インクなしで精密に印刷できる技術、京大が開発 素材を傷つけて光の反射を変える原理

プラスチックを曲げると折り目の色が変わるのと似た感じ。

» 2019年06月22日 10時00分 公開
[沓澤真二ねとらぼ]

 京都大学の物質−細胞統合システム拠点(アイセムス)の研究グループが、精密な印刷をインクなしで実現する「OM技術」を開発しました。これを用い、葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」を横幅わずか1ミリのサイズで作製することに成功しています。


神奈川沖浪裏 北斎を再現した技術デモ

真珠の耳飾りの少女 フェルメール「真珠の耳飾りの少女」も、米粒のようなサイズで出力

 研究グループを率いるシバニア・イーサン教授は原理を説明するうえで、「クレージング」と呼ばれる現象に触れました。これは、ポリマー(高分子)が分子レベルで引っ張られて伸びた状態になったとき、「フィブリル」という細い繊維を結成する作用。フィブリルが視覚的に認識できるレベルでクレージングが起きると、視覚効果が得られるといいます。

 例えば、プラスチックを繰り返し曲げると折り目の色が変わる現象も、プラスチックがクレージングしてフィブリルができ、視覚効果が生まれたということなのだそうです。

 研究グループは、クレージングを調整してフィブリルを組織的に形成させることで、特定の色の光を反射する素材「OM(Organized Microfibrillation:組織化したミクロフィブリレーション)」を開発。フィブリル層の周期を調整し、青から赤まで全ての可視光を発色することに成功したそうです。

 OM技術を使えば、さまざまな柔軟で透明な素材へ、画像解像度14000dpiまでのカラー印刷ができるとのこと。シバニア教授は、肌に装着できるチップやコンタクトレンズにOM技術を組み込み、生体情報をクラウド経由で医療専門家へ送信するといった、高度な応用法も考えているそうです。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  2. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  3. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議
  4. スーパーで買った半玉キャベツの芯を植え、5カ月育てたら…… 農家も驚く想像以上の結末が1300万再生「凄い」「感動した」
  5. 東京藝大卒業生が油性マジックでサンタを描いたら? 10分で完成したとんでもない力作に「脱帽です」「本当にすごい人」
  6. 定年退職の日、妻に感謝のライン → 返ってきた“言葉”が約200万表示 大反響から7カ月たった“現在の生活”を聞いた
  7. 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
  8. 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
  9. 「すんごい笑った」 “干支を覚えにくい原因”を視覚化したイラストが勢いありすぎで1700万表示の人気 「確かにリズム全然違う!」
  10. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」