「レーザー」と「ビーム」は何が違うのか?

そもそもどんなものなのか?

» 2018年06月09日 10時30分 公開
[QuizKnockねとらぼ]

 SFを見ているとしばしば登場する攻撃手段、それがレーザー、あるいは、ビーム

 レーザーキャノンやビームライフルとして、聞いたことがあるのではないでしょうか。そしてどちらも連想するのは、なんらかの光線が出る銃です。もしかして、レーザーもビームも同じものなのか? それらは一体どんなものなのか?


レーザーとビーム

 実は、ビーム(beam)は光線や、エネルギー、その他見えないものの線を表す英単語です。

 一方のレーザーは、LASERとつづり、L:Light、A:Amplification、S:Stimulated、E:Emission、R:Radiationの頭文字をとって名付けられた言葉です。直訳すると「輻射(ふくしゃ)の誘導放出による光の増幅」です。

 輻射は一点から周りへ光を出すことなので、レーザーというのは光を出す方法を誘導放出に限定したものなんですね。光がまっすぐ出ることがビームだったことを思い出すと、レーザーはビームの種類の1つといえるでしょう。特別なビーム=レーザーということですね。



では、レーザーとは何なのか

 さて、レーザーとビームの関係も分かったので、ここからはレーザーが何ものかというお話を。レーザーの日本語訳に含まれた「誘導放出」というのがキーワードです。

電子は段階的に元気になる性格

 この世の物質は電子と原子核からできています。電子はいろんな出来事で元気になったり落ち着いたりします。例えば、光が当たったときに電子は光からエネルギーをもらって元気な状態になります。これを励起状態といいます。

 その励起状態というのは「徐々に元気になっていく」のではなく「段階的」である、というのが今回のポイントです! 超サイヤ人、超サイヤ人2、のように段階があって、その中間(超サイヤ人1.5)がありません。光に1段階励起させるだけのエネルギーがなければ電子は励起できない、ということです。



 逆に、電子が元気な状態から落ち着いた状態に戻るとき、徐々に戻るのではなく、段差を飛び降りるように一気に戻ります。そのときに余ったエネルギーを光として出し、これが誘導放出です。



誘導放出は何が良いの?

 そうやって光を出すのはいいとして、何がうれしいんだ? 普通の光とは何が違うの?

 それは、この方法で光を出すと、光の色を1色に絞ることができるのです!

 電子の励起エネルギー(落ち着き状態と元気状態のエネルギーの差)は物質によって決まっています。つまり、元気な状態から落ち着いた状態に戻るときは、毎回必ず同じ量のエネルギーを出すということです。



光の色とエネルギーの関係

 さらに、光はエネルギーに応じて色が決まっています。光の色を決めるのは波長です(700nmなら赤、350nmなら紫のように)。波長が決まると周波数が決まるのですが、周波数はエネルギーで決まります。

 「エネルギーに応じて周波数が決まる」という関係を見いだしたのは、かの有名なアインシュタインです。彼は「光は粒のようにエネルギーを運ぶ」という光量子仮説を唱え、光電効果(金属に光を当てると対応したエネルギーの電子が飛び出す)を説明し、ノーベル賞を受賞しました(マックス・プランクが少し早く別の理論の中で光のエネルギーの受け渡しは周波数×定数の形で説明されると述べており、その定数はプランク定数と呼ばれている)。


左:アインシュタイン、右:プランク

 さて、いつでも1色だけの光を生み出せるというのがレーザーの偉いところです。ブランコで同じタイミングで背中を押したときのように、1色だけの光を集めるとどんどん強めることができます。これがLASERのLAの部分(光の増幅)です。

 強めた光は、遠くまで届いたりまっすぐ進んだりできるので便利だというわけです。


まとめ

 ビームのなかでもレーザーが特別な光であることが分かりました。だからといってどちらが強いということはないようです。

 一方で、レーザーの特別性に着目すると、量子力学に触れることができました。アインシュタインのすごさにもあらためて気付かされましたね。

 ちなみに、レーザーは、出力の低いものでも、直視すると失明の危険性があります。家電量販店などにも、レーザーポインターなどが売っており、会社や学校で扱う機会も多いと思います。ご使用の際には、説明書をしっかりと読み、取り扱いには十分注意してくださいね。

