「全方向警報灯」製造工場へ潜入! プラレールの踏切が「59年の歴史で初」の進化を遂げた理由(1/2 ページ)

見てきましたホンモノの「全方向踏切警報灯」。【写真65枚】

» 2018年08月07日 12時00分 公開
[ねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 皆さん、「全方向踏切警報灯」をご存じでしょうか。「プラレール59年の歴史で初の進化を取り入れた」というプラレールの新商品が2018年8月2日に発売されました。

photo これが全方向踏切警報灯

 「トミカと遊ぼう!くるぞわたるぞ!カンカン踏切セット」(6980円、税別)は、プラレール用のレールと駅、ミニカー「トミカ」用の道路、そしてそれらが交差する「踏切」をセットにしたレイアウトパーツの新商品。車両通過時に遮断機が自動的に下りる仕掛けを中心に、踏切前のトミカや駅に停車するプラレールの発車を自由にコントロールできるメカを搭載しています。「間もなく電車が“6両編成”でまいります」「大きなレイアウトで遊んでいただき、誠にありがとうございます」といったように、つないだプラレールの編成数や走行時間を測定してアナウンスが変化する「かしこいアナウンス機能」も備えます。

photo トミカと遊ぼう!くるぞわたるぞ!カンカン踏切セット

 これだけでも面白そうですね。しかしそれだけではありません。実はこの商品は、59年のプラレールの歴史で初めて「踏切警報灯」を進化させたのです。分かりますでしょうか、踏切の警報灯が最新式の「全方向警報灯」に変わりました。

photo プラレールの踏切警報灯が「全方向警報灯」に進化!
photo 新商品に付属する「全方向警報灯」

 全方向警報灯は、360度どの方向からでも警報灯の光を視認できる最新式の踏切警報灯。視認性が特に良いことからその安全性が評価され、2004年に実用化。以降かなりの早さで全国に広がっており、順次置き換えられているそうです。

 プラレールは想像力を育み、「鉄道や社会そのもの」を学べる玩具。だから時代に合わせてICカード自動改札機やホームドアなども積極的に導入しています。当然「踏切警報灯」もリアルでなければなりません。このことからプラレールもついに「全方向型」の採用に踏み切ったのでした。

photo 従来型は前後で2灯が点滅するタイプ。見る角度によって死角があった

 ……でも全方向型だといわれても。「知らんかった」「そもそもホンモノはどんなんだっけ」「そういえば気にして見たことなかった」人は多いでしょう。ということで見てきました、ホンモノを。

ホンモノの「全方向警報灯」製造工場へ潜入

 やってきました、神奈川県座間市にある東邦電機工業の相模工場。東邦電機工業さんは1944年(昭和19年)に設立。鉄道用信号・踏切設備、通信・保安用機器の開発、製造を行う鉄道設備の老舗です。

photo 出荷を待つ新品の「全方向警報灯」
photo 屋上には各種信号機がズラリ。屋外で長年放置する動作テストが行われていた

 東邦電機工業の全方向警報灯は「全方向踏切警報灯(LED III形)」(2018年現在)といいます。遠方からも、横からも、横断直前にも、全ての方向から「丸い発光」を視認できるのが大きな特長です。

 ホンモノは、鉄道設備は得てしてそうですが……間近に見ると想像以上に大きい。本体サイズは360(幅)×360(奥行き)×274(高さ)ミリ、重量は約4.6キロ(本体のみ、突起部は含まず)。人の顔くらいあります。従来の警報灯に近い「電流値低減タイプ」のため、従来型からの交換が簡単なのもポイントだそうです。仕様は鉄道会社によって変わりますが、定格電圧はDC24V、消費電流は700±200mA(定格電圧時)。マイナス20度(セ氏、以下同)から60度の周辺温度下で使えます。

photo 左から東邦電機工業の岩田さん(総務部長)、渡邉さん(総務部事業企画担当)、塩沢さん(執行役員品質保証室長)。ちなみに同社の「全方向踏切警報灯(LED II形)」は2009年グッドデザイン賞を受賞。塩沢さんは当時の開発ディレクター

 なぜ、どの方向からでも「光が丸く」見えるのでしょう。レンズは円柱型。ボディーには、下から見ると羽(背板)が3枚、120度の間隔で装着されています。そして内部にも3枚、同じく120度の角度で矢羽のように基板が収まっています。基板には直径170ミリ、あるいは250ミリ(オーバーハング形)の半円となるようにLEDを両面に並べます。

