秩父鉄道の「夜行急行」で夜明かし、その懐かしさにむせび泣く:月刊乗り鉄話題(2019年1月版)(3/4 ページ)
夜行列車だから寝なくちゃ!
再びの三峰口駅。3時12分。機関車入れ替え作業のため28分停車。また眺めてきました。何度見てもいいものだ(しみじみ)。そしてようやく帰路です。列車は熊谷に向けて走り始めました。昼間より速度は抑えています。静かな車内。さて、ここから先はやっぱりアレをやらなくちゃいけません。「夜行列車で寝る」です。
ウトウトしたい、積極的にうたた寝していきたいっ……はっ、ホントに寝ちゃいました。車窓が明るくなっていました。♪タカタカタカタン、タカタカタン〜 ブルートレインの車内放送でおなじみ、ハイケンスのセレナーデのチャイムが鳴りました。「おはようございます。あと20分ほどで終点の熊谷に着きます」。
減灯終了、室内灯も明るくなりました。石原駅で運転停車。熊谷からの始発電車とすれ違います。あれ、こちらの線路にプラットホームがありません。貨物列車用の線路に停車していたようです。地味ですが貴重な体験です。
5時33分。熊谷駅到着。6時間36分の夜行列車の旅が終わりました。
JRで帰る人が多い中で、秩父鉄道の窓口に並ぶ人もいました。御花畑で降りて西武鉄道の西武秩父駅から帰る人、寄居で降りて東武東上線で帰る人もいます。そして、秩父鉄道の1日乗車券を買う人も多い。すごい、まだ乗るか! いや、気持ちは分かります。夜行列車に乗ったら、朝から観光しないとね。正しい。あなたたちは正しい。
沿線地域も応援してくれた
帰り際、このツアーを企画した日本旅行大阪法人営業支店の山中さんに素朴な質問をしてみました。山中さんは「大井川鐵道SLブライダルプラン」などを手掛けています。もともと鉄道好きなのだそうです。
── そもそも、大阪の支店の企画で、なぜ秩父鉄道に?
山中さん 私が鉄道好きで、昔ながらの夜行急行の旅をやりたい。でも、関西には旧型客車を持っていて、ダイヤに余裕のある鉄道会社がありませんでした。それなら関東で、と秩父鉄道さんにお話ししたところ、快く引き受けていただきました。
秩父鉄道さんもノリノリの様子でしたね。駅に特製の発車案内板を掛けたり、車内販売員も乗せてくれました。秩父駅のおそば屋さんも秩父鉄道社員の皆さんでした。
── 終電後に列車を走らせて、線路際の家から苦情が来たりはしませんか?
山中さん それは私たちも心配しました。でも、秩父鉄道さんから沿線の町内会長さんにあらかじめお伝えして了承をいただいています。中には、良い取り組みだから成功を祈る、とおっしゃっていただいた町内会長さんもいらしたそうです。
秩父鉄道さん、地域に人々から応援されてるなあ。あ、もしかして、イルミネーションを飾っていた家の中には、今日のためにという家もあったかも。
懐かしくて楽しくて泣きそうな夜行急行「三峰号」の旅、今年(2019年)の年末もやってほしいなあ。こんどは1人じゃなく、仲間を誘って行きたい。毎年の忘年会はこの列車でやりたいくらいですよ。
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