なぜあなたは「LINEを既読スルーする男」に惹かれてしまうのか?(2/2 ページ)
(1)一定回数行動を行えば必ず報酬がもらえる(n回レバーを引けばエサがもらえる)
(2)一定時間経てば必ず報酬がもらえる(n時間経てば必ずエサがもらえる)
(3)行動に応じて報酬がもらえるが、行動回数はランダム(5回レバーを引けばもらえるときもあれば、1回レバーを引いただけでもらえるときもある)
(4)経過時間に応じて報酬がもらえるが、時間はランダム(1分でエサをもらえるときもあれば、1時間経った時点でもらえるときもある)
学習しやすいのは、(1)や(2)です。単純なルールなので、すぐに行動が強化されるのですね。ですが、ここで問題にしたいのは、「強化が消失しやすいのはどれか」です。
強化されてきた行動は、報酬が与えられなくなると消失します。つまり箱の中のネズミは、エサがもらえなくなればレバーを引くのをやめます(このように、強化された行動が消失することを「消去」といいます)。
実験の結果、(1)と(2)の場合、ネズミはエサがもらえなくなった時点ですぐに行動をやめました。一方(3)と(4)の場合、もはやエサがもらえなくなったとしても、長いことレバーを引き続けた、つまり、「消去」が起こりにくかったたのです。
※ちなみに専門用語では、(1)〜(4)はそれぞれ、「固定比率スケジュール」「固定時隔スケジュール」「変動比率スケジュール」「変動時隔スケジュール」と言われています。
一見すると不思議な現象ですよね。ある行動をすれば絶対に報酬がもらえるほうが、よりつながりは強固に学習されそうです。しかし実際には、ランダムに与えられる方が、行動は消去されにくくなるのです。
どうしてそうなってしまうのか。これは、「ゲームのルールが変わったことがわかるか」が影響しています。
毎回レバーを引けばエサがもらえているとき、もらえなくなった瞬間に「ゲームのルールが変わった(もうレバーを引いてもエサはもらえない)」とすぐにわかります。そのため学習しやすい分、消去もされやすい。
しかし、報酬が得られるタイミングやルールがランダムな場合、ルールが変わったことに気付きにくい。だから行動を続けてしまうのです。
「既読スルー」でかえって依存してしまう仕組み
これを恋愛の話に当てはめてみましょう。
「ネズミのレバー」(強化された行動)は、自分からメッセージを送ること。エサ(報酬)が「相手から返ってくるメッセージ」「好意の言葉」です。
既読スルーは、行動をしているのに報酬がもらえない状態です。その状態が続けば、行動をやめることができますが、たまに返事が返ってくる、時には即レスで戻ってくる、となれば、「変動比率」かつ「変動時隔」という、最も執着が強まる報酬の与え方になります。
この状態になってしまえば、メッセージを送り続けてしまうし、相手がもう返事をしない(ゲームのルールが変わった)としても、しばらく気付かずに送り続けてしまいます。
実際、精神が不安定な女性のサポートをしている団体から、話を聞いたことがあります。そこでは強く「サポートしている対象からメッセージをもらったら、“必ず”即レスする」というルールが設けられているそうです。そうすると、サポート対象者が支援者に依存しにくくなり、良好な関係が築けるのだとか。
気付いた方も多いでしょうが、これは恋愛に限った話ではありません。
たまに褒めてくるパワハラ上司から離れられない部下。
気分屋の親に振り回される子ども。
これらはみな、同じ心理の動きから依存“させられている”のです。
では、「既読スルーしてくる相手」に惹かれてしまう現象に、どう対抗すればいいのでしょうか。
はっきり言うと、人間心理をハックしているので、まずは「抗えない」と認識しておいたほうがいいです。唯一対抗できる手段は、そのような「ランダムな報酬」を発見したときに「そもそも人間の心はこういうものに依存しやすくできている」と思い出す習慣を持つことです。構造に惹かれている自分がいると認識したら、まずは相手から距離をとり、冷静になりましょう。
……とはいっても、それができないのもまた、人の心なんですけどね。
japanfield
幼少期からマジックに傾倒。東京大学大学院では、認知心理学からのアプローチで、催眠術を研究する。現在は出版社で働く傍ら、催眠術師としても活動している。Twitter:@japanfield
関連記事
- 「彼氏がLINEを既読スルーしてくる」相談にりゅうちぇるはどう答える? 切れ味鋭い回答に会場が共感の嵐
「ケンカをしたら僕から謝る」という夫婦円満の秘訣も。 - なぜ人類は性欲にあふれた「クソLINE」を送ってしまうのか?
