『クロマティ高校』野中英次の原点にして名作『課長バカ一代』がついに電子書籍化されたのでみんな読んでください:マシーナリーともコラム
え、これ実写ドラマ化されるの!?
バーチャルYouTuber、マシーナリーとも子による不定期コラム第19回(連載一覧)。今回はとも子が大好きな漫画『課長バカ一代』(野中英次)がついに電子書籍化されるということで、存分にその魅力を語ってもらいました。え、これ実写ドラマ化されるの!?
ライター:マシーナリーとも子
徳で動くバーチャルYouTuber(サイボーグ)。「アイドルマスター シンデレラガールズ」の池袋晶葉ちゃんのファンやプロデューサーを増やして投票してもらうために2018年4月に活動開始。前世はプラモ雑誌の編集をしていたとも言われているが定かではない。現在はBOOTHでグッズを売ったりLINEスタンプを売ったりしている。
YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/user/barzam154
新しいテーマ曲ができたから聞いて!:https://youtu.be/tEdayh6oEXg
ポータルサイト:https://www.machinery-tomoko.com/
マシーナリーとも子オールタイムベストマンガ10を探して生きてます
TODAY IS MONDAY. マシーナリーとも子よ。
マンガというのは素晴らしい娯楽だ。ときに楽しく、ときに悲しく、読むものの心を沸き立たせてくれる。そして一枚の絵よりも分かりやすく、小説よりもスンナリ理解しやすく頭のなかに物語が入ってくる。そしてアニメや映画と違って自分のテンポで読み進めることができる……。だから気に入ったマンガはついつい10回20回と読み直してしまう。そんなモンだよな。
私、めちゃめちゃ気に入って自分のなかで殿堂入りにしてるマンガがいま5つあってさ。完全に死ぬまでにあと5つ見つけて「これが私のお気に入りマンガ十選です……」てのをやりたいと思ってるんだよね。マシーナリーとも子オールタイム・ベスト10を作りたいわけ。で、その十選に入れる基準なんだけどただメチャメチャに面白いとか、すげえかわいくて好みの子がいるとかそれだけじゃあ入れられんねえな、と考えながらセレクトしてるのよ(何様?)。
マシーナリーとも子オールタイム・ベストの基準、それは「主人公みたいな生き方をしてえ……」と思えるかどうか。ただカッコいいとか、尊敬できるとかってだけじゃあダメなのよ。「コイツみたいに生きてみてえな……」って思えるかどうか。それがベスト10入りの基準なんだよね。
前置きが長くなった。今回はそんなマシーナリーとも子オールタイム・ベスト10入りのとあるマンガが、初の電子書籍化を果たしたのでみんなに読んでもらいたいと思って筆をとりました。みんな、買って、読んでください。
野中英次の名作、『課長バカ一代』を……。
すごい男、八神和彦
『課長バカ一代』は『魁!!クロマティ高校』でおなじみの野中英次による作品。
家電メーカー「松芝電機」商品開発部の係長であった白スーツオールバックの主人公、八神和彦はある日課長補佐代理心得に任命され……ってのが一応のあらすじなんだけど、別に「島耕作」みたいに八神がガンガン活躍して出世しまくるということもなく、八神がダラダラと過ごしていくだけのマンガです。日常マンガです。まんがタイムきららです。
この八神という男、実にすごい。私はマンガ界でトップクラスにこの男を尊敬している。この男のようになりたいと常日頃意識して行動している。本当だ。私が生きているうえでもっとも目標としているキャラクターの一人……それが八神和彦なんだよ。八神がどんな男なのかというと……。
バカである。それも底抜けのクソバカだ。例えば鏡を見ながら「鏡に映った俺はまったく“まばたき”をしていない!!」と驚いたりする。すげえな。逆によくそのことに気づいたね!
「空手バカ一代」は大山倍達が空手に全てを賭けた空手バカであるところから名付けられたタイトルだが「課長バカ一代」は単純に課長の知能がバカ。
子供のころの夢が「フェラーリになりたい」だったくらいの生粋のバカである八神。だが人類史上トップクラスのバカである八神の地盤はなぜかそれなりにしっかりしている。勤めている松芝はモデルになった企業同様に太そうだし、ちょくちょく出てくる自宅もけっこういいマンションで部屋も広いことを伺わせる。しかも劇中には登場しないがキチンと結婚していて奥さんがいるらしい。バカなのに!
