インタビュー
» 2020年02月13日 19時00分 公開

【ゲームの世界史】なぜ米国のゲーマーはRTA(リアルタイムアタック)で東日本大震災の支援活動ができたのか (2/3)

[ねとらぼ]

人類はいつからゲームのクリアタイムを競うようになったのか

―― アイテムをコンプリートする、縛りプレイをする、うまくなることを目指す……などゲームにはさまざまなやり込みが。「早くクリアする」というタイムアタックは、どのように生まれたのでしょうか?

 米国のRTAプレイヤーが、スピードラン(日本で言うところのタイムアタック)の歴史をまとめた『Speedrun Science』という本を参考にお話しましょうか。

 まず書かれているのは、「ゲームが誕生した瞬間から、早く走ろうとしていた人がいたに違いない」みたいな話。

―― 起源の想定がガチ勢ですね(笑)

 それはさておき、タイムアタックの始まりは、米国の「Twin Galaxies(※)」という組織がアーケードゲームのハイスコアをまとめたことだとされています。

 レースゲームだと「スコアが良い=タイムが早い」ということになるわけですよね。具体的なタイトルでいうと「Atari 2600」というハードの「Dragster」が最初らしい。

―― Atari 2600、ファミコンよりも以前に米国で登場したハードですね。触ったことないな……

※Twin Galaxies:公式サイトによると、アイオワ州のゲームセンター「Twin Galaxies」の設立者は1981年、100を超えるゲームセンターを巡って、各タイトルのハイスコアを収集。翌年、それをデータベース「Twin Galaxies National Scoreboard」として公開。公式スコアボードとして知られるようになったという

Dragster:1982年に「5.51秒」という最速記録が登場し、数十年にわたって更新されることがなかった、というスゴいエピソードで有名なレースゲーム。また、その記録は数十年後の検証により「理論上の最速タイムよりも早く、そもそも不可能」とされ、現在では偽装されたものと見られている、という悲しいエピソードでも有名。


プレイ中の様子


世界記録「5.57秒」が出た瞬間。ちなみに、このタイムが理論上最速と言われています

 「Speedrun Science」によると、タイムアタックが最初に行われたイベントは、1990年に米国の各州を回った「Nintendo World Championships」。「マリオ」をはじめとした任天堂系タイトルで「コインをいっぱい取ってクリアしよう」などの企画が行われ、その中に「早くクリアしよう」というものがあった、と。

―― 「別に最速クリアを目指さなくてもいいタイトルで、クリアタイムを競う」という発想は、それくらいのころからあったんですね

 日本に関しては僕も調べたことがあるんですけど、「国内では80年代ごろから、各ゲーム会社が早くクリアすることを目指すゲーム大会を開いていた」という記事を見た覚えがあります。

「ホテルを丸ごと借りる」 海外RTAイベントの盛り上がり

―― RTAイベントは、海外では「何億円も集まるほど大規模なイベントに成長している」と聞いています。やっぱり日本とは規模感が違うんですか?

 世界最大規模のRTAイベント「GDQ」が始まったのが2010年。最初は「ゲーム画面とカメラがあるだけ」みたいな感じだったんですけど、今はホテルを丸ごと借りてやったりしていますね。

―― ホテルの会場を借りるのではなく……丸……ごと?

 宿泊室がプレイヤー、観覧者で埋まるんですよ。

 国内だと本気のeスポーツイベントで同じことをやろうとしても、そもそもホテルから許可を取ることが難しいような気がします。海外事情にはそんなに詳しくないんですけど、あちらの方がゲームに対して寛容なのかなあ、と感じてしまうところですね。

―― 日本より浸透している印象は受けますよね

 海外だと最近は、RTAをeスポーツのように見せるイベントを開催している団体なんかも現れていたりします。「Global Speedrun Association」(GSA)というんですが。


クリアタイムを競うレースとして楽しめる画面構成で、会場の雰囲気もどことなくeスポーツ風

―― ところで、海外のRTA関係の団体っていくつあるんです? 話を聞いているとspeedrun.comとかTwin GalaxiesとかSDAとかGSAとかドンドン出てくるんですが……

 僕も正確な数は……。ちなみに、「RTA in Japan 2019」は海外の団体に実況解説付きでミラー配信してもらっていたんですけど、その団体は「SpeedGaming」といいます。

―― あ、また増えた

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