ニュース
» 2019年10月08日 11時00分 公開

君がいた夏は近所のゲーセンの中「ハイスコアガール」13話 「またな」が言えなかった、夏(1/2 ページ)

大野晶は、外に向かって羽ばたけない。

[たまごまご,ねとらぼ]

ハイスコアガール (C)Rensuke Oshikiri/SQUARE ENIX

 ゲーセンで燃やした青春があった。ゲーセンで育った恋があった。格ゲーが盛り上がっていた90年代を舞台に、少年少女の成長を描くジュブナイル「ハイスコアガール」(原作アニメ。2期がスタート! ゲームを愛した2人の少女と1人の少年の、エモーショナルな恋の物語。

 既にOVAとして発売、配信されているTV初放送の13話は、前作の12話から直接続いていることもあって、めちゃくちゃ重い空気からスタート。おそらく2期は、無邪気に喜びきれない、登場人物たちみなが悩み続けるヘビーな展開になりそうです。ゲームの主人公が苦しみながら戦うのと同じ。極めろ道、悟れよ我。


ハイスコアガール




ハルオ、大野、小春……簡単なおさらい


ハイスコアガール 「恋の告白」はこの作品初(5巻)

 OVAとアニメ2期はコミックス5巻からの内容。今まではそれぞれ「一緒に遊ぶの悪くない」レベルのやり取りだったのが、高校生にになって「好き」という気持ちと向き合わざるを得なくなってきました。

 まず大野晶。彼女は厳しいしつけの元育てられているお嬢様。息抜きとしてゲームの世界に惚れ込み、没頭していました。そこで出会ったのが小学生時代のハルオ。自然体で自分に寄り添い、日々の苦しみから抜け出すよう導いてくれた。彼女はハルオに特別な視線を向けるようになるものの、自分の環境の問題で、自分がどう感じているか伝えないまま。

 今回あまり出てきませんが、日高小春はハルオに気づいたら惹かれてしまい、自分の止められない恋の炎に苦しんでいる少女。中学校で出会ってから、アプローチを開始。高校に入ってからは自分を奮い立たせて、ハルオに近づこうとグイグイ押していきます。ハルオがゲームが好きだから、自分も横に並びたいと一生懸命勉強してゲームをはじめる、健気な子です。

 矢口春雄(ハルオ)自身は視線がゲームにしか向いていないので、2人の気持ちをほとんどわかっていません。まったくもってニブ過ぎるんだけど、その分生き方はまっすぐで裏表がない。もっとも周囲から見たら、「小春はハルオが好き」「ハルオは大野が好きかも」というのはバレバレ。

 付かず離れずの甘酸っぱい関係が描かれていた今までの流れは、アニメ12話の小春の告白によって一転します。ここにいるのは男と女。以降は、ゲームを通じて恋をぶつけあう真剣バトルです。



大野、はしゃぐ


ハイスコアガール 楽しそうですねぇ!(5巻)

 13話は大野とハルオが夏祭りに行く話。大野はお祭りを大満喫中。両手に持って食べる欲張りわがままっ子感。かき氷も食べるよ。射的では「FF6」を撃ち落とした上に、ネオジオ本体まで狙うよ。めちゃくちゃはしゃいでます。

 大野はハルオと遊んでいる時、心の底から楽しそうにしています。彼女は幼い頃から娯楽を奪われ続けていました。だからこそ混沌と真剣勝負とワクワクのあふれたゲームセンターにこっそり入り浸っています。でも1人の時、ゲーム自体は楽しんでいるものの、人に心は開きません。それをこじ開けてきたのは、幼い頃のハルオでした。彼はただ単に「俺より強い奴を倒したい」とわがまましていただけですが、大野からしてみたらそこまで食らいついてくる、心をさらけ出して本音でぶつかってくる人は初めて。次第に彼は、牢獄に閉じ込められた自分の元に差し込む光のような、救いの存在になっています。

 彼女は無口なので言葉では言わない。かわりにハルオに殴る蹴るの暴行を加え、自分の気持ちをぶつけようとします。


ハイスコアガール そういうこと何も考えないで言うからー(5巻)

 小学生時代は大野が蹴ってくることを嫌がっていたハルオも、さすがに高校生になるとちょっとだけ何か分かってきている。それでも分かっていないから「大野って可愛い顔してんのな…」なんてキラーワードを言っちゃう。天然ジゴロなところあります。

 大野は、そんな彼の性格も含めて、一緒にいて気楽なんでしょう。普段周りはちやほやしてくるけど、彼は蹴ったら文句を返してくれる。今まで忖度されたコミュニケーションしか知らないから、彼の反応はいつも新鮮。このへんの悲しみも、高校生ハルオにはうっすら分かってきているようで、ハルオはどんどん大野にちょっかいをかける。大野は口を開かないからハルオの完全に1人語りになるんだけど、彼はこれがめちゃくちゃうまいし苦でもない様子。


