辞書を読破した人にしか分からない「“シ”のトウゲ」 『大辞林』編集長インタビュー(2/3 ページ)

» 2019年11月26日 20時00分 公開
[ねとらぼ]

――― 今度は読者からの質問「辞書は何冊くらい持ってますか」。やっぱり他社の辞書も資料として持っているんですか?


インタビュー前に、ねとらぼのTwitterアカウントで一般募集した質問

編集長:当然ですよ(笑)。明治時代以降はほぼ全てそろっていると思いますよ。平安時代以降のもの、例えば、「新撰字鏡」「倭名類聚鈔」「類聚名義抄」「下学集」「節用集」など古辞書の影印本も資料として持っています。さすがに社内には収まりきらないので、一部は倉庫に保管していますが。


編集部にお邪魔したところ、こんな感じの本棚がいくつも。さらに社外の倉庫にも保管しているそうです

ながさわ:古い言葉、出典などを管理するために必要ですからね。

編集長:辞書には見出しがあって、表記があって、解説、用例……というスタイルがありますが、それは過去の辞書の積み重ね、伝統の上に成り立っているものですからね。

――― 「なぜ第4版を出すのに、13年も掛かったのですか」「改訂までの間、どんなことをしていたのですか」といった読者質問も来ていました



編集長:辞書づくりは時間を掛けようと思えばいくらでも掛けられるんですが、会社としてはどこかで区切って出さないといけません。第3版の刊行以降、改訂・増補などの作業はずっと行っていて、次の版を出すタイミングを見計らっていた、というところですね。

 そもそも「この時代に紙で出せるのか」という話があって。このような大きな国語辞典が売れるのか、という市場の問題ですね。勇気がいることなんですよ、紙は在庫になる可能性もありますし、安いものではありませんから。

 4〜5年前に刊行する方針が固まって、そうこうしているうちに『広辞苑』(岩波書店)の新版が出て、それなりに好調なのであれば「われわれも出さなければ」と。次のタイミングはいつだろうと検討した結果、令和への改元後に出すことに決まったんです。

 紙の辞書はデジタル版と違って中身が変えられませんが、逆に言うとこの形のまま、時代の象徴として残っていきますから。

――― 三省堂が過去のさまざまな辞書を保有しているように100年後に辞書を作る人たちも『大辞林』第4版を持っているかもしれませんね、令和最初期の辞書として

編集長:当時はまだ新しい元号が何になるのか発表されていなくて、もっと言えばいつ発表されるかも分からないような状況。元号が切り替わる5月を編集の最後のタイミングに設定して、9月に刊行することにしたんです。そうしたら第3版から13年たっていたというわけです。

(続く)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  2. /nl/articles/2412/10/news133.jpg 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  3. /nl/articles/2412/12/news089.jpg フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. /nl/articles/2412/14/news081.jpg 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  5. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  6. /nl/articles/2412/15/news002.jpg 毛糸でフリルをたくさん編んでいくと…… ため息がもれるほどかわいい“まるで天使”なアイテムに「一目惚れしてしまいました」「うちの子に作りたい!」
  7. /nl/articles/2412/14/news038.jpg 「釣れすぎ注意」 消波ブロック際に“カツオを巻いた仕掛け”を落としたら…… 驚きの結果に「これはオモロい!!」「こんなにとは」
  8. /nl/articles/2412/14/news063.jpg 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  9. /nl/articles/2412/14/news002.jpg 【今日の難読漢字】「男衾」←何と読む?
  10. /nl/articles/2412/15/news024.jpg おじいちゃん「昔はモテた」→孫は信じていなかったが…… “今では想像できない”当時の姿が140万再生「映画スターのよう」【米】
先週の総合アクセスTOP10
  1. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  2. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  3. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  4. 高校生のときに付き合い始めた2人→10年後…… 現在の姿に「めっちゃキュンってした」「まるで映画の世界」と1000万表示突破
  5. 大谷翔平の妻・真美子さん、ZARA「8000円ニット」を着用? 「似合ってる」「シンプルで華やか」
  6. 新幹線で「高級ウイスキー」を注文→“予想外のサイズ”に仰天 「むしろすげえ」「家に飾りたい」 投稿者に感想を聞いた
  7. 高校生時代に父と撮った写真を、29年後に再現したら……再生数1000万回超えの反響 さらに2年後の現在は、投稿者に話を聞いた
  8. 散歩中、急にテンションが下がった柴犬→足元を見てみると…… 「そんなことあります?」まさかの原因が860万表示「かわいそうだけどかわいい」
  9. コメダのテイクアウトで油断して“すさまじい量”になってしまった写真があるある 受け取ったその後はどうなったのか聞いた
  10. 「やめてくれ」 会社で使った“伝言メモ”にクレーム→“思わず二度見”の実物が200万表示 「頭に入ってこない」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」