レビュー
» 2019年03月22日 21時20分 公開

今夜HTBで最終回。ドラマ「チャンネルはそのまま!」は、「自分はバカだ」と悩んだことがある人の心にしみる

Netflixでも独占配信中。

[芦屋こみね,ねとらぼ]

 ローカルテレビ局の仕事をリアルに描いた名作『チャンネルはそのまま!』が北海道テレビ放送開局50周年記念ドラマとして実写化、3月18日〜22日に5夜連続放送されている。このドラマ、仕事や仕事での自分の存在意義に悩んでいる人にメチャクチャしみる作品だ。

チャンネルはそのまま!

 原作は同名漫画で、2008年から2013年にわたって『週刊ビッグコミックスピリッツ』で連載。作者は『動物のお医者さん』でも知られる北海道札幌市在住の漫画家・佐々木倫子さんだ。北海道テレビ放送の全面協力のもと、佐々木さんの世界観が二次元から三次元になっている。

 舞台はHTB(北海道テレビ放送)……をモデルにしたHHTV(北海道★テレビ)。主人公の雪丸花子は「バカ枠」として採用された新人記者だ。HHTVでは、時折「バカはエースストライカーになるかもしれない」との思いから「バカ枠」採用を行っていた。雪丸はその枠にふさわしく、天然ボケでおっちょこちょいなドタバタっぷり。

 雪丸を演じるのは、ドラマ「表参道高校合唱部!」や映画「累-かさね-」での演技も印象的な芳根京子さん。猪突猛進で、何度も失敗するが、不思議と周囲を巻き込む魅力をもった雪丸を好演している。

チャンネルはそのまま!

 The・新人の雪丸だけでなく、雪丸の世話係として奮闘する記者・山根や、放送の枠組みを決める責任に悩む編成・北上にもスポットライトが当たる。それぞれが任された仕事に悩み、自分なりにブレイクスルーする――という“お仕事もの”だ。

チャンネルはそのまま! 優秀な同期記者の山根。演じるのは飯島寛騎さん(男劇団 青山表参道X)

“壁を乗り越える力になる”雪丸の魅力

 1話は、同期のアナウンサー・花枝まきがぶつかった“壁”を、期せずして雪丸が壊すことになるエピソードだった。新人アナウンサーの登竜門「初ニュース」を控えた花枝は、「フレッシュさが足りない」という壁にぶつかる。そつがない彼女は、先輩からなかなかアドバイスを受けられず、また新人の典型のような雪丸を見習うこともできない。

 ついに初ニュース直前。読む予定だった2本目の原稿が手元に来ず、花枝は焦る。実は2本目の原稿は、ギリギリまで取材していた雪丸の原稿だった。結局雪丸の書いた原稿が手元に渡ったのは、生放送のニュース番組がスタートしてから。誤字脱字だらけで、しかも北海道独特の難読地名にミスで一切ルビが振られていない雪丸の原稿を、初見で読まなければいけない……。緊張で手が震える花枝は、カメラに映らないテーブルの下で足を開いて踏ん張る。「ここからが勝負!」

チャンネルはそのまま! 雪丸が与えた“試練”を、花枝は乗り切ることができるのか――

 次から次へと出てくる難読文、誤変換、わかりにくい表現、字が汚くて読みにくい書き入れを、花枝はクリアしていく。ひとつ乗り越えるたびに、花枝は“覚醒”していく。最後の最後で起こる“あるトラブル”も機転で乗り切り、初ニュースをノーミスで伝えきった。拍手が響き渡る局内、ガッツポーズを決める花枝。花枝に試練を与えたともいえる雪丸が、感動して花枝に駆け寄る。花枝はのちに「(壁を乗り越えられたのは)意外と、雪丸さんのおかげだったりして」と語るのだった。

「自分はバカだ」と悩んだことがある人へ

 雪丸はバカだが、ただのバカではない。花枝だけではなく、誰かが壁を乗り越えるきっかけを与えていく。しかし、雪丸本人はそれに気づいていない。彼女はただ目の前の仕事に一生懸命で、自分が人にきっかけを与えているなどとみじんも思っていない。

 ドラマの世界だけでなく、実際の世界でもそうだ。きっと誰しもが、他人に影響を与えている。何かを突破するきっかけになったり、ちょっとしたことで他人を救ったりする。雪丸のように、それに本人は気付かない。

 「仕事のできなさ」や「自分の存在意義」に悩むことは、社会人なら誰にでもあるだろう。周囲に迷惑を掛けて落ちこんだり、情けなくなったりすることもある。自分がどうやって仕事と向き合っていくべきか自覚することは、ベテラン社会人でも難しいことだ。「今日目の前の仕事に取り組むことで精いっぱい」だという人は多く、それを気に病むこともあるだろう。

 でもきっと、優秀な人間だけに存在意義があるわけではない。雪丸は優秀ではないし、落ち込み、しょぼくれることはある。でも、すぐに次の仕事へ向かって全力で駆け出していく。人に助けられてなんとか頑張っている。「できません」「わかりません」と人の助けを借りて、少しずつ成長していく。

チャンネルはそのまま! 今夜放送の5話場面カット。雪丸は人に助けられて成長し、そんな雪丸に感化されて周囲も成長していく

 一番大切なことは、委縮しないことなのかもしれない。「できない」「わからない」自分に落ち込むだけではなく、そんな自分がどうすればできる、わかるようになるのか考えること。雪丸は「人の助けを借りる」という方法で前に進み、時に信じられないような活躍を見せる。

 誰もが雪丸のようにあっけらかんとしていられるわけではない。けれど、必要以上に気に病んでも何も生まれない。バカにも新人にも存在意義はある。「バカは時々きっかけをくれる」という作中のセリフは、「自分はバカだ」と悩んだことがある人の心に染みる。フレッシュマンでも、ベテランでも。

今夜HTBで最終話放送!

