令和になっても走れ走れ〜 「いすゞプラザ」で大正・昭和から働くトラックに会ってきた(1/7 ページ)

凝った展示で「乗りもの大好きっ子」ならば一日楽しめます。

» 2019年07月12日 11時30分 公開
[鈴木伊玖馬ねとらぼ]

 「あー疲れた」──。仕事を終えた帰り道で、まだ仕事に励むはたらくトラックを見かけるとふとあのテレビCMを思い出します。

いすゞエルフ「信頼のエルフ 京都」篇

 あの音楽はなぜか私を「明日も頑張るか……」という気分にさせてくれます。気が付いたらなぜか口ずさんでいるのです。

 なぜいすゞのトラックは私の気分をアゲてくれるのでしょうか。神奈川県藤沢市にいすゞ自動車(以下、いすゞ)の企業博物館「いすゞプラザ」があるというので、早速行ってみました。

isuzu-plaza いすゞプラザに展示されている主力トラック「エルフ」(写真:いすゞプラザ)

いすゞ自動車の歴史を楽しく学べる企業ミュージアム「いすゞプラザ」

 いすゞプラザは、いすゞ自動車創立80周年記念事業として2017年にできた企業ミュージアムです。いすゞ自動車藤沢工場に隣接した場所にあり、いすゞ自動車の歴史、生み出してきた車両、そしてそれらの車両がこれまでどのように社会に関わってきたのか、そして将来もどう関わっていくのかを学べるようになっています。

isuzu-plaza いすゞプラザ外観
isuzu-plaza 館内の塗装体験エリア

 車両の展示はもちろん、模型や3Dグラフィック、プロジェクションマッピングなどを用いながら楽しめる、ゲーム感覚でテーマパークに劣らない凝った展示も多いので、「乗りもの好き」のお子さまとその家族にも人気だそうです。

isuzu-plaza プロジェクションマッピングの技術を使用し、塗装作業を楽しみながら体感できるようになっている

 展示車両は、いすゞの現行車種である小型トラック「エルフ」、中型トラック「フォワード」、大型トラック「ギガ」はもちろん、日本のトラックと自動車物流の先駆者とされる1924年(大正13年)製のトラック「ウーズレーCP型トラック」、日本におけるディーゼル乗用車の礎を築いたとされる「べレル」などなど。時代時代のさまざまな車両が館内各所に置かれています。

isuzu-plaza いすゞの大型トラック「ギガ」
isuzu-plaza いすゞがタイで製造するSUV「mu-X

2019年で60周年を迎えるロングセラー車「エルフ」

 館内1階の中央広場に、一番目立つ部分に置かれているのがエルフです。やっぱりこの愛嬌のある顔が良いですね。

isuzu-plaza 現在の6代目 エルフ

 2019年6月時点の現行エルフは、2006年に登場した6代目です。1959年に登場した初代エルフは広いキャビンと大きな視界によって、当時の運転手から「運転のしやすさ」で特に高い評価を受けました。その後モデルチェンジを重ね、1978年には国内累計登録台数が100万台を突破します。エルフは世界各国にも輸出されています。その信頼性が買われ、南極観測隊が極寒の南極で使用しているほどです。

isuzu-plaza 初代 エルフ

 現行のエルフは、乗用車顔負けの先進安全運転走行支援装備も備えます。例えば、前方の歩行者や障害物を自動で探知する「ステレオカメラ」。2019年現在は多くの他モデルが、1つのカメラとミリ波レーダーを組み合わせた機能であるのに対し、市街地での安全走行を重視したエルフは、2つのカメラで取得した視差情報から、前方の車両や歩行者の距離や位置を高精度に識別できるという最新型車載用ステレオカメラによるセンシング技術によって、衝突被害軽減ブレーキ、車間距離警報、車線逸脱警報、先行車発進通知機能、誤発進抑制機能などの安全機能を実現します。

isuzu-plaza ダッシュボードに備えた日立オートモーティブシステムズ製のステレオカメラ

 特にこのカメラを活用した自動ブレーキシステム「プリクラッシュブレーキ」は現行エルフの強みです。トラックの役目は「荷物を安全に正しく運ぶこと」。ドライバーがとっさの判断で行う急ブレーキは、事故を緊急回避できたとしても、積み荷が崩れて損害となる事態にもなり得ます。プリクラッシュブレーキは「そのどちらも回避する」ためにあります。ドライバーの操作に応じて前方の障害物との距離や車速などを瞬時に計算し、距離が遠ければ緩やかに、本当に近ければ急ブレーキを、といったように制動力を自動調整します。「人と荷物の保全」のために、誰もに起こり得る人の判断ミスを賢く補佐してくれる頼もしい機能です。

isuzu-plaza エルフの荷台

 併せて、エルフの扱いやすさは納入企業、架装業者にも高く評価されているそうです。いすゞのトラックは「架装部分はお客さま(納入企業)のもの」という精神から、架装部分をできるだけフラットにしています。荷台の拡張性が高く、作りやすいので、「ニーズが多様化する運ぶ業務」のためのオーダーにも対応していきやすいということでしょう。

 いすゞのトラックに搭載されるコネクテッド機能「いすゞPREISM(プレイズム)」にも注目です。いすゞPREISMは、稼働する車両の状況を通信経由で常に把握する「つながるトラックとネットワーク」を実現するサービス。消耗品類の状況、故障の予測や早期検知、オペレーター相談、部品注文、修理部品のあるサービス拠点の予約を行う──といったことを、シームレスにドライバーのスマホアプリや事業所拠点などで管理できるようになります。

isuzu-plaza 例えば、「未然に防ぐ」と「すぐ直す」の精度を高めてダウンタイムを減らす(画像:いすゞWebサイト)

 ドライバーを補佐しながら故障による事故やトラブルの発生率を低減し、人手不足も補いながら、営業できないダウンタイムをできるだけ短くするための、新たな世代の物流に欠かせない機能と言えます。

       1|2|3|4|5|6|7 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news042.jpg 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  4. /nl/articles/2411/14/news090.jpg ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  5. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2411/13/news162.jpg 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  9. /nl/articles/2411/14/news035.jpg 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  10. /nl/articles/2411/12/news194.jpg 「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた