米国の「Yaoiでお尻ペンペン」ブームはなぜ終わったのか いろいろな意味で人類には早過ぎた「やおいパドル」

「Yuri」バージョンなども登場するほど人気だったのに、なぜ。

» 2018年05月24日 11時00分 公開
[ねとらぼ]

 「やおいパドル(Yaoi paddle)」なるものをご存じでしょうか。いえ、日本には知らない人の方が多いでしょう。

 米国で誕生したオタク向けアイテムで、その名の通り、「Yaoi」と書かれた短いパドル(ボートをこぐかい)。同国のアニメイベントなどで人気を博し、どういうわけか、これで他人のお尻をたたき合う謎のオタク文化が広まっていたのです。……ツッコミどころが多過ぎるような気もしますが、一体これ何なんです?


eBayで販売されているやおいパドル。出品者によれば、「Hen Da Ne」社による公式の製品は販売停止状態になっているとのこと


「Yaoi」の文字はブレード(本来は水をかくのに使う部分)にあしらわれています。ちなみに、ブレード両面には「ハードコアサイド」「ソフトコアサイド」とも書かれていますが、これは性能差を表したものではなく、強くたたくときは「ハード」の面、優しくたたくときは裏側の「ソフト」の面、と使い分けるようです。要するに気持ちの問題(eBayより)

米国のアニメファンの間で起こった“Yaoiでお尻ペンペンブーム”

 やおいパドルは2000年代前半に米国のアニメイベント「Otakon」で登場。その後、考案者の手を離れて大量生産されるようになったといわれています。ちなみに、「やおい」が男性同士の恋愛を描いたマンガなどのジャンルを指すことは、海外でも知られています。おそらく言葉の意味を正しく理解した人たちが面白がって購入し、広まっていたのでしょう。


「SEME」「UKE」「YURI」とあしらわれたバージョンも存在。2000年代中盤ごろには、なかなかの人気ぶりだったそうです(海外の掲示板より)

 しかし、YouTube上の動画でやおいパドルの使用シーンを見てみると、やおい要素はほとんど感じられません。コスプレイヤーなどがお互いの性別やキャラクター設定とは無関係に、ちょっと恥ずかしそうに他人のお尻をペチペチしてみたり、フライパンを構えたコスプレイヤーとチャンバラごっこをしてみたりと、むしろ自由なスタイルで楽しまれていたようです。

 一応、パドルでお尻をたたく理由に関しては、米国の学校でかつてパドルを使った体罰が一般的に行われていたことなどから説明できるかもしれません。ですが、「なぜそのパドルに『Yaoi』と書こうと思ったのか」「なぜこんな攻めたアイテムが売れたのか」「お尻をたたかれた人たちは、どうしてあんなに屈託のない笑顔なのか」と疑問点を挙げていくとキリがないため、もう“海外のお友達が作り出した、よく分からないけど楽しそうな謎文化”と割り切った方が良さそうです。考えるな、やおいパドルはハートで感じるものなんだよ!


許可を取ってから……


ペチペチ。画像では分かりにくいですが、かなり優しくたたいています




こちらの方は、ハードなフルスイング派

動画が取得できませんでした

やおいパドル VS フライパン ファイッ!


どうやらフライパン側の方が優勢のもよう


「なぜパドルで尻をたたいて遊ぶのか」という問題のヒントになりそうなのは、「That's a Paddling」というネットスラング。アニメ「ザ・シンプソンズ」に由来する言葉で、理不尽だったり、イラッときたりする出来事をちゃかすのに使われます。例:お前の話って、Wikipediaに載ってる情報ばっかりだよな。ザッツ・パドリング(画像はネタ画像用ジェネレーターより)

いろいろな意味で人類には早過ぎた「やおいパドル」

 残念なことに……と思うかどうかは人それぞれですが、やおいパドルのブームは長続きせず、現在は下火になっているようです(※)。その原因はおそらく、相手の気持ちを考えずに、勝手にお尻をたたく人が現れてしまったこと。海外の掲示板などでは「見知らぬ人に突然、お尻を思いっきりたたかれた。その人は謝りもせず、笑っていた」というような被害報告が散見され、イベントへの持ち込み禁止を求める声も書き込まれていました。

※ ブーム盛衰の判断には主観的な側面もあり、はっきりしたことは分からないが、筆者が調べた限り、2010年代前半には人気が低迷していたようだ


「悪名高いやおいパドルに新しいルールを課すべきか」と題されたスレッド。木製であることから、人をたたくのは野球のバット同様に危険だと主張されています

 つまり、やおいパドルブームが短命に終わったのは、アイテムとして問題があったからではなく、マナーをわきまえずに使ってしまう一部の人たちがトラブルを起こしてしまったからだと考えられます。このことを象徴するかのように、販売元であった「Hen Da Ne」はTwitter上に次のような言葉を残しています。

Ah, yaoi paddles. Originally a good idea, but it's like giving kids lighters and expecting them not to be burned(ああ、やおいパドルね。初めは良いアイデアだったけど、あれは子どもにライターを渡して、物を燃やさないことを期待するようなものだった)」

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