「コロナこわいけどぉ、安倍の声聞いたら元気出た」――”工作疑惑"もささやかれた謎の大量ツイート、「最初の投稿者」に真相を聞いた
ネット上では「ランサーズが世論操作のためにこれらのツイートを一斉投稿させているのでは」といった声も見られましたが……。
「コロナこわいけどぉ、安倍の声聞いたら元気出た」――こんなツイートが4月7日、多数のTwitterアカウントから短時間のうちに投稿され、「何かの工作か!?」と一部で騒然となりました。その後、関与を疑われた企業が否定のコメントを発表する事態にも発展したこの出来事、実は一部のTwitterユーザーの間で行われていた“遊び”が発端でした。
編集部では当該ツイートを書き込んだTwitterユーザーに取材し、今回の騒動の真相を聞きました。
ランサーズを巻き込んだ「工作疑惑」騒動に
「安倍のインスタライブ見てるナウ〜!! なんかむずかしい言葉ばっか使っててイミフなんだけど コロナこわいけどぉ、安倍の声聞いたら元気出た」
4月7日の19時すぎごろ、こうした文面のツイート(実際には絵文字が多数入っています)が多数のアカウントからTwitterに投稿されました。ツイートの数は最初の5分間で約15件にものぼり、これに気付いたネットユーザーが「何らかの政治的な工作ではないか」と反応。さらには「ランサーズが世論操作のためにこれらのツイートを一斉投稿させているのでは」といった声も見られました。
疑惑をかけられたランサーズは8日、「そのような事実は一切ございません」と否定するコメントを発表し、今後はこうしたデマについて、刑事告訴も含めた「断固たる措置」を講じていくと述べました。
さらに同日、Twitterユーザーのまぐろ/CLTさん、うっちー△さんが、この騒動は自分たちの“遊び”が原因だったとするブログを公開。いわゆる「おじさん構文」を面白がってコピペして共有する知り合いの中での“遊び”が広がった結果、思わぬ騒動になったと説明し、巻き込まれたランサーズに謝罪しています。
こうした「同一文面ツイートによる工作疑惑」は、定期的に話題にのぼる“ネットの謎”の1つ。直近でも「よく考えたらコロナウイルスかかってる人あんまりいないよね」「100日後に死ぬワニ最後どうなるんだろ!?」といったツイートが話題になり、やはり「工作ではないか」と疑う声があがっていました。
これら全てが今回と同じケースというわけではありませんが、少なくとも「あの同一文面ツイートの正体は何なのか」という疑問に対する“一つの答え”にはなりそうです。まぐろ/CLTさん、うっちー△さんに話を聞いたところ、今回の騒動の意外な裏側が見えてきました。
騒動の真相は「仲間うちでの“コピペ遊び”」
―― お二人とも、突然の取材依頼に応じてくださってありがとうございます。最初に事実確認からなのですが、最初にこの投稿を行ったのはまぐろさんで間違いありませんか?
まぐろ/CLT(以下、まぐろ):そうです、最初に投稿したのは自分です。
―― そもそもなぜこのツイートを投稿しようと思ったのでしょうか?
まぐろ:日ごろからTwitterの仲間うちで面白おかしいツイート(いわゆるネタツイート)を作成してコピペし合うという遊びを行っていて、その一環として今回のツイートを投稿しました。
―― ブログでも書かれていましたが、うっちーさんはまぐろさんのツイートを見て、自分のアカウントでもそれを投稿したわけですよね。なぜあのツイートをコピペしようと思ったのでしょう。
うっちー△(以下、うっちー):なんでといわれると説明がすごく難しくて、前からこういうのをパクツイしあって遊んでいる方がフォロワーにいまして、その人とは割と仲がいいんですよね。その人がいわゆる「おじさん構文」をツイートするとそれを身内でパクツイしあう、というのが一種のスキンシップになっていたんです。遊びとかそういう認識すら持っていなかったです。
―― 不思議な感覚ですね……。この“遊び”はいつごろから行われていたんでしょう。普段はどんな感じで行っているんですか?
うっちー:それ(いつごろからか)もよく分かってないんですよね。普段はTwitterを開いて、目に入ってきたツイートが面白いと思ったらコピペして共有するって感じです。別に承認欲求を満たしたかったとかでもないんです。RTとかされませんし。今回の騒動で「カルト的」という単語を見ましたが、それが一番しっくりくる気がします。
―― 他にも大量の投稿がありましたが、どこからどこまでがお二人の知人グループですか?
うっちー:僕たちも分かっていません。まぐろくんと僕は相互フォローですが、まぐろくんのフォロワーと僕は何の関係もないんですね。これはまぐろくんにもいえることで、僕のフォロワーとまぐろくんにつながりがない場合もあります。
まぐろくんは確かに最初の発信者ですが、僕はコピペされたものを途中で知った感じです。その後の数百件についても同じ感覚で、枝状にどんどん拡散されてネタにされたんだと思います。
―― なるほど、特定のグループや明確なルールがあるわけではなくて、「なんとなくフォロワー間でゆるく行われている遊び」という感じなんですね。
うっちー:その認識で合ってると思います。
―― 例えばですが、Yahooリアルタイム検索で最初のツイートをたどると、まぐろさんの投稿から5分ほどの間に15件くらいの投稿がありますよね。このあたりのアカウント群が大体いつも“遊んで”いるアカウントたちという感じでしょうか。
まぐろ:最初にコピペした2〜3人は相互フォローでそれなりに交流もある人たちですが、そこから先は知り合いもいるし知らない人もいるし……といった感じです。
うっちー:ほとんどは僕の相互フォローですね。普段からこういうことするメンツは大体決まっている感じがあります。時間帯によってはここにいない人もいたりしますけど。
―― どちらかというとうっちーさんのフォロワーが多いんですね。書き込む内容については単に「おじさん構文」というだけで、何か意図があるわけではない?
うっちー:そうです。別に僕たち自身が何かしら思想を持ってやったとかではないです。
―― なるほど、よく分かりました。ここまでまぐろさんもうっちーさんと同じ認識ということで大丈夫ですか?
まぐろ:はい、その認識で大丈夫です。
―― ちなみに、過去の「おじさん構文コピペ遊び」のツイートをいくつか見せていただくことはできますか?
うっちー:ええと、いざ探そうとするとどうやって検索したらいいのか……これどうですかね?
―― ああ、確かに今回と同じように「おじさん構文」で、同一文面のツイートが大量に出てきますね。
うっちー:ほんと毎日のようにこういうのが流れてくるので、自分でもあんまり把握できていないんです。あ、こんなのも出てきました。
―― ありがとうございます。少なくとも2017年にはこういうことを行っていたのが分かりますね。このような形で話題になったのは今回が初めてですか?
まぐろ:はい。初めてです。自分でもびっくりしています(笑)。
うっちー:そうですね。初めてです。今まで数えきれないくらい日常的に送られてきていたのに、突然知らない人たちに道具のように使われてびっくりした感じです。
―― なぜ今回に限ってこんなに話題になったと思いますか。
まぐろ:これについては僕も分からないんです。これまでにもこのようなツイートをしていたので、今回だけ話題になった理由は思い付きません。
うっちー:個人的には、単純にウソをウソと見抜けない人が関わったからじゃないかなと。
―― 「工作疑惑」をかけられてどう感じましたか?
うっちー:笑っちゃいました。あ〜こういうこと信じちゃう人本当にいるんだな〜って。
まぐろ:僕自身は別に怒りとかそういった感情はないんですけど、疑惑がかかった企業さんには申し訳ない気持ちがあります。
うっちー:まぐろくんと同じなんですけど、今回の件で疑惑のかかった企業様には確かに申し訳ない気持ちがありますね。
「同一文面ツイート=工作」とは限らない
前述した通り、今回の騒動を巡っては、早い段階から「これがランサーズかな」「ランサーズさん…」など“ランサーズがこれらのツイートを投稿させている”といった風説が拡散されており、ランサーズが「事実無根」と否定するコメントを出す事態にも発展しています。
ランサーズは今後、こうした風評被害については断固たる措置をとるとしており、少なくとも今回のようなケースがあると分かった以上、「同一文面ツイートによる一斉ツイート」を見ても、安易に「工作だ!」「ランサーズだ!」などと決めつけるべきではなさそうです。
関連記事
- ランサーズ、一部で指摘された“工作疑惑”について「一切ございません」と否定 今後同様のデマには法的措置も
「安倍の声聞いたら元気出た」といったツイートが“世論操作ではないか”と話題になっていました。 - 「よく考えたらコロナウイルスかかってる人あんまりいないよね」関与疑惑のYouTuberが騒動の全容語る 一連のアカウントは「自分のもの」
「政府や各種政治関係者とのやり取りなどは一切ございません」と、「政府の工作説」についても否定しています。 - 「正直疲れてしまった」 五輪ボランティアを巡る「ネット工作説」はいかにして広がったか “診断メーカー”作者が明かした苦悩