ハイスコアガール んふー(5巻)

 もちろんゲーセンでも全力で大暴れ。

 大野はゲーム大好き少女ではありますが、お祭りのような娯楽も大好きです。経験したことがないあらゆることに、興味を示します。以前みんなで遊園地に行ったときも、ずっとゲーセンに入り浸ったあとに、2人で遊具に乗りたいと、彼女にしては珍しいわがままを表しました。他にも人はいたけれど、この思いはハルオにしか伝えていません。どういうことか今は気づいているだろうか、ハルオよ。


ハイスコアガール 大野の表情は口元が大事(5巻)

 ハルオといたいのか。ゲームや娯楽で遊びたいのか。家から逃げ出したいのか。おそらくどれかに比重が偏りすぎているわけではなく、全てがつながっているはずです。好きなゲームを、のびのびと、ハルオと一緒に笑いながらやりたい。小春が「ハルオといるために、彼の好きなものを知りたい」だったのと、好意のベクトルがかなり違います。

 ゲームや娯楽に真摯でありたい、と願うハルオにとって、大野は同志であり戦友であり、ライバル。真剣にゲームに打ち込むことが面白い、というのがわかっているからこそ、お互い並走しているように見える。「恋愛対象」と認識できないのはニブすぎる罪ではあるけれども、ハルオにとっては倒すべき相手・大野への敬意でもあります。


言葉にできないもの


ハイスコアガール 「またね」が言えない(5巻)

 この作品は、大野がしゃべらないことが作品の感情描写に大きな影響を与えています。一応泣いたり満足したりする時、声は漏れます。言葉は出さない。常に彼女は「抑圧」の空気をまとい続けています。

 窮屈な状況にわがままは言いたいだろうし、ハルオへの思いも積もるものがあるはず。けれども大野は自分の環境を考えると何も言えない。

 アニメ13話、原作5巻あたりは特にハルオが自分の思いにたどり着けず迷走している段階。彼の行動や言葉の選び方も、ブレーキが掛かっている状態です。とてもスッキリしない曇天模様感。本人のモノローグですらない、客観的視点に住む心のガイルと心のザンギエフは、ナレーション的にこう語ります。

 心のガイル「あの娘はハルオにとっての潤滑剤…」心のザンギエフ「なんとももどかしい関係だなあの二人は…!!」


ハイスコアガール 「またな」が言えない(5巻)

 ハルオは大野に「またな」が言えない。「元気でな」しか言う言葉がなく、別れの空気が漂います。

 もしここを打開するとしたら、ハルオが自分の思いをスパンと突きつけることだけなんですが、それができないから困っているわけで。大野は大変だけれども、ハルオも問題山積みで、戦い続けています。


厄介者なんかじゃない

 悪の権化的に見えてしまう業田萌美先生。鬼のような大野の先生です。稽古事やお勉強のみならず、プライベートの風紀まで仕切る、目の上のたんこぶのような存在、として今のところは描かれています。

 彼女が家にやってきて、ハルオに「アナタは晶さんにとって厄介者です」と言った時、ハルオママが動きました。


ハイスコアガール 最高にかっこいいなみえママ(5巻)

 矢口なみえ「私は自分の息子をのびのび育てた事にまったくもって後悔しておりません 気立てのいい…本当に良い息子に育ってくれたと思ってます…」

 ハルオママは、子供を育てるものとして、萌美先生と同じ目線に立って話しているのがかっこいい。そもそも息子が「厄介者」なんて言われたらブチ切れてもいいものですが、自分の子育てと、萌美先生の教育、それぞれ考えがあっての教育であるのを尊重し、言葉で語ります。

 萌美先生のいうことは、第三者視点であることを考えるとなにもかも間違っているわけではないのは注目したいところ。コミックス4巻では、家出した大野を探しにいったハルオが夜帰れなくなり、二人で同じホテルの部屋に泊まっています。高校生男女でこの状況、大人なら避けてほしいと願うのは当然のこと。大野を虐待する悪役なわけではありません。

 ここは、ハルオ本人が今何を考えどう過ごしているかを、萌美先生も知るしか無い。母親ですら知らない彼の今の生き様を知っているのは、心のガイルさんだけ。次回、その片鱗を見ることができます。