 今日3月22日の23時10分から北海道テレビで放送される最終話では、物語のクライマックスとして、雪丸が前代未聞の生中継に挑む。「TEAM NACS」の大泉洋演じるNPO団体代表・蒲原と雪丸が語り合うシーンは、まさに今生中継を見ているかのような緊迫感。雪丸は蒲原の思いを引き出すことができるのか? それを放送することができるのか――?

チャンネルはそのまま!
チャンネルはそのまま!
チャンネルはそのまま!

 「チャンネルはそのまま!」は、Netflixで全5話が独占配信中。3月21日からは、全5話同時に190カ国以上でのグローバル配信もスタートしている。メ〜テレ、テレビ埼玉等の放送局でも順次放送予定だ。

 ちなみに、北海道テレビ放送は2018年9月に社屋移転を行ったが、ドラマでは旧社屋をそのままセットとして撮影した。撮影の直前まで社員が働いていたというだけあって、建物、設備の雰囲気は抜群だ。半世紀にわたって北海道の報道を支えてきたテレビ局の社屋が、この記念ドラマ撮影をもって役目を終えるというのも感慨深い……。建物にも注目してみてほしい。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2205/15/news045.jpg 人気動画ジャンル「ゆっくり茶番劇」を第三者が商標登録し年10万円のライセンス契約を求める ZUNさん「法律に詳しい方に確認します」
  2. /nl/articles/2205/16/news094.jpg 「ゆっくり茶番劇」商標取得者の代理人が謝罪 「皆様に愛されている商標であることを存じておらず」「爆破予告については直ちに通報致しました」
  3. /nl/articles/2205/16/news075.jpg 有吉弘行、上島竜兵さんへ「本当にありがとうございますしかなかった」 涙ながらの追悼に「有吉さんが声を詰まらせるとは」
  4. /nl/articles/2205/15/news033.jpg 華原朋美、“隠し子”巡る夫の虚言癖に怒り「私はだまされて結婚」 家を飛び出した親に2歳息子も「もうパパとはいわなくなりました」
  5. /nl/articles/2205/16/news079.jpg キンコン西野、勝手に婚姻届を出される 「絶対コイツなんすよ」“妻になりかけた女性”の目星も
  6. /nl/articles/1908/19/news093.jpg 任天堂が「草」を商標出願 → ネット民「草」「これは草」「草草の草」
  7. /nl/articles/2007/07/news115.jpg 電通、「アマビエ」の商標出願を取り下げ 「独占的かつ排他的な使用は全く想定しておりませんでした」
  8. /nl/articles/2205/14/news007.jpg 子猫のときは白かったのに→「思った3倍柄と色出た」 猫のビフォーアフターに「どっちもかわいい!」の声
  9. /nl/articles/2205/16/news124.jpg 大沢樹生、血縁関係がない息子と再会で“男飲み”2ショット 「2人が築いていってるものが素敵」「仲良しだね」
  10. /nl/articles/2205/11/news167.jpg 「あなたのAirpodsではありません」 隣の人がAirpodsの蓋を開け締めしているせいでiPadが操作できない話がおつらい

先週の総合アクセスTOP10

  1. 名倉潤、妻・渡辺満里奈との結婚17周年に“NY新婚旅行”ショット 「妻には感謝しかありません」と愛のメッセージも
  2. フワちゃん、指原莉乃同乗のクルマで事故 瞬間を伝える動画が「予想の10倍ぶつけてる」「笑い事ではない」と物議
  3. 植毛手術のいしだ壱成、イメチェンした“さっぱり短髪”が好評 「凄く似合ってます」「短い方が絶対いい」
  4. 渡辺裕之、66歳バースデーで息子と2ショット 合同誕生日会に「すごいお料理とケーキ」「イケメン息子さん」
  5. この写真の中に2人の狙撃手が隠れています 陸自が出したクイズが難しすぎて人気 まじで分からん!
  6. 神田愛花アナ、バナナマン日村との“夫婦デート風景”にファンほっこり 「幸せあふれてる」「仲良くてステキ」
  7. 「ビビるくらい目が覚める」「生活クオリティ上がった」 品薄続く「ヤクルト1000」なぜ、いつから人気に? 「悪夢を見る」ウワサについても聞いてみた
  8. 山田孝之、芸能人として“3億円豪邸”に初お泊まり 突然泣き出すはじめしゃちょーをハグする異例展開で「本当にいい人」
  9. トム・クルーズ、4年ぶり来日をウマ娘が発表 突然の大物コラボに困惑する声「まず戸田奈津子さんに理解してもらうところから」
  10. 堀ちえみ、新居ダイニングの解体&再工事が完了 住居トラブルへの怒りも“夫の名言”で鎮火「ハッとしました」