平成最後の「IPPONグランプリ」徹底解説。ホリケンの狂気回答にバカリズムもロバート秋山もクルクルクルクル。松本人志、嘆く

サドンデス勝負のお題は「新元号発表の雰囲気で何かを発表してください」それでなぜ全員クルクルに?

» 2019年04月21日 09時39分 公開
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 4月20日に放送された芸人大喜利王決定戦「IPPONグランプリ」(フジテレビ系列)。松本人志チェアマンのもと、大喜利を得意とする10人の芸人がしのぎを削る。


IPPON 三振もホームランも飛ばし続けたホリケン。バカリズム「(負けても)今までで一番悔しくない」 イラスト/まつもとりえこ

Aブロック:三振もホームランも飛ばし続けるホリケン

 Aブロックの出場者はバカリズム、堀内健(ネプチューン)、千原ジュニア(千原兄弟)、板倉俊之(インパルス)、森田哲矢(さらば青春の光)の5人。板倉&森田が初登場。顔色が悪い板倉と、「わけ分からなすぎて」とずっとヘラヘラしている森田。人によって緊張の形はさまざまである。

 第1問は「おじいさんになった浦島太郎が、ネット検索してそうなワードは?」。このお題、箱をあけた「現在」、乙姫を恨む「過去」、この先を生きる「未来」と、時制によって切り口が異なるのが面白い。

 「乙姫 亀 グル」(ジュニア)

 「メルカリ 箱」(ジュニア)

 「シニア 着こなし」(バカリ)

 「自伝 講談社 印税」(堀内)

 「村人 ドッキリ 生きてる」(板倉)

 第2問「2100年M-1グランプリのチャンピオンのネタ、最後のオチのツッコミワードを教えてください」。「シャットダウンさせてもらうわ!」(バカリ)と、テクノロジーを盛り込んだ答えがそろうも、ホリケンは「ヘモグロビンが〜ヘモグロビンが〜ピ〜ヒョロピ〜ヒョロ〜、よろしくメカドック!」などと、未来過ぎる回答で2連続0点を取る大失態。

 しかし第4問まで終わってみれば、バカリズム、ホリケン、千原ジュニアの3人が9本で並ぶ結果に。三つどもえのサドンデスお題は「新元号発表の雰囲気で何かを発表してください」。用意されたのは額縁付きの特製フリップ。ジュニアが「新しいのができるまで、『仮歯』」とフリップを掲げるも、IPPONに届かない。続くホリケン、なんとフリップにうずまきを描き、頭上に掲げて無言で回しだした

 目の錯覚でうずまきがクルクル回って見えるさまに、一気に点が集まりIPPONに! ネットやラジオの投稿ではない、生大喜利だからこそできる技。元号という前提に全く引きずられない発想力に「あれに誰が勝てるんかと」(ジュニア)、「今までで一番悔しくない」(バカリ)、「我々が今までやってきたことはなんだったのか」(松本)と絶賛の嵐。三振もホームランも飛ばし続けたホリケンが決勝戦に駒を進めた。

Bブロック:物語をつづる又吉、魂を乗せる秋山

 Bブロックの出場者は又吉直樹(ピース)、秋山竜次(ロバート)、塙宣之(ナイツ)、川島明(麒麟)、粗品(霜降り明星)。秋山、観覧ゲストの夏菜に顔が面白いと褒められ「顔芸で攻めるわけじゃない」「顔は封印だ」と言い切るがどうなるか。

 第2問「『ははーん』を使って何か言ってください」は、各自のキャラクターを存分に生かすお題となった。塙は浅草の師匠を出し、秋山は下ネタを絡め、粗品はR-1のフリップネタを彷ふつとさせ、川島はええ声で長文を読み聞かせる。

 「え? こぼんが殺された? ははーん、さてはおぼんだな?」(塙)

 「ははーん、これ真面目な普通のタイプのマッサージだな」(秋山)

 「(イラスト)ははーん、布袋寅泰のおにぎりやな」(粗品)

 「たかしのやつ出所してから調子いい。組長にも気遣いできてるし、組員同士の草野球も絶好調。ははーん、進研ゼミはじめたな?」(川島)

 このお題で最もIPPONを取ったのは又吉先生。5年ぶりの参戦であり、『火花』で芥川賞を受賞してから初のIPPONグランプリ。心なしか大喜利の回答にも物語を感じる。