       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10

  1. /nl/articles/2112/06/news163.jpg 「普通に頭おかしい」 朝倉未来、一般人のジム乱入に困惑 週刊誌記者をかたっての不可解な訪問へ「マジ迷惑」
  2. /nl/articles/2112/06/news149.jpg 47都道府県の「県章」を仮面ライダーにアレンジ 各地の特色を宿した空想ヒーローに全国特撮ファン大盛り上がり
  3. /nl/articles/2112/06/news136.jpg ファミチキの“袋”の写真だけを淡々とツイートするアカウント「ファミチキへの怒り」が人気 気持ちは確かに分かる
  4. /nl/articles/2112/07/news122.jpg 「美賀君に会えました」大島優子、川栄李奈との2ショットを披露 大河ドラマ共演にファン「すごくないか?」
  5. /nl/articles/2112/06/news140.jpg どういう展開なんだ フワちゃん、有吉弘行からの贈り物で母が懐柔「宝物にする(ハート)」→「娘さんから僕が守ります!」
  6. /nl/articles/2112/06/news141.jpg 柴咲コウ、ヘアドネーションでロングへアから大胆イメチェン クールなショートカット姿に「美人が引き立ちます」
  7. /nl/articles/2112/06/news053.jpg 「竹とトラって、最高に似合っててカッコイイ」 ヘソ天で爆睡するトラに「思ってたのと違う」とツッコミ殺到
  8. /nl/articles/2112/06/news033.jpg 隣人が執拗に「引っ越せ」と嫌がらせをしてくる理由は? その「真実」を描いた漫画に切ない気持ちになる
  9. /nl/articles/2112/06/news051.jpg お風呂に呼ぶ父に息子が「行けるわけなかろーもん」 猫さまとラブラブな光景に「息子さん正しい」と賛同の声
  10. /nl/articles/2112/07/news028.jpg 柴犬の肉厚ほっぺをもんで、手を離すと……? “冬毛のコブ”ができた姿に「ハムスター?」「形状記憶ほっぺ」の声

先週の総合アクセスTOP10

  1. 東大王・鈴木光、“お別れの笑顔”で司法試験合格を報告「本当にありがとうございました」 SNS閉鎖に涙のエール続々
  2. 高嶋ちさ子、ダウン症の姉とさだまさしのコンサートへ 笑顔あふれる3ショットに「姉妹で素敵」「癒やされました」の声
  3. 「キレッキレ!」「何回見ても笑えるwww」 白柴犬の激しすぎる後ろ足の動きに国内外から大反響
  4. 45キロ減のゆりやんレトリィバァ、劇的変化の“割れたおなか”に驚きの声 「努力の賜物」「昔を思い出せない」
  5. 46歳と18歳の内田有紀、“2人そろって”『STORY』表紙へ 「自分の妹と撮影しているみたい」
  6. ダレノガレ明美、“痩せすぎ”指摘する声に「体絞っていました」 現在は4キロの増量 「ご安心ください」
  7. 渡辺美奈代、公開した自宅リビングが広すぎて“お姫様のお部屋” ゴージャスな部屋へファン「センスまで抜群」
  8. アイドルが「虚偽の発言」「繋がり行為」など複数の違反行為 ファンのため“卒業”を提案するもブロック→解雇へ
  9. 「美男美女の一言」「これぞベストカップル」 高橋英樹&小林亜紀子、“48年前の夫婦ショット”が絵になりすぎる
  10. ゴマキの弟・後藤祐樹、服役中に死去した“母との約束” 「1000万円企画」朝倉未来の計らいで首のタトゥー除去

先月の総合アクセスTOP10

  1. 池田エライザ、 “お腹が出ている”体形を指摘する声へ「気にしていません」 1年前には体重58キロ公表も
  2. 「前歯を取られ歯茎を削られ」 広田レオナ、19歳デビュー作で“整形手術”を強制された恐怖体験
  3. ゴマキの弟・後藤祐樹、朝倉未来とのストリートファイトで45秒負け 左目腫らした姿を自ら公開し「もっと立って闘いたかった」
  4. 清原和博の元妻・亜希、16歳次男のレアショットを公開し反響 「スタイル抜群」「さすがモデルの遺伝子」
  5. 小林麻耶、おいっ子・めいっ子とのハロウィーン3ショットに反響 元気な姿に安堵の声が続々「幸せそうでなにより!」
  6. カエルに普段の50倍のエサをあげた結果…… 100点満点のリアクションに「想像以上で笑った」「癒やされました」
  7. 「左手は…どこ?」「片腕が消えてる」 中川翔子、謎が深まる“心霊疑惑”ショットにファン騒然
  8. 「家ではまともに歩けてない」 広田レオナ、左股関節に原因不明の“炎症” 夫から「凄い老けたと言われてます」
  9. 小林麻耶、髪ばっさりショートボブに「とても軽いです!」 ファンも反応「似合います」「気分も変わりますよね!」
  10. キンタロー。浅田舞の社交ダンス挑戦を受け体格差に驚がく 「手足が長い!!」「神様のイタズラがすぎるぞ!!」