キーワードは「23時」。 - 「今日生理なんだけど大丈夫?」の答えで“2人の関係”がわかる? 『アフロ田中』のすごい診断方法
あなたは何が“正解”だと思いますか? - 「10年も一緒にいるとこうなります」 夫婦のLINEで起きた奇跡に「心温まる」「理想すぎる」の声
夫婦の優しくてほっこりする日常のエピソードです。 - 競馬で100万円勝った父「お父さんのいいところを挙げたら分けます」 → 金のために父を褒め殺すLINE大喜利開始
みなさん正直でとてもいい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
不二家の「プレミアムショートケーキ(国産苺)」が半額に! 3日間限定キャンペーン
-
中山美穂、金髪&ミニ丈の大胆イメチェンに視聴者びっくり! “格付け”出演の最新ビジュアルに「誰だか分からなかった」
-
日本エレキテル連合・中野、ネタで酷使し容姿に異変→手術を決断 「ダメよ〜、ダメダメ」でブレイク、2022年にがん公表
-
動物病院の会計中、振り返って愛犬を見たら…… “柴らしい”もん絶級の光景に「天使かよ!」「帰れるもんねw」
-
「ハンガー・ゲーム」出演俳優、撮影中の性的暴行被害を告白 泣きながら撮った当時の写真添え「すごくつらかった」と胸中明かす
-
ミス筑波大モデル、25キロ減量したビフォーアフターに「ホント凄い」 整形疑う声も「元々は埋もれてたようですね」
-
上沼恵美子さん直伝「ホタテの一番おいしい食べ方」に絶賛の声続々! 「発想が主婦目線」「マネして作ってみます」
-
【今日の計算】「8×4−2+1」を計算せよ
-
1歳赤ちゃん、寝ぼけまなこの謎行動が150万再生突破 「仕事の疲れ、吹っ飛んだ」「少し出ちゃったの可愛すぎ」
-
「めざましテレビ」“新お天気キャスター”が「美しすぎる」と注目 ミス東京GP獲得から約4カ月で
- 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
- フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
- 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
- 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
- 田代まさしの息子・タツヤ、母の逝去を報告 「あんなに悲しむ父親の姿を見たのは初めて」
- 「遺体の写真晒すのはさすがに」「不愉快」 坂間叶夢さんの葬儀に際して“不適切”写真を投稿で物議
- 大友康平、伊集院静さんの“お別れ会”で「“平服でお越しください”とあったので……」 服装が浮きまくる事態に
- 妊娠中に捨てられていた大型犬を保護 救われた尊い命に安堵と憤りの声「絶対に許せません」「親子ともに助かって良かった」
- 極寒トイレが100均アイテムで“裸足で歩ける暖かさ”に 今すぐマネできるDIYに「これは盲点」「簡単に掃除が出来る」
- 「奥さん目をしっかり見て挨拶してる」「品を感じる」 大谷翔平&真美子さんのオフ写真集、球団関係者が公開
- 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
- パーカーをガバッとまくり上げて…… 女性インフルエンサー、台湾でボディーライン晒す 上半身露出で物議 「羞恥心どこに置いてきたん?」
- “TikTokはエロの宝庫だ” 女性インフルエンサー、水着姿晒した雑誌表紙に苦言 「なんですか? これ?」
- 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
- 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
- 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
- 67歳マダムの「ユニクロ・緑のヒートテック重ね着術」に「色の合わせ方が神すぎる」と称賛 センス抜群の着こなしが参考になる
- “双子モデル”りんか&あんな、成長した姿に驚きの声 近影に「こんなにおっきくなって」「ちょっと見ないうちに」
- 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
- 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」