現在は「工作ではなかった」説が優勢に。編集部でも検証しましたが、工作を裏付ける証拠は見つかりませんでした。 - クラウドワークス「個人の誹謗中傷に関する記事作成案件」を掲載停止に ネットでは「羽生結弦選手の中傷依頼」が物議
「このバイト最低ですね…」「許せない」など批判の声があがっていました。【追記】 - クラウドワークス、政治系ブログ記事作成依頼の掲載を中断 「共産党に投票する人は反日」などの記事作成依頼で物議
ユーザーからの意見により利用規約の解釈を広げたとしています。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
-
人気格闘家、アイドルと2ショット写真披露するも……表情落差がすごいアイドルにファンから励まし「仕方ない。そこでは勝てない。試合で勝とう」
-
森口博子、飛行機内でまさかのアクシデント 「気圧でこんな事に」……ビショビショになってしまった姿を見せる
-
そうはならんやろ “0円の画材”と“4万円の画材”、それぞれでジョーカーを描いてみた結果に驚き【海外】
-
大沢たかお、「キングダム」で20キロ増→近影に驚きの声「王綺将軍とのギャップ……」「随分体型が変化」
-
使用済みタオルはどこに置くのが正解? ホテル従業員に“神客”と喜ばれる「チェックアウト時の行動」はこれだ!
-
売上7億円超の人気漫画『小悪魔教師サイコ』作画家・合田蛍冬氏が出版社を提訴した訴訟が和解 同一原作の後発漫画が出版されトラブルに 出版社は謝罪
-
洗濯機から発生する“わかめ”を一発で撃退できる方法! 「早くやれば良かったと後悔」する掃除術が超簡単
-
「高くて買えないので作った」 “自作過ぎるPCパーツ”が脱力感あふれるアイデアで反響「超低コスト、超軽量!!」「消費電力0」
-
雑草だらけで荒れた庭を、素人夫妻がDIY→2年後…… 目を疑う変貌ぶりに「お見事としか言いようがない」「外国の映画に出てきそう」
- 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
- 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
- “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
- 「僕ですかこれ」 垢抜けたい男性が“劇的イメチェン”→その大変身に「すげええ!」「泣けたわ」と仰天
- 第5子妊娠中の宮崎麗香、子どもたちとの“奇跡の1枚”が撮影される ギャップ満載な“現実”ショットも話題に
- そうはならんやろ “バラの絵”を芸術的に描いたら……“まさかの結果”が200万再生 「予想を超えてきた」【海外】
- 天皇皇后両陛下の那須静養、愛子さまが天皇陛下のため蚊を手で払う場面も…… “仲むつまじいショット”が約240万再生
- 「脳がおかしくなった」 新宿駅を出る→“まさかの光景”に思わず三度見 「意味わからん」「田舎者にはマジでダンジョン」
- 合宿前の兄たち、0歳末っ子と離れたくなくて…… メロメロな“別れの光景”に「あーもうなんて尊い」「幸せ」430万再生突破
- 雑草だらけの庭が“たった1台の草刈り機”で…… “見事な変化”に7000万再生 「よくやった」「まさにプロ」
- 釣れたキジハタを1年飼ったら……飼い主も驚きの姿に「もはや魚じゃない」「もう家族やね」 半年後の現在について飼い主に聞いた
- 「もうこんな状態」 パリ五輪スケボーのメダリストが「現在のメダル」公開→たった1週間での“劣化”に衝撃
- 「コミケで出会った“金髪で毛先が水色”の子は誰?」→ネット民の集合知でスピード解決! 「優しい世界w」「オタクネットワークつよい」
- 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
- 「米国人には想定できない」 テスラが認識できない日本の“あるもの”が盲点だった 「そのうちアップデートでしれっと認識しそう」
- ヒマワリの絵に隠れている「ねこ」はどこだ? 見つかると気持ちいい“隠し絵クイズ”に挑戦しよう
- 「昔はたくさんの女性の誘いを断った」と話す父、半信半疑の娘だったが…… 当時の姿に驚きの770万いいね「タイムマシンで彼に会いに行く」【海外】
- 鯉の池で大量発生した水草を除去していたら…… 出くわした“神々しい生物”の姿に「関東圏では高額」「なんて大変な…」
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 「なんでこんなに似てるの」 2つのJR駅を比較→“想像以上の激似”に「駅名だけ入れ替えても気づかなそう」