「コロナこわいけどぉ、安倍の声聞いたら元気出た」――”工作疑惑"もささやかれた謎の大量ツイート、「最初の投稿者」に真相を聞いた

ネット上では「ランサーズが世論操作のためにこれらのツイートを一斉投稿させているのでは」といった声も見られましたが……。

» 2020年04月09日 22時30分 公開
[池谷勇人ねとらぼ]

 「コロナこわいけどぉ、安倍の声聞いたら元気出た」――こんなツイートが4月7日、多数のTwitterアカウントから短時間のうちに投稿され、「何かの工作か!?」と一部で騒然となりました。その後、関与を疑われた企業が否定のコメントを発表する事態にも発展したこの出来事、実は一部のTwitterユーザーの間で行われていた“遊び”が発端でした。

 編集部では当該ツイートを書き込んだTwitterユーザーに取材し、今回の騒動の真相を聞きました。


ランサーズ 工作疑惑の真相 話題になっていたツイートの一部(Yahoo!リアルタイム検索より/画像加工は編集部によるもの)

ランサーズを巻き込んだ「工作疑惑」騒動に

 「安倍のインスタライブ見てるナウ〜!! なんかむずかしい言葉ばっか使っててイミフなんだけど コロナこわいけどぉ、安倍の声聞いたら元気出た」

 4月7日の19時すぎごろ、こうした文面のツイート(実際には絵文字が多数入っています)が多数のアカウントからTwitterに投稿されました。ツイートの数は最初の5分間で約15件にものぼり、これに気付いたネットユーザーが「何らかの政治的な工作ではないか」と反応。さらには「ランサーズが世論操作のためにこれらのツイートを一斉投稿させているのでは」といった声も見られました。

 疑惑をかけられたランサーズは8日、「そのような事実は一切ございません」と否定するコメントを発表し、今後はこうしたデマについて、刑事告訴も含めた「断固たる措置」を講じていくと述べました。


 さらに同日、Twitterユーザーのまぐろ/CLTさんうっちー△さんが、この騒動は自分たちの“遊び”が原因だったとするブログを公開。いわゆる「おじさん構文」を面白がってコピペして共有する知り合いの中での“遊び”が広がった結果、思わぬ騒動になったと説明し、巻き込まれたランサーズに謝罪しています。


 こうした「同一文面ツイートによる工作疑惑」は、定期的に話題にのぼる“ネットの謎”の1つ。直近でも「よく考えたらコロナウイルスかかってる人あんまりいないよね」「100日後に死ぬワニ最後どうなるんだろ!?」といったツイートが話題になり、やはり「工作ではないか」と疑う声があがっていました。

 これら全てが今回と同じケースというわけではありませんが、少なくとも「あの同一文面ツイートの正体は何なのか」という疑問に対する“一つの答え”にはなりそうです。まぐろ/CLTさん、うっちー△さんに話を聞いたところ、今回の騒動の意外な裏側が見えてきました。


騒動の真相は「仲間うちでの“コピペ遊び”」

―― お二人とも、突然の取材依頼に応じてくださってありがとうございます。最初に事実確認からなのですが、最初にこの投稿を行ったのはまぐろさんで間違いありませんか?

まぐろ/CLT(以下、まぐろ):そうです、最初に投稿したのは自分です。


―― そもそもなぜこのツイートを投稿しようと思ったのでしょうか?

まぐろ:日ごろからTwitterの仲間うちで面白おかしいツイート(いわゆるネタツイート)を作成してコピペし合うという遊びを行っていて、その一環として今回のツイートを投稿しました。

―― ブログでも書かれていましたが、うっちーさんはまぐろさんのツイートを見て、自分のアカウントでもそれを投稿したわけですよね。なぜあのツイートをコピペしようと思ったのでしょう。

うっちー△(以下、うっちー):なんでといわれると説明がすごく難しくて、前からこういうのをパクツイしあって遊んでいる方がフォロワーにいまして、その人とは割と仲がいいんですよね。その人がいわゆる「おじさん構文」をツイートするとそれを身内でパクツイしあう、というのが一種のスキンシップになっていたんです。遊びとかそういう認識すら持っていなかったです。


―― 不思議な感覚ですね……。この“遊び”はいつごろから行われていたんでしょう。普段はどんな感じで行っているんですか?

うっちー:それ(いつごろからか)もよく分かってないんですよね。普段はTwitterを開いて、目に入ってきたツイートが面白いと思ったらコピペして共有するって感じです。別に承認欲求を満たしたかったとかでもないんです。RTとかされませんし。今回の騒動で「カルト的」という単語を見ましたが、それが一番しっくりくる気がします。

―― 他にも大量の投稿がありましたが、どこからどこまでがお二人の知人グループですか?

うっちー:僕たちも分かっていません。まぐろくんと僕は相互フォローですが、まぐろくんのフォロワーと僕は何の関係もないんですね。これはまぐろくんにもいえることで、僕のフォロワーとまぐろくんにつながりがない場合もあります。

 まぐろくんは確かに最初の発信者ですが、僕はコピペされたものを途中で知った感じです。その後の数百件についても同じ感覚で、枝状にどんどん拡散されてネタにされたんだと思います。

―― なるほど、特定のグループや明確なルールがあるわけではなくて、「なんとなくフォロワー間でゆるく行われている遊び」という感じなんですね。

うっちー:その認識で合ってると思います。

―― 例えばですが、Yahooリアルタイム検索で最初のツイートをたどると、まぐろさんの投稿から5分ほどの間に15件くらいの投稿がありますよね。このあたりのアカウント群が大体いつも“遊んで”いるアカウントたちという感じでしょうか。


ランサーズ 工作疑惑の真相 最初期に投稿されていたツイート群(Yahoo!リアルタイム検索より/画像加工は編集部によるもの)

まぐろ:最初にコピペした2〜3人は相互フォローでそれなりに交流もある人たちですが、そこから先は知り合いもいるし知らない人もいるし……といった感じです。

うっちー:ほとんどは僕の相互フォローですね。普段からこういうことするメンツは大体決まっている感じがあります。時間帯によってはここにいない人もいたりしますけど。

―― どちらかというとうっちーさんのフォロワーが多いんですね。書き込む内容については単に「おじさん構文」というだけで、何か意図があるわけではない?

うっちー:そうです。別に僕たち自身が何かしら思想を持ってやったとかではないです。

―― なるほど、よく分かりました。ここまでまぐろさんもうっちーさんと同じ認識ということで大丈夫ですか?

まぐろ:はい、その認識で大丈夫です。

―― ちなみに、過去の「おじさん構文コピペ遊び」のツイートをいくつか見せていただくことはできますか?

うっちー:ええと、いざ探そうとするとどうやって検索したらいいのか……これどうですかね?


ランサーズ 工作疑惑の真相 画像加工は編集部によるもの

―― ああ、確かに今回と同じように「おじさん構文」で、同一文面のツイートが大量に出てきますね。

うっちー:ほんと毎日のようにこういうのが流れてくるので、自分でもあんまり把握できていないんです。あ、こんなのも出てきました


ランサーズ 工作疑惑の真相 画像加工は編集部によるもの

―― ありがとうございます。少なくとも2017年にはこういうことを行っていたのが分かりますね。このような形で話題になったのは今回が初めてですか?

まぐろ:はい。初めてです。自分でもびっくりしています(笑)。

うっちー:そうですね。初めてです。今まで数えきれないくらい日常的に送られてきていたのに、突然知らない人たちに道具のように使われてびっくりした感じです。

―― なぜ今回に限ってこんなに話題になったと思いますか。

まぐろ:これについては僕も分からないんです。これまでにもこのようなツイートをしていたので、今回だけ話題になった理由は思い付きません。

うっちー:個人的には、単純にウソをウソと見抜けない人が関わったからじゃないかなと。

―― 「工作疑惑」をかけられてどう感じましたか?

うっちー:笑っちゃいました。あ〜こういうこと信じちゃう人本当にいるんだな〜って。

まぐろ:僕自身は別に怒りとかそういった感情はないんですけど、疑惑がかかった企業さんには申し訳ない気持ちがあります。

うっちー:まぐろくんと同じなんですけど、今回の件で疑惑のかかった企業様には確かに申し訳ない気持ちがありますね。


「同一文面ツイート=工作」とは限らない

 前述した通り、今回の騒動を巡っては、早い段階から「これがランサーズかな」「ランサーズさん…」など“ランサーズがこれらのツイートを投稿させている”といった風説が拡散されており、ランサーズが「事実無根」と否定するコメントを出す事態にも発展しています。

 ランサーズは今後、こうした風評被害については断固たる措置をとるとしており、少なくとも今回のようなケースがあると分かった以上、「同一文面ツイートによる一斉ツイート」を見ても、安易に「工作だ!」「ランサーズだ!」などと決めつけるべきではなさそうです。


ランサーズ 工作疑惑の真相 まぐろさんが最初に投稿したツイート

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」