閉鎖される図書館……学習環境の確保はどうなる? 小中高は家庭の教育負担が増大、大学院生は「生存にかかわる」
大学院生に話を聞きました。
相次ぐ図書館の休館
COVID-19(新型コロナウイルス感染症)感染拡大に伴い、各地で公立図書館の閉鎖や営業時間の短縮措置が取られています。特に非常事態宣言が出た都市部の図書館では、長期間の休館を余儀なくされているところも少なくありません。
長引く休校や外出自粛要請の中で学習や調査のインフラである図書館が閉まると、どのような影響が生じるのでしょうか。
図書館の状況
図書館検索アプリ「カーリル」の調査によると、2020年4月9日18時までの段階では、カーリルの検索対象となっている公立図書館・公民館図書室など1409館のうち、650館が休館を発表しています。うち千葉県、大阪府、東京都、福岡県の休館率は100%でした。
休館中、Webや電話によるレファレンスや郵送による貸出・返却・複写サービスなどで対応しているところもありますが、図書の返却ポストを除いていっさいの業務を停止している図書館もあります。
なお都道府県立、政令指定都市立、国立国会図書館の新型コロナウイルス感染拡大防止措置については、国立国会図書館の記事で確認可能です。
家庭学習に頼ると何が起こる?
文部科学省は新型コロナウイルスの影響に伴う休校に対応し、家庭学習の奨励を行っています。学習支援コンテンツをまとめたページを公開しているほか、「子供の読書キャンペーン」と称して文科省関係者のおすすめ本を紹介しています。
さらに文科省の通達によれば、今後子どもの家庭学習の状況や成果を教師が確認し、学校における評価に反映させる可能性があるといいます。
家庭に教育を委ねることは、教育格差の拡大に繋がる恐れがあります。休校になった子どもの教育を監督するには一定以上の生活上の余裕が必要であり、また家庭で利用する本や教材を購入できるか否かが、家庭学習の質に直接影響するためです。
図書館は従来公費で書籍や新聞、あるいは調べものの手伝いをするレファレンス業務などを提供し、学校外での社会教育を担ってきました。図書館が閉館している今、家庭学習の状況が学校教育の評価対象になるのであれば、それぞれの家庭が持つ条件が子どもの進路に及ぼす影響は、これまで以上に増大するでしょう。
しわ寄せは大学院生にも
さらに図書館閉室の余波は、大学院生にも及んでいます。
5月20日まで休館予定の国立国会図書館は、4月15日から遠隔複写サービスの受付を休止することを発表しました。国立国会図書館関西館、国際子ども図書館も国立国会図書館と同じ方針です。理由は「作業体制が維持できなくなった」ためとされています。遠隔複写サービス受付休止の期限は「当分の間」で、いつまで続くかは未定です。
都内の大学院に通う大学院生のSさんは、国立国会図書館や大学図書館などの閉館に困っているといいます。
「新学期は5月末に延期になり、その後の授業もすべてオンラインで行う見通しだと聞いています。学会も次々中止や延期の連絡が届いています。こうした状況の中で自分で博士論文に向けた研究を進めなければならないのですが、研究室が大学図書館の中にあるため、現在は一切利用ができません。研究に必要な資料はもちろん、コピー機やスキャナーなどの設備も図書館にあるので作業が進まず、とても困っています」
さらに大学院生らの間では、金銭面の不安を訴える声が少なくありません。
「研究に必要な書籍が取り寄せられないので、やむをえず必要なものは購入しています。しかし研究書や資料集はとても高価です。1万円や2万円の本を毎回自腹で買っていたら身が持ちません。休校期間のぶん、せめて設備費ぐらいは学費を免除してもらえないのか、と考えている人は多いと思います」
「研究会の延期も、金銭面の不安の原因の一つです。私も春に行うはずだった研究報告が延期になり、いつできるかわからない状況にあります。今年度の研究成果は来年度以降、学術振興会特別研究員(※1)や奨学金の審査に影響しますし、研究が進まなければ博士論文が出せず、在学期間も伸びてしまう。その上研究環境が失われている今の状況は、大学院生にとって冗談ではなく生存にかかわる問題なんです」
※1……学術振興会特別研究員……大学院生や若手研究者に研究奨励金を支給する制度。採用までには書類審査や面接があり、倍率は5倍前後である。
海外では書籍や資料などをWeb公開するデジタルアーカイブが進んでいますが、日本のデジタルアーカイブはそもそも公開されているデジタルコンテンツの数が少なく、また分野横断的な検索エンジンも乏しいことが指摘されています。デジタルアーカイブの拡充は、パンデミック下の研究環境整備において急務であると言えます。
今後の学習環境はどうなるのか
新型コロナウイルス収束のめどが立たない以上、休校や図書館の休館が長引く可能性は十分考えられます。長期戦が想定しうるからこそ、政府は保護者による家庭教育に頼るのではなく、自宅でできる公的なプログラムの実施や、自宅で学習できない状況にある子どものための施策を講じていくべきではないでしょうか。
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