 そして、それぞれの基板に並んだLEDを組み合わせて1つの丸を表現します。こうすることでどの方向から見ても「丸」に見えます。「当社の全方向警報灯は、視認性と信頼性とともに、とにかくきれいな丸の表現力が自慢。見通し距離は100メートル。どの方向からでもよく見えます。また、仮にLEDが1つ故障したとしても丸が大きく崩れないような工夫も取り入れています」(塩沢さん)とのことです。

photo 円柱型のボディーと3分割した各部屋のLEDによって「1つの丸」を表現する

 ちなみに、設置場所や鉄道会社の求める構成、基準に沿うように幾つかの仕様があります。雪が降る地域には三角帽子の「防雪フード」オプションや円柱レンズに融雪ヒーターを備えた「融雪形」、さらにはオーバーハング(吊り下げ)型の「全方向踏切警報灯(LED-OH形)」(発光直径:250ミリ)などもラインアップします。そして、黄色と黒の主ポール「踏切警報機柱」を中心に、バッテン印の「踏切警標」、列車の進行方向を示す「列車進行方向指示器」、警報音を鳴らす「踏切警報音発生器用スピーカー」、非常ボタン「踏切支障報知装置の操作器」などとともに踏切付近に設置します。

photo 全方向警報灯大集合(上段4つ)。下段左側の2灯が従来タイプ。従来タイプはこの角度からだと発光がよく見えない
photo 実際の踏切で既に活躍している全方向警報灯(東武亀戸線小村井駅わき踏切)

 相模工場社屋の屋上では実際の環境を模した屋外実動テストも行っています。強烈な日差し、雨風、雪にさらしさらして十数年。「鉄道設備は信頼性と安全性が命。10年以上テストしているものもありますが、全て正しく動作しています」(渡邉さん)。おぉぉ新品もいいですが、この経年劣化具合もまたいいですね。

 製造後の検査ラインも新品の警報灯だらけで超壮観です。全方向警報灯は月に約200台を製造しているそうです。ていねいに作られ、厳しい動作試験を経て出荷されたこの子たちが全国各地のどこかの踏切で十数年活躍するのです。どこかで会えたらいいですね。そして、踏切があったらぜひ全方向警報灯を探して、たっぷりと愛でてあげてくださいね。

photo 出荷直前の新品がたくさん!

 「……1ついただけませんか?」

 「あはは、ダメですよ」

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/15/news019.jpg 4カ月赤ちゃん、おねむのひとり言が止まらず…… 心とけそうなおしゃべりに「とてつもなく可愛すぎる!」「ウルウルした」
  2. /nl/articles/2404/15/news020.jpg 1歳妹が11歳姉に髪を結んでもらうやさしい光景が160万再生 喜ぶ妹のノリノリのリアクションに「可愛すぎて息できない」「ねぇね髪の毛結ぶの上手」
  3. /nl/articles/2404/13/news014.jpg 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  4. /nl/articles/2404/14/news013.jpg 海岸を歩いていたら「めっちゃ緑のヨコエビがおって草」 作りものと見まごうほどの色合いに「ガチャの景品みたい」と驚きの声
  5. /nl/articles/2404/11/news165.jpg 遊び疲れた子猫を寝かしつけてみた 絵本のような光景に「きゃーあ」「可愛すぎて変な声出た!」
  6. /nl/articles/2404/15/news038.jpg ダイソーの材料を“くっつけるだけ”で作れる、高見え「カフェコーナー」 今流行りのジャパンディな風合いに「天才的に美しい」「まねする!」
  7. /nl/articles/2404/15/news103.jpg 「ケンタッキー」新アプリ、不具合や使いづらさに不満殺到…… 全面的刷新も「酷すぎる」「歴史に名を残すレベル」
  8. /nl/articles/2404/15/news014.jpg 100均大好き起業ママが「考えた人天才すぎる」と思わず興奮 ダイソー&キャンドゥの優秀アイテム5選が参考になりすぎる
  9. /nl/articles/2404/14/news006.jpg 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  10. /nl/articles/2404/15/news021.jpg 下っ腹に合わせて購入したGUデニムで50代女性に悲劇→機転を利かせたコーデに称賛!! 「笑って楽しんで60代、70代を迎えたい!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  2. 500円玉が1つ入る「桜のケース」が200万件表示越え! 折り紙1枚で作れる簡単さに「オトナも絶対うれしい」「美しい〜!」
  3. 赤ちゃんがママと思ってくっつき爆睡するのはまさかの…… “身代わりの術”にはまる姿に「可愛いが渋滞」「何回見てもいやされる!」
  4. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  5. 日本地図で「東京まで1本で行ける都道府県」に着色 → まさかの2県だけ白いまま!? 「知らなかった」の声
  6. 中森明菜、“3か月ぶりのセルフカバー動画”登場でネット沸騰 笑顔でキメポーズの歌姫復活に「相変わらずオシャレで素敵」「素敵な年齢の重ね方」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. もう別人じゃん! 「コロチキ」西野、約8カ月のビフォーアフターが「これはすごい」と驚きの声集まる
  9. 娘がクッションを抱きしめていると思ったら…… 秋田犬を心ゆくまで堪能する姿が440万再生「5分だけ代わっていただけますか?」「尊いなぁ…」
  10. 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」