ストリップ劇場が絶滅の危機に? コロナ禍で直面する風営法と性風俗差別、クラウドファンディング始める劇場も
“文化の灯”が消えようとしています。
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)による自粛によって多くの事業者が廃業の危機にさらされていますが、廃業を通り越し「絶滅」の危機に瀕している文化があります。それは「ストリップ」。
「そもそもまだ存在してるの?」と言われがちですが、実は今でも全国に20の劇場があるのです。かつては性的サービスの提供とダンスショーが混在していましたが、現在はダンスショーの提供をメインに営業しています。
しかし、ライブハウスや映画館などと同じく、ストリップもほぼすべての劇場が休業中。おそらく運営側は今後の資金繰りなどに悩まされていると思います。
「ストリップが絶滅する」ってどういうこと?
ところで、多くの休業要請対象施設がある中、ストリップが「絶滅」の危機とはどういうことなのか。それは、ストリップ劇場の新規開業の難しさにあります。
ストリップ劇場は風営法28条によって新規開業が厳しく制限されています。具体的には「商業地域等で保護対象施設(幼稚園、学校、公共施設など)から200メートル以上離れていなければならない」「都道府県の条例によっては開業そのものを規制できる」といった縛りがあり、新規開業は実質不可能と言われています。
すでに存在しているストリップ劇場は「既得権」という権利により営業が認められていますが、これも権利者の死亡や会社の破産などにより消滅する可能性があります。
つまり、「今ある劇場を維持する」以外にストリップという文化の灯を消さない方法はないのです。
もともとストリップ劇場では、3月ごろからマスク配布や消毒の徹底と並行し、本来4〜5回の公演数を3〜4回に減らす劇場や、土日の営業を控える劇場が出てきていました。客数減も目に見えており、3月初旬の段階で「いつもなら満席の時間帯なのに、客が1ケタしかいないから必死で盛り上げたよ」という客の声も聞こえていました。
通常であれば土日祝は1日300人前後を動員し、外国人観光客でにぎわうストリップの殿堂・浅草ロック座もすでに休業。4月11日には休業要請の出ていない地方の劇場も含め、すべての劇場が休業に至りました。
劇場の存続を願うファンの間では、「クラウドファンディング・グッズや前売チケット販売・公的支援の活用なんでもやってこの災禍を乗り切ってほしい」という声があがっています。
ウイルスだけじゃない! 性風俗業差別との戦い
ただ、ここで難しいのは国や行政がどの程度真摯に対応してくれるかがわからないところ。
たとえば、一斉休業により、収入が減少した世帯を対象にした「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金・支援金」では、当初風俗営業等関係者が不支給要件にあがっていました。
セックスワーカーのサポート団体「SWACH」による抗議文の提出をきっかけに、報道でも取り上げられるようになり、国会での審議を通して最終的には不支給要件から外れましたが、声を上げなければ、そのまま放置されていたのは間違いないでしょう。
また、8日には東京都による休業要請の範囲に関し、「内閣府は都側との協議で、リストに記載されていたストリップ劇場、個室ビデオ店、ゲームセンターなども休業要請先から除外するよう求めた」との報道もありました。
密閉空間であるこれらの施設の休業要請を、あえて除外したのは、支援金の支払いからの除外をもくろんだ可能性も考えられます。最終的には4月10日の都の発表では休業要請対象施設にストリップ劇場も含まれることになり、すでに休業を発表していた関係者は安堵したことでしょう。
ストリップは、新型コロナウイルスだけでなく、性風俗事業者に対する差別とも戦う必要があるのです。
ストリップという文化を守りたい……クラウドファンディングを始める劇場も
こうした逆風の中、愛媛の道後温泉にあるストリップ劇場・ニュー道後ミュージックは3月にクラウドファンディングを立ち上げました。
クラウドファンディングの解説ページには、以下のような言葉が掲載されています。
劇場の場所というか、観光地だけに通常の売り上げの割合が8割が県外よりお客さん(観光客)で賄ってる劇場です。近年はただでさえ時代の波により客足が少なくなっており、正直ギリギリのなかで劇場の存続をかけて何とか営業を続けておりましたが、この度の新型コロナウイルスの影響と色々がかさなり、ニュー道後ミュージックがかなり深刻な事態にいたりました。運転資金もなくこのままでは営業続行が不可能と判断し、市県や国などの公的にも相談したのですが業種が業種だけに丁寧にお断りされました。
