「単純に考えて、学校行事を減らしたら生徒の学力は上がるんじゃない?」 現役中学教員に聞く“授業時間の確保が難しい実態”(1/2 ページ)

風が吹けば桶屋がもうかる式で「学校行事を減らすと、家計が楽になる」可能性も……?

» 2020年04月13日 20時00分 公開
[ねとらぼ]

 公立中学の現役教員に「日々働くなかで感じる学校の課題」を語ってもらう連載企画。今回は、Aさん(仮名)に「行事が多過ぎて、授業時間が削られている」という問題についてインタビュー。同氏は「学校行事を減らすことには、生徒の学力が上がる、家庭の教育費が減るなどのメリットがあるのでは」と指摘します。

「単純に考えて、学校行事を減らしたら生徒の学力は上がるんじゃない?」



―― 中学校の行事って、どんなのがあったっけ?

 学校によって違うんだけど、定番どころは運動会(体育祭)に合唱コンクール、修学旅行、マラソン大会、文化祭、生徒会の選挙、球技大会、百人一首大会、定期テスト……。小さいものだと楽物乱用防止教室とか、誰々の講演会とか、4月の各種検診とか……。

 行事と呼ぶべきか分からないものもあるけど、毎週のように何かしらやっていることは間違いない。詳しく知りたい保護者の方は子どもが通う学校のWebサイトで「年間行事予定」を見てほしい。今はどこの学校も公開していると思うから。

―― あたらめて聞いてみるとけっこう多いね

 学校行事は授業をつぶして行われることも多いのだけど、こうも数があると授業時間を確保するのが大変だよね。

 「この科目の授業は、1年間でこれくらいの時間やってくださいね」というルールが決まっているのだけど、俺が教えている科目だと、その70%くらい授業時間が取れればいいかな、という感じ。

―― 70%だと全然足りていないことになるけど、法的な問題はないの?

 「その行事と関係のある教科の授業時間としてカウントする」というような読み替えをしているらしい。

 だけど、通常の授業に使える時間が減ってしまうことには変わりないから、授業が進むペースはその分、早くなってしまうよね。

―― そうすると勉強についていけない生徒も出てきそうだけど……どうなの?

 単純に考えて、学校行事を減らしたら生徒の学力は上がるんじゃない? 通常の授業に使える時間が増えるわけだから。

風が吹けば桶屋がもうかる式で「学校行事を減らすと、家計が楽になる」可能性



―― 学校行事って減らせないの?

 前も言ったかもしれないけど、そういうことをすると保護者から「ウチの子が輝けるのはあの行事なんです!」みたいにクレームがくるし、「あの学校はサボってる」みたいに言われてしまうから、そう簡単になくせるものじゃないんだよね。むしろ、増えているくらい。

 一応、定期テストをなくすなどの取り組みを行っている公立校も、あるといえばある。でも、そういうのってだいたい型破りなワンマン校長が引っ張っていて。“教員の常識”から見ると「素晴らしい取り組みだ!」ではなく「何やってんの?」という感じ。

―― “普通の感覚”だとありえない取り組みなんだ

 個人的には「行事を減らして、授業時間を確保する」という考え方にも一理あると思うんだけどねえ。

 例えば、保護者は「学校の授業だけでは補いきれない部分があるから」と、子どもを塾に通わせていたりするわけだよね。

―― ああ、授業時間を増やして“補いきれない部分”をなくせれば……

 そうそう。「風が吹けば桶屋がもうかる」じゃないけど、「学校行事を減らすとその分、通常の授業時間が確保できる → 授業のペースが落ちて、勉強内容が理解しやすくなる → 塾に行かなくてもよくなる」となれば、家庭の教育費も減らせるかもしれない。

(続く)

※本企画は、現役教員の声をそのまま記事化したものです。実際の労働環境などは自治体、学校などによって異なる可能性があります。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/19/news150.jpg 「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
  2. /nl/articles/2411/20/news028.jpg 「うどん屋としてあるまじきミス」→臨時休業 まさかの“残念すぎる理由”に19万いいね 「今日だけパン屋さんになりませんか」
  3. /nl/articles/2411/20/news224.jpg “ドームでライブ中”に「76万円の指輪紛失」→2日後まさかの展開に “持ち主”三代目JSBメンバー「誰なのか探しています」
  4. /nl/articles/2411/19/news169.jpg 高畑充希と結婚の岡田将生、インスタ投稿めぐり“思わぬ議論”に 「わたしも思ってた」「普通に考えて……」
  5. /nl/articles/2411/20/news031.jpg 「本当に同じ人!?」 幼少期からイボをいじられていた男性→美容師の“お任せカット”が衝撃 「めちゃくちゃ大変身」
  6. /nl/articles/2411/19/news022.jpg 「おててだったのかぁああああ」「同じ解釈の人いた笑笑」 ピカチュウの顔が“こう見えた”再現イラストに共感続々、464万表示
  7. /nl/articles/2411/20/news042.jpg 「腹筋崩壊」 ハスキーをシャンプー&パックしたら…… “予想外のハプニング”に「こ〜れは大変だわ」「沼にでも落ちたのかとwww」
  8. /nl/articles/2411/20/news216.jpg “歌姫”ののちゃん、6歳現在の姿に驚きの声「あれっ!?」「ビックリしてます!」 2歳で「童謡こどもの歌コンクール」銀賞受賞
  9. /nl/articles/2411/20/news041.jpg 黄ばみのある68年前のウエディングドレスを修復すると…… 生まれ変わった姿に「泣いた」「受け継ぐ価値のあるドレス」
  10. /nl/articles/2411/18/news107.jpg 走行中の車から同じ速さで後方へ飛び降りると? 体を張った実験に反響「問題文が現実世界で実行」【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  2. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  4. まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
  5. 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
  9. ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  10. 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた