えぇ!? 「ローカル私鉄が新幹線の高架線を走ってる!」 もうすぐ終了「福井の珍現象」を楽しむ:月刊乗り鉄話題(2018年5月版)(2/3 ページ)
福井名物「普通の鉄道と路面電車の直通運転」の体験も!
えちぜん鉄道ではもう1つ面白い体験ができます。
えちぜん鉄道は、福井県にあるもう1つのローカル鉄道、福井鉄道と直通運転しています。福井鉄道は福井の市街地では路面電車として、商工会議所前路面電車停留場以降は鉄道路線で越前武生駅まで達する路線です。ほとんどの区間がJR北陸本線と併走しており、JRは都市間輸送、福井鉄道は地域輸送の役割を担っています。
福井鉄道の北側の起点田原町駅は、えちぜん鉄道三国芦原線の田原町駅と接続しています。しかし異なる鉄道会社であり、路面電車と普通鉄道では車両の規格も異なるために、これまで線路はつながっていませんでした。そこで、田原町駅を改修し、線路をつないで直通運転を可能とする計画が立てられました。
工事は2013年に開始。双方が直通運転対応のLRT(Light Rail Transit:軽量軌道交通)車両を投入して、2016年3月に直通運転が始まったのです。普通の鉄道と路面電車の直通運転はとても珍しいことです。こちらも、福井へ訪れたならばぜひ体験してみてくださいね。
えちぜん鉄道には「アテンダントさん」がいる!
えちぜん鉄道は、福井県福井市の福井駅と福井県勝山市の勝山駅を結ぶ勝山永平寺線と、福井市の福井口駅と坂井市の三国港駅を結ぶ三国芦原線を運行しています。生活路線でもあり、観光にも便利な路線です。勝山市は恐竜の化石が発掘されたことで世界的に知られているところ。また、三国港駅は観光名所「東尋坊」の最寄り駅です。三国港駅から東尋坊へはバスで5分ほどで行けます。
この2路線は2001年まで京福電気鉄道が運行していました。しかし、2000年と2001年に電車同士の正面衝突事故を起こし、国から運行停止を命じられました。その後京福電鉄は鉄道を廃止し、バスへ転換する方針を打ち出します。しかしバス転換となれば、並行する道路の渋滞を招き、通学や通院などの沿線利用者の困難、それをサポートする家族の負担なども大きくなると予想されました。そこで、福井県と沿線の自治体が出資する第三セクターの鉄道会社として「えちぜん鉄道」が発足し、2003年から運行を再開したのです。
このとき、ワンマン運転の電車で乗客をサポートするための「アテンダント(女性乗客員)」が導入されました。コストや人員削減が叫ばれがちなローカル鉄道で、車掌に準じたアテンダント職の採用は珍しく、大きな注目を集めました。
えちぜん鉄道のアテンダントさんによる体験記「ローカル線ガールズ」は、彼女らの体験のほか、えちぜん鉄道の発足の経緯、地域と鉄道の在り方なども論じた内容で、“ビジネス書”としてかなり売れました。その後、鉄道で働く女性の手記が「○○ガールズ」として幾つか刊行されましたが、その礎となった1冊です。
なおこの「ローカル線ガールズ」は映画化も決定。横澤夏子さん主演で「ローカル線ガールズ 〜私、故郷に帰ってきました〜」として2018年秋に公開予定です。楽しみですね。
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