温泉街のストリップ劇場として親しまれていた同劇場は、もともと地元ミュージシャンとの共演してのショーや、怪談ストリップといったテーマ性のある企画を行っており、ストリップの面白さを多くの人に広めるために尽力していました。ファンドページの「文化発信拠点」「居場所づくり」というハッシュタグには、「自分たちの仕事は道後という土地の文化の一部なのだ」という矜持が見て取れます。
今回も手ぬぐいや写真集、フリーパスなどのほかに、女性限定で「踊り子さんアドバイスによるメイクアップと踊り子さんと一緒にステージで踊れる特典」をもうけたりと、大衆娯楽として多くの人にストリップを楽しんでもらいたい気持ちを表しています。
クラウドファンディングは現在300万円超を集めており、ニュー道後ミュージック公式ツイッターは「ストリップ劇場にまだ行ったことのない人たちからの応援やご支援も頂いていることは本当に嬉しくなりました。劇場を存続して恩返ししたい… ありがとうございます」とコメントしています。
また、観客の前に立つ機会を失ったストリッパーたちは、インスタグラムやradiotalkでの配信や、SNSやブログの更新などを通し、ファンとの交流の機会を作っています。ストリッパーになるまでの経緯を語ったり、ステージ以外の日常の様子を配信したり。
しかし、劇場の維持ができなければ、ストリッパーたちは収入を得ることができず、そのまま廃業してしまうことも考えられます。
各劇場が今後どのような方法で収益を確保、あるいは補償を受け、ストリップという文化を維持していけるのかに注目が集まります。
関連記事
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
「二度と酒飲まん」 酔った勢いで通販で購入 → 後日届いた“予想外”の商品に「これ売ってるんだwww」 投稿者に話を聞いた
-
道端で拾った“松ぼっくり”をカットして、つなげていくと…… 度肝を抜かれる“完成品”が1300万再生【海外】
-
「これは惚れ直す」 高橋克典、妻の爆速“8分弁当”がおいしそう 「味がありますね」弁当箱に注目する人も【2024年の弁当・料理まとめ】
-
1人暮らし“1K9畳”の殺風景な部屋が…… 980万表示の“変身ビフォアフ”に驚がく 「これは職人」「理想的!!!」
-
「なんでうちだけダメ」 まひ&歩行困難の7歳りおなちゃん、初韓国旅行で“注意されて列並べず”……不憫に思う視聴者に母親「車いすだからという伝え方よくなかった」
-
「粋〜〜!!」 人からタッパーを借りたときは…… センス抜群の“返し方”に反響「これはうれしい」「まねします!」
-
息子は「BTSに激似」と話題沸騰 “カフェ店員”の25歳男性が両親公開 髪形維持で「毎日母親が散髪」
-
「これはひどい」 一番くじ「リコリス・リコイル」“衝撃のD賞”にファン爆笑 「見た目がやばい」「20センチ笑った」
-
【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
-
風呂上がりに偶然「牛乳を注ぐ女」になった人に反響 「ほぼそのままw」「盛大にふきだした」 投稿者に話を聞いた
- ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
- 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
- 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
- 鮮魚店で売れ残っていたタコを連れ帰り、水槽に入れたら…… ヤバすぎる光景に「こんなに可愛いなんて!」「笑ってしまった」
- 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
- 「まじで終わってる」 マクドナルド「エヴァ」コラボ品“高額転売”に嘆く声…… 「結局欲しい人が買えない」
- 母に「髪染めやピアスはダメ」と言われ続けた25歳東大女子、大変身を決意したら…… まさかの事態に「さすがにおもろい」「涙出てきた」
- 賞味期限「2年前」のゼリーを販売か…… 人気スーパーが謝罪「深くお詫び」 回収に協力呼びかけ
- 風呂上がりに偶然「牛乳を注ぐ女」になった人に反響 「ほぼそのままw」「盛大にふきだした」 投稿者に話を聞いた
- タンクトップ姿のパパ「昔はモテた」→娘は信じていなかったが…… かつての姿に衝撃走る「『トップガン』に出ていても納得」【海外】
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」