 「ゆで卵が次々と……ははーん、ここは板東英二のお腹の中だな」

 「父とははーんから、娘とむすこーんが生まれた」

 「(天日干しされたふなっしーの着ぐるみのイラスト)ははーん、ここに住んではるな」

 最終問題を終えて川島と秋山が同点になり、Aブロックと同様にサドンデスに。お題は「ドッペルゲンガー」に似た言葉を教えてください。先にボタンを押したのは川島。「鳥取県が……!?」と、きっちり語感をそろえるが届かない。続く秋山、たっぷりと情感をこめ満面の笑みで「やっぱりキミか〜」と言い放ち、IPPON! 夏菜に「顔芸は封印だ」と言い放ったのに、結局言い方と顔の圧で勝ってしまった。敗者の川島は決勝戦を「顔とうずまきの勝負ですね」とまとめる。


IPPON 「カフェインボーイズのパッキンパッキンです」「ガードレールの打越です」「森のフェアリーズの鹿野バンビです」「関西出汁のタケです」新企画「芸人自己紹介大喜利」の勢いに松本人志「ごめん! 終われへん」 イラスト/まつもとりえこ

決勝戦:終わらない「架空芸人自己紹介ラリー」

 堀内健とロバート秋山という、まさに狂気vs狂気の決勝戦。2人が決勝で戦うのは実は3度目だ(2013年春、2014年春)。過去の成績は一勝一敗。どちらが先に3本を先取するのか。

 第1問は動画でアフレコ。画面奥からトコトコ歩いてきた赤ちゃんがUターンして帰っていく動画に、秋山が「片岡鶴太郎さん本番で〜す……おぉすっごい体っ……!」と声をあてて先制。第2問「謎のヒーロー『上から目線マン』の決めせりふは?」は、ホリケンが「へ〜! いいパンチしてんじゃん!」でIPPONをもぎ取る。

 ホリケンも秋山も、回答にキャラを乗せていくタイプ。アフレコやせりふなどお手の物。どちらも一歩も譲らない。その強みがさらに火を噴いたのが第3問の新企画「芸人自己紹介大喜利」。架空のコンビ名と名前を即興で交互に作り、松本人志が○×で判定、「×」が出たら相手に1ポイントというルールなのだが、これが全く終わらない……!

 「カフェインボーイズのパッキンパッキンです」「ガードレールの打越です」「森のフェアリーズの鹿野バンビです」「関西出汁のタケです」「ヌシのガンマン長谷川です」「100m走のランニング川原です」「噂の東京マガジンズの小清水アキラです」「サクサクラングドシャのチカです」「メキシカンスマッシュの後藤タコスです」「大型冷蔵庫のたけぼうです」「世界で誰かがウェイティング、小池ユニバースです」「全身デニムのしげちゃんです」「テレホンコミュニケーションズの真心フリンです」「ポンポコダイヤルのかわべしんじです」「マダマダ未熟のさちょぱです」

 終わりの見えないクオリティーに「ごめん! 終われへん」と白旗を挙げる松本人志。秋山の「正直僕ら、これいくらでもいけますよね」にうなずくホリケン。満を持しての新企画はドローで終わった。

 続く第4問のカルタお題はホリケンが取り、2対1でホリケンのリーチ。第5問は再び動画でアフレコ。床に横たわり眠っている犬。夢を見ているのか、寝たまま駆け足をはじめ、最後にむくりと起きて歩き出す。松本人志も「これはムズいですよね。3アクションくらいあるので……」と顔をしかめるお題だが、動画を一度みただけでホリケンがボタンを押した。

 「え! パンティ泥棒!? 僕に任せろ! 待て〜! パンティ泥棒! この野郎〜〜! おら〜おら〜! ……なんだよブリーフかよ〜」

 短時間で3アクションにオチまでつけ、見事IPPON! 堀内健が3大会ぶり3度目の優勝を果たした。

 振り返れば、Aブロックサドンデスの「うずまき」から番組はホリケンの空気だった。新元号が決まる前、ネットではさまざまな新元号が予想され、「新元号大喜利」と化していた。小渕官房長官(当時)が「平成」を掲げる写真にも多くのコラ画像が出回った。だが、「うずまきを書いてグルグル回す」を発想した人がどれだけいたか。

 平成最後のIPPONグランプリで、ホリケンが新元号大喜利に終止符を打ったのだ。これで安心して令和にいける。あとはBSあたりで「芸人自己紹介大喜利」だけを2時間くらいやってもらえれば思い残すことは何もない。

井上マサキ

ライター/路線図マニア/テレビっ子/『99人の壁』グランドスラム/ケータイ大喜利レジェンド/MENSA会員/著書『たのしい路線図』 Twitter

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