さらに中盤、開発部第二企画課の課長補佐代理となった八神はこれまでにない斬新な商品を開発するという大義名分のもと、同課の予算である20億円を自由に使える男と化す。バカなのに……!
そんなしっかりした社会人としての地盤を持つ八神だが、彼はそんなものに惑わされずバカとしての本懐を次々に全うしていく。彼はとにかく働かない。彼は会社を「いれば給料がもらえる空間」として利用している。いや、たまに話の都合で企画書を書いたりするときもあるが全体的に彼は仕事をしない。
そんな八神に私が特に感銘を受けたエピソードがある。第6巻収録の「融通」だ。このお話は融通が利かない平社員の指導をバカで適当に過ごしている八神が担当するという話なのだが、八神が彼に与える指導はとにかく「適当にやれ」「まじめに仕事なんかするな」なんだよね。
融通が利かない社員、浅野は八神から「飲みに行こうか」と誘われたので「いつ、どこで飲むんですか?」と聞き返す。すると八神は「そんなことはどうせ俺も忘れるんだから適当に答えりゃいいんだ」と答える。すごい。すごすぎる。そのとおりだ。「飲みに行こうか」「遊びに行こうか」という上司からの誘いは十中八九社交辞令であり、適当なものだ。外をふたりで歩いているときに話題がないから「それにしても今日はこんなに寒くなるなんて思いませんでしたね」みたいなことを話しかけるのとまったく同じだ。それを自分で言葉にして言ってしまうのがすごい。なんて男なんだ……!
その後も八神は「いい仕事をするためには仕事をサボれ」「残業は残業代がほしいときに適当にやれ」とすさまじいアドバイスを次々に届ける。すごい。この男はすごい。この男は会社をゆかいに生きるために利用しているにすぎないのだ。なんて男だ……。
1巻収録の第十八章「単騎」もものすごく好きなエピソードだ。夜遅くまで残業していた八神はオフィスで一人っきりになったので逆立ちを試みる。すごい。逆立ちするくらいなら家に帰れよ!!!!
この話、本当に八神が夜中に逆立ちをするだけで終わるという中身がなさすぎる話なんだけど、あまりに好きすぎてな……。数年前、私がまだ会社員だったころの話なんだけど、終電でみんなが帰り、オフィスに私一人っきりになったときを見計らって「やるなら今だ!!!」と逆立ちをしてみたことがあるよ。あれは実に楽しかった。「私はいま、八神と同じことをしている……」と恍惚としたことを覚えている。やってるときの気持ちとしては完全に「ロッキー」ファンがフィラデルフィア美術館の階段を走って登るみたいなアレでした。さすがに直後に帰りたくなったけど。
八神はとにかく働かない。たまに企画を出したり新製品のプレゼンをしたりすることもあるが、基本働かない。野球をしたりして過ごしている。彼は「なにをしているのかよく分からない人」なのだ。しかしそれでいて意外と部下や上司からは慕われている。なにをしてるのかよく分からないのに!!!
なにをしているのかよく分からないし、なんなら仕事全然してないけど仲間からそこそこ慕われつつ毎日のらりくらりと適当に楽しく生きている会社員、八神和彦。私は彼に憧れた揚げ句にいまは流しのバーチャルYouTuberとしてなんとなく楽しく過ごしていますがいかがでしょうか。ちょっとは彼に近づけたでしょうか。少なくともなにをやってるのかよく分からない存在にはなれてる気がする。自分でもなんで野垂れ死なないのか不思議だもんな(仕事ください)(LINEきせかえ買って)。
ドラマも始まるんだってさ
さてそんな「課長バカ一代」なんだけどなんとこのたびテレビドラマになるんだそうな。今回の電子書籍化もその一環ってわけだな。
正気か? 令和だぞと思いつつ初報の時点でボブの足のなかにモロに人間の靴が見えたりするガバガバさに期待しかない。BS放送のほかWeb配信もするらしいのでなんとかガンバって見たいわ。
というわけでみんな、マシーナリーとも子の心の一作、「課長バカ一代」をよろしくな。まず原作読んでみてくれよな。そんじゃ。
(C)野中英次/講談社 (C)「課長バカ一代」製作委員会
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