「やる夫スレ」の傑作4編が書籍になるようです 今再び脚光浴びる「やる夫」、企画者に意図を聞いた(1/4 ページ)
やる夫スレからまさかの書籍化。
「傑作やる夫スレ4作が一挙にラノベ化」との発表に、5月、インターネットの一部で激震が走った。
“やる夫スレ”とはインターネット掲示板でAA(アスキーアート)と文章を組み合わせ、物語を展開していくのが特徴のスレ群。2002年には2ちゃんねる上に「AA長編板」が誕生。2007年〜2008年ごろから“やる夫”のAAを駆使した作品が多数投稿されるようになり、次第に「やる夫スレ」という総称が定着していった。
現在では「小説家になろう」(ヒナプロジェクト)や「カクヨム」など、手軽な作品投稿サイトが存在するが、そうしたネットインフラが整備されていなかった00年代、ネット発の面白いテキストが大量に生まれたのがやる夫スレだった。
AAには2chキャラのみならず、漫画やアニメなどのキャラも使用された。そうして二次創作的なクリエイティブも飲み込み、スレ上の読者の反応を相乗効果に数々の名作が誕生していった。本格的に作品に触れたことがなくとも「やる夫で学ぶ○○」シリーズや、「やる夫は○○するようです」といった印象的な定形タイトルに、なんとなく見覚えがある人もいるはずだ。
現在でもやる夫スレは存在しているが、「なろう」をはじめ手軽な創作手段が多数存在する昨今では、スレ人口が少なくなってしまった感が否めない。そんな中、やる夫スレから4作品を一挙に小説化する企画「スレ発ラノベ4」が突然発表された。中には約10年前の作品が元となった作品も存在する。何故、いま……!?
このインタビューでは、企画の仕掛人、MF文庫J編集部のカミチ氏と、カドカワBOOKS編集部のいのしし氏に直撃。何故やる夫スレなのか? 2ちゃんねる上の作家にどうやってコンタクトを取ったのか? そもそもやる夫スレを小説に変換するのは難しくないのか? ……次々と湧いてくる疑問に答えてもらった。
会議中にこっそり読んで、どハマりした
――やる夫スレから書籍を出すと聞いて正直驚きました。
カミチ 他社さんだと『ゴブリンスレイヤー』とか、もちろん前例があるんですけどね(笑)。ラノベ界にはこれまでPCゲームや「小説家になろう」など、外の世界から血を入れて大きくなってきた歴史があるので、「では、『なろう』の次にどこかないか?」と考えたときに、「やる夫スレがあったぞ!」と。
――発表後の反響はすごかったですね。
いのしし 当初togetterのまとめが4〜5万の閲覧数になっていて、反響としては十分かなと思ってたんですが、少し経ってから見てみると30万以上になっていて驚きました。
※参考:「傑作やる夫スレ4作が一挙にラノベ化の発表へ」 - togetter
――もともとやる夫スレはよく読んでいたんですか?
カミチ 存在は知っていましたが、本格的に読んだのは昨秋からです。読み始めたらハマりこんでしまい、「キッチンやらないO」「翠星石と白饅頭な彼氏」などは会議中にこっそり読んで、気付いたら泣きそうになったりしてました。ファミレスで22時ごろに読み始めた「やる夫はカードを引くようです」も、気付けば夜中の3時とかになっていたり……。
――読者目線で面白かったと。
カミチ 編集者として10年間エンタメの洗礼を受け続けてきましたが、5時間意識を丸ごと飛ばされるのはなかなかないんです。編集として、売れそうだから企画を立てるのは当たり前ですけど、今回とにかく面白いものにもっと日が当たって欲しいという思いでやってるところがあります。
――いのししさんとの分担はどのようなものだったのでしょうか。
カミチ 私が担当しているMF文庫Jは主に中高生や大学生向けのレーベルなので、高校生や大学生くらいの主人公が多いんです。ところが『クレイジーキッチン』(編注:やる夫スレ版は「キッチンやらないO」)はどうしても主人公がアラサー以上になってしまうなあ……と。
いのしし カドカワBOOKSだともっと大人の読者さんも多いということで、突然LINEで「カドカワBOOKSで出したいやる夫スレがある」と相談が来ました。そこで挙がったタイトルが「キッチンやらないO」で、僕としてはその時点で衝撃ですよ。めちゃくちゃ有名なやつじゃないですか! って。
――いのししさんはもともと作品のファンだったんですね。
いのしし いつか本にしたいなとは思ってたんですけど、単発で書籍化しても、本当に読者に届くのかな? という懸念がありました。でも、カミチがいきなり大作を持ってきたので、「じゃあ俺もやりたいのがあるから、まとめて出しましょう!」と。
――作家さんへのコンタクトはスムーズに行ったんですか?
