なぜ日本は偏差値が嫌いなのに使い続けるのか 考案した元・中学教員が語った“生徒のために作った偏差値が悪者になるまで”(1/3 ページ)
もともとは“教員の勘”で行われていた合否判定を、合理的に行うために生まれた数式。
日本で受験を経験した人ならば、「偏差値」というものをご存じでしょう。例えば、2019年度の東京大学理科三類の偏差値は72.5。これは「東大理科三類に合格した受験生の平均偏差値が72.5だった」ということです。テストを受けて「あなたの偏差値は○○です」と評定が下されては、「これでは志望校に入れない……」と頭を悩ませていた人も多いのでは?
しかし、受験生の未来を占うこの数字が昭和32(1957)年に誕生した理由、そして、考案者の手を離れ、「偏差値教育」といわれるように日本の悪しき教育システムを象徴する存在になるまでの経緯まではあまり知られていません。
このあたりの事情が詳しく書かれた『よみがえれ、偏差値』(1995年/文芸春秋)という本があります。著者は、偏差値の考案者である桑田昭三氏です。同書を参考に、偏差値という数字がたどった悲しい運命をご紹介します。
偏差値がなかった時代、教員の勘に頼った受験校の決め方
桑田氏が“受験校の決定方法”に疑問を覚えたのは、東京都・六本木にあった城南中学校で理科の教員をしていたときのこと。その学校では12月の中頃、「志望校判定会議」という学年会議が開かれていました。
「どの生徒に、どの高校を受けさせるか」を決める重要な会議で、まず配られるのが全生徒を成績順に並べた資料。そこには生徒の希望校が書かれ、判定欄が空欄になっています。そして、会議はこんな風に進みます。
「(成績の)1番から11番までがみんな日比谷高校を希望していますが、このうち10番までは大丈夫だと思われるから◎。11番のA君は大丈夫だと思われるが多少不安があるので○。次の12番のB君は九段高校を希望しており、これも問題ないので◎」
日比谷高校とは、当時都内で最も「格」の高い高校で、東大合格者を毎年150人前後出していました。九段高校はそれよりもいくらか「格」の低い高校でした。
そして、次の生徒こそが、桑田氏に偏差値を考えるきっかけを与える生徒でした。
「さて13番の津川君ですが、希望は日比谷になっていますが、無理だと思います。九段高校か小山台高校に変えるよう指導した方が良いと思います。判定は×です」
津川君は桑田氏の受け持つ生徒で、学年当初から日比谷高校を目標に頑張ってきていました。彼の母親は数年前に夫を亡くしながら、3人の息子を育てています。そんな母の負担を少しでも減らしたいと頑張っている津川君を、桑田氏はすぐそばで見てきました。
なんとしても津川君の希望をかなえてあげたかった桑田氏は、議長に異議を申し立てました。
桑田氏「合計点の平均では大して変わらないのに、なぜ11番のA君は○で13番の津川君は×なのですか?」
議長「昨年度、日比谷に合格したのは男子191人中の7番まででした。それを今年の生徒数に当てはめると12番になるというのが、一番のよりどころです」
桑田氏「しかし、その2人が学力的に同じであるとは限りません。また、昨年の7番の生徒が日比谷高校合格者全体の中の最低ラインとも限りません。その辺のところをご説明頂きたいのです」
これに対する議長の返事は、(偏差値教育に慣れた私達にとっては)意外なものでした。
議長「そのようなことは分かりません。そこから先の判断は勘です。逆に聞きますが、桑田先生は昨年の7番と今年の13番の生徒が学力的に同じもしくはそれ以上であると説明できますか?」
この問いに、桑田氏は答えられませんでした。
津川君はこのあと、本人の意思でもって、日比谷高校への挑戦を続けることにしました。ところが、結果は不合格。結局、議長の勘は当たっていたのです。
学力を合理的に推し量るにはどうすればよいのか
しかし、こんな非科学的な指導を続けていいのか。もっと科学的合理的に、生徒の学力を推し量る方法があるのではないか。これ以来、桑田氏はこの問題にとらわれ続けることになりました。
問題に取り組み始めてから、1年近くがたちました。1つひらめいたことがありました。
それまでは学校内の順位でもって合否の予想を出していましたが、入試は学区という単位で行われるのですから、学区における順位に目を向けるべきだ、というアイデアです。
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