制作協力

QuizKnock


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2408/31/news036.jpg 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほどの変貌が379万表示「そこだけボッ!ってw」 半年後の現在について聞いた
  2. /nl/articles/2408/30/news121.jpg 「地獄絵図」「えぐすぎやろ……」 静岡・焼津市の地下歩道が冠水 “信じられない光景”にネットあぜん
  3. /nl/articles/2408/31/news073.jpg 「よくこんなものが……」 米不足でメルカリに米出品→疑問の声も 運営は“禁止出品物”に「然るべき対応」
  4. /nl/articles/2408/31/news025.jpg 次男に塩対応の柴犬、いよいよ次男の帰省最終日を迎え…… 本音が出た瞬間に「不意に泣かせるのやめて欲しい」と感動の声
  5. /nl/articles/2408/30/news017.jpg 最上位グレードのハイエースを“50万円の底値”で購入したら…… 驚きの実物に「ある意味最強」「正直、羨ましい」
  6. /nl/articles/2408/30/news188.jpg 実写「着せ恋」、キャストに物議 海夢の再現度が高すぎるタレントを推す声あがる 「逆になんであかせあかりさん以外の人……」
  7. /nl/articles/2408/29/news193.jpg 「なんで欲しいと思ったんですか?」 酔った勢いで購入 → 後日届いた“まさかの商品”に反響 「理性あったら買わないw」
  8. /nl/articles/2408/28/news142.jpg 明石家さんま、69歳バースデー迎え長男から幸せ呼ぶ“輝かしいプレゼント” 同席した元妻・大竹しのぶは「最高の笑顔でした」
  9. /nl/articles/2408/31/news084.jpg 仕事早いな! 大谷翔平の愛犬“デコピン”、大反響の始球式がさっそくTシャツ化 「こ、これは……」「欲しい!」と爆売れの予感
  10. /nl/articles/2408/30/news113.jpg 「これ600円なの?」 大谷翔平が長く愛用しているデコピンの“おやつ入れ”、始球式で注目「おそろだった」「真美子さんが選んだのかな」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
  2. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
  3. 「苦手な芸能人は誰?」 あのちゃん、女性芸能人を“実名で即答” 「ここ最近で一番笑った」「強すぎる」
  4. ホテルでチェックアウト、忘れ物で多いのは? ホテル従業員が教える「圧倒的に多い忘れ物」
  5. 乳がん闘病中の梅宮アンナ、抗がん剤治療で「髪の毛ほとんどなくなっています」 帽子かぶり「ああ、来たか」
  6. 「キティちゃんのお面だと思ったら……」 ひっくり返すと“まさかの正体”に11万いいね
  7. 「凄すぎる…」「ガチで滝」 “市ケ谷駅の冠水”が衝撃与える 階段に大量の水が流れる様子も…… 東京メトロに経緯を取材
  8. 「早すぎます」「一体なにが」 52歳ボディービルダー、訃報1週間前に最期の投稿で“人生初の試み” 恋人は「亡くなる数時間前まで普通にお出かけも」
  9. お盆で帰省した次男に、柴犬も猫もまさかの反応→どちらも豹変して爆笑 「涙出てきました」「おもろ可愛過ぎ(笑)」
  10. 着陸する戦闘機を撮ったはずが…… タイミングが絶妙すぎる1枚に「一部の専門家には貴重な一枚」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 釣れたキジハタを1年飼ったら……飼い主も驚きの姿に「もはや魚じゃない」「もう家族やね」 半年後の現在について飼い主に聞いた
  2. 「もうこんな状態」 パリ五輪スケボーのメダリストが「現在のメダル」公開→たった1週間での“劣化”に衝撃
  3. 「コミケで出会った“金髪で毛先が水色”の子は誰?」→ネット民の集合知でスピード解決! 「優しい世界w」「オタクネットワークつよい」
  4. 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  5. 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
  6. ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
  7. 「昔はたくさんの女性の誘いを断った」と話す父、半信半疑の娘だったが…… 当時の姿に驚きの770万いいね「タイムマシンで彼に会いに行く」【海外】
  8. 鯉の池で大量発生した水草を除去していたら…… 出くわした“神々しい生物”の姿に「関東圏では高額」「なんて大変な…」
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「なんでこんなに似てるの」 2つのJR駅を比較→“想像以上の激似”に「駅名だけ入れ替えても気づかなそう」