カミチ 全くスムーズではなかったですね(笑)。
――スレ上だとトリップで作者だと判別できますが、皆さんTwitterアカウントにトリップが紐付いてる状態ではなかった……?
カミチ なかったんですよね。
関連記事
- あのころ、電話線の向こうには“未来”があった―― 「パソコン通信」がくれた出会いと記憶
インターネットが一般に普及するよりもっと前、「パソコン通信」の時代を経験者に聞きながら振り返ります。 - インターネット老人会大歓喜! 歴代のネット流行語をLINEスタンプにするアイデアが「クオリティタカスw」
懐かしすぎワロタwww - 「オプーナ」のLINEスタンプが製作決定 買う権利ありがとうございます……! ありがとうございます……!
エナジーボンボン再び。 - 「小説家になろう」で「西尾維新」名乗る作品、物議醸す 書籍化・アニメ化告知するもKADOKAWAは否定
小説投稿サイトに投稿された西尾維新さん名義の作品が、本当に本人の作品なのかどうか注目を集めています。 - 「ネチケット」が今や懐かしい言葉になってしまったの、なんでだろう?
「HTMLメール禁止」「マルチポスト禁止」「機種依存文字禁止」……いろいろありました。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
【ハンドメイド】余った布が大変身! 捨てるのがもったいなくなる活用法に「天才じゃないですか!」「素敵なアイデア」
-
庭に置かれた“普通の物置” → DIYで“まさかの姿”に大変貌 「え?物置ですか?」「すごすぎ」
-
クルマのドアが開かない……! 車内から緊急脱出する“驚きの方法”に目からウロコ 「貴重な情報」「良い知識」
-
両親の離婚を機に、男子高校生が初めて作った“お弁当” その出来が「すごい」「なんか泣ける」と300万再生突破
-
コストコで人気「ヨーグルト」に大腸菌群陽性の可能性…… メーカーなど謝罪「深くお詫び」 5万8000個自主回収
-
買ったばかりの家の風呂場に”ありえない欠陥” 信じられない状況に「そんなことある?」「取り付けた業者……」
-
大人なら5秒で解きたい!「9+0÷2−3」の答えは?【算数クイズ】
-
天皇皇后両陛下と愛子さま、“おそろいコーデ”に23万いいね 着用アイテムに同系色
-
高校生のときに出会った“同級生カップル”→「親に頼らん!」と必死に貯金して…… 19年後、現在の姿に反響
-
「上達すごくね!?」 中学生絵師、小1→中2の成長ぶりに思わず感嘆 「人間の可能性を感じる」
- 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
- DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
- 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議
- スーパーで買った半玉キャベツの芯を植え、5カ月育てたら…… 農家も驚く想像以上の結末が1300万再生「凄い」「感動した」
- 東京藝大卒業生が油性マジックでサンタを描いたら? 10分で完成したとんでもない力作に「脱帽です」「本当にすごい人」
- 定年退職の日、妻に感謝のライン → 返ってきた“言葉”が約200万表示 大反響から7カ月たった“現在の生活”を聞いた
- 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
- 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
- 「すんごい笑った」 “干支を覚えにくい原因”を視覚化したイラストが勢いありすぎで1700万表示の人気 「確かにリズム全然違う!」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」