東京ディズニーランドホテルの「アナ雪目隠しダイニング」でレリゴーを考えた(1/3 ページ)
この記事には「レリゴー」が61回出てきます。
東京ディズニーリゾートで“アナ雪版”目隠しダイニングを楽しむ
東京ディズニーリゾート、東京ディズニーランドホテルにて8月3日〜18日、目隠しをしてディズニー映画の世界観の中でコース料理を堪能できる「食」のエンターテインメントプログラム「ディズニー・ダイニング・ウィズ・ザ・センス〜ディズニー映画『アナと雪の女王』より〜」全26公演を開催します。2019年1月〜2月に実施された公演の再演です。
以前ねとらぼでも、このプログラムの「美女と野獣」バージョンをご紹介しました。そのころから比べても大変パワーアップした内容で、初めての人も何度目かの人も十分楽しめるエンタテインメントに仕上がっています。しかも今回は誰もが知るあの「アナと雪の女王」。魔法のアイマスクをすれば、あなたもアレンデールに降り立ち、アナとエルサと仲間たちと“出会う”ことができるのです。聞き慣れたオラフの声も“新鮮に”聞こえるかもしれません。
……が、ディズニーを追いかけてきた私にとって、このアナ雪というコンテンツは少々気になる立ち位置であるため、とある一点だけが気になっていました。ひとまず開催概要は記事の最後にも書きますが、詳細は先に紹介した記事でどうぞ。
以下、余談レベルのお話です。
レリゴーという罪と罰——「アナと雪の女王」 の異質さ
ディズニーが公開した長編アニメーション第53作目「アナと雪の女王」という映画は、アメリカでは2013年11月27日に、日本では遅れに遅れて2014年3月14日に公開された作品です。主人公はダブルヒロインとしてアナとエルサの姉妹が登場し、ご存じのように世界中で大ヒットとなった、記念碑的作品です。
特に注目したいのは、やはりメインの楽曲となった「Let It Go」(以下、レリゴー)。エルサが氷の力を抑えきれず、地位と俗世間を捨て、1人で雪山の中で暮らす決断を歌った楽曲です。意外なことにこの楽曲は物語のクライマックスではなく、かなり早い段階で披露されます。
公開からはや5年。皆さんも恐らく映画館で、DVDで、テレビ放送でこのアナ雪をご覧になったかと思いますが、いま思い出すシーンはやっぱりそのレリゴーなのではないでしょうか。そもそも当初はこのアナと雪の女王、邦題の通りアンデルセンの「雪の女王」をベースにしたストーリーであったといわれていますが、とある事件から大きく話を変更したとされています。当初はエルサ自身が物語のヴィランズであったとも。
それを大きく変え、いまのようなアナ雪のストーリーに落ち着いたわけですが、個人的にはこのストーリー自体に注目すべき点はないと思っています。特にラストシーンでは「愛よ!」のひと言で全てを解決するという、だったら最初からそれをやれよ、というスットコドッコイ感を初見時に感じました。オレ内映画判断基準として「巨大化して愛を叫んだらもうそこでおしまい」のパターンです。「リトルマーメイド」? 「パイレーツ・オブ・カリビアン3」? それそれ。
正直、ストーリーを評価基準にするのならば、アナ雪はその後に続く「ズートピア」、そしてオレ内ディズニー長編アニメ最高傑作「モアナと伝説の海」に比べるまでもなく、アナ雪は佳作レベルというのが正しい評価だと思ってます。しかし、そう切って捨てられない事情こそが、誰もが絶賛する「レリゴー」にあります。
ストーリーが大きく変えられる原因はこのレリゴーの完成度だった、という話もあります。楽曲を体験した方ならばもうお分かりかもしれないでしょうが、この曲のパワーは計り知れないものがあります。
レリゴーを“狙って”作った夫婦とは
そもそもこのレリゴーは誰が作ったのでしょうか。
本作の音楽は天才夫婦、ロバート・ロペスとクリステン・アンダーソン・ロペスの夫婦が担当しています。これまでもオフ・ブロードウェイでマペットと人間が共存する世界を舞台にしたミュージカル「アベニューQ」を作ったり、夫のロバートはサウスパークの作家とモルモン教をコミカルに、そして鋭く描いたミュージカル「ブック・オブ・モルモン」を作り出しています。この夫婦を一躍有名にしたディズニー長編作品がこの「アナと雪の女王」でした。ロペス夫妻はレリゴー一曲で、ディズニーのかなりの部分を変えてしまいました。
ロペス夫妻の作風はとても異質で、天才としかいいようがない、というのが私の評価です。ディズニーミュージックを聞きかじった人ならば、ディズニーのミュージックメーカーといえば実写版「アラジン」でもおなじみ、アラン・メンケン&ハワード・アシュマンというコンビが思い浮かぶかもしれません。彼らも天才ではあるのですが、ロペス夫妻は「過去に登場した天才たちの音楽をベースにし、新しい音楽を作り出す」というタイプの天才です。悪くいえばパクリ、よく言えば高度なオマージュです。
例えば、「アベニューQ」の冒頭で流れる「What Do You Do with a B.A. in English?」という楽曲は、同じくジム・ヘンソンによるカーミットの「Rainbow Connection」のメロディを反転させたものだといわれていますし、「ブック・オブ・モルモン」に登場するウガンダの少女、ナバルンギが“夢のような場所”を夢みて歌う「Sal Tlay Ka Siti」(注:夢のような場所=モルモン教の聖地、ソルトレイクシティ)は、まさにアラン・メンケンミュージックの真骨頂ともいえる、人魚が人間の世界を夢みて歌う「パート・オブ・ユア・ワールド」そのものです。しかしロペス夫妻がすさまじいのは、これが単なるパクリではなく、完全にロペス夫妻の色として、最高のオマージュとして楽曲が完成しているところにあります。
ロペス夫妻の作風は、音楽という仕組みを換骨奪胎する力を持ち、それを聴いたものの感情を意のままに操るタイプの楽曲を作る力を持っているように見えます。制作陣からの「ここでいい感じのヒット曲になり得る、ぶわっと盛り上がるヤツをシクヨロ」的なオーダーをそのまま曲に仕上げたのではないかと思うほど。結果として、オーダー通りの大ヒット曲を作り出し、映画そのものを変え、しかも世界で大ヒットという結果をもたらしました。怖いよロペス夫妻。ちなみにピクサー作品「リメンバー・ミー」の同名曲を作ったのも、このロペス夫妻です。
ご存じのように、日本においてはエルサの声を松たか子さんが担当。レリゴーも松たか子さん自身が歌い上げ、これまた大変なヒットとなりました。影に隠れてしまっていますがエンドソング版のMay J.さんだって素晴らしい歌声でした。街中ではありとあらゆるところでレリゴーを聞くことができ、テレビでも繰り返し放送された結果、子どもたちはあの振りを覚え、レリゴーのピアノのイントロが流れた瞬間に、みんながレリゴーモードになってしまうまでになったわけです。
当時の子どもたちの熱狂っぷりは、下記のレリゴー動画を見ても分かると思います。とてもほほえましいなか、ティアラを捨てる、手袋を風に飛ばす、足を踏みつけるといったエルサのレリゴームーブがきっちり子どもたちに伝わっているのが分かると思います。
しかし、長くディズニーを見てきた者にとって、このレリゴーとは違和感のかたまりです。なぜなら……。
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