヤする準備はできたぞー。


       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/16/news016.jpg 結婚式で乾杯音頭をとる3歳息子、口癖になるほど練習して…… 大好きなおじのために頑張る姿が580万再生「天才!」「可愛い過ぎて涙出ました」
  2. /nl/articles/2404/15/news025.jpg 悪さばかりする猫に小型カメラを装着→映像を確認してみたら…… 衝撃の光景に「ヤバい最高」「こういうの見たかった」
  3. /nl/articles/2404/16/news014.jpg 築54年団地の狭いキッチン、洗った食器はどこに置く? プチプラ&すっきり片付くアイデアに「私の理想!」「そのセンスが欲しい」
  4. /nl/articles/2404/16/news015.jpg 8歳娘が描いた“志村けん”に「うますぎてびっっっっくり」「間違いなく天才」と絶賛の嵐 才能あふれるペンさばきが128万再生
  5. /nl/articles/2404/16/news006.jpg 元野良猫たちの家の庭に野良猫が現れた→ガラスを隔てた熱い攻防戦が…… それぞれの反応と予想外のオチに爆笑
  6. /nl/articles/2404/15/news081.jpg 【今日の計算】「13+8×2−11」を計算せよ
  7. /nl/articles/2404/15/news156.jpg 豊田章男会長、マクドナルド「ハッピーセット」のおもちゃに大喜び→「天下のトヨタ会長がハッピーセットって」「ほんとお茶目で好き」と話題
  8. /nl/articles/2404/16/news033.jpg 小麦粉を変えてクッキーを作ってみたら…… 5種類の焼き比べが100万表示「こんなに変わるのねぇ〜〜〜」「みんな違ってみんな良い!」
  9. /nl/articles/2404/15/news132.jpg 「仮面ライダーゼロワン」出演俳優、脳梗塞の後遺症続き活動休止 「右半身の麻痺が回復せずこの度の決断に」
  10. /nl/articles/2404/03/news161.jpg 橋爪淳、大河ドラマ出演終了で「大腸に5センチ程のガン」公表 “病院嫌い”だったと明かし「命を繋いで頂きました」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」