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» 2020年04月25日 15時00分 公開

「めちゃくちゃBLじゃん」 未経験者と映画「AKIRA」の鑑賞会をしたら思わぬ結末になった話(3/3 ページ)

[イッコウ,ねとらぼ]
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感想を話し合ってみる


AKIRA BL  

イッコウ いかがでしたか、「AKIRA」は。

青柳 面白かったですね。

k村 うん。面白かったです。エヴァをはじめ、たくさんの作品が「AKIRA」の影響を受けたんだなと思いました。

戸部 漫画を読んだらラストの意味分かるんですか?

イッコウ この映画は漫画の連載途中に制作されているので、漫画を読むと補完される部分もあります。ただ、漫画の方でもアキラの大部分は謎のままですし「力」に関する詳細な説明はないですね。

青柳 「宇宙が誕生したというのか」と言っていたので「アキラ=宇宙のエネルギー」っすよね。いわば“根源接続者”――奈須きのこユニバースみたいな感じで、まれに宇宙のエネルギーに接続できる人が出てくる。で、第三次大戦のときにそれができたのがアキラくん。ほかのナンバーズは素質のある子どもを集めてアキラくんを参考に作ったやつで、鉄雄は素質がメチャあったけど安定する前にガン細胞のように異常増殖してしまってあんなことに……。

イッコウ このオタクめっちゃ考察するやん。

青柳 アキラはエネルギーの代表人格みたいになっているわけで、最後光の中で「鉄雄」と言っているのは一体化して代替わり的な感じで鉄雄がこれからは代名詞になるのでは?(メガネクイッ)

イッコウ (なんだこいつ……)ところでk村さん、娘さんは大丈夫ですか?

k村  9歳娘の感想「怖い」「気持ち悪い」ですね。

イッコウ まともな反応で安心しました。


「AKIRA」の名言は本当に「さんをつけろよデコ助野郎!」一強なのか

戸部 「さんをつけろよデコ助野郎」ばかり有名ですけど、そこに至るまでの悪口もキレッキレだったので、「AKIRA」で一番面白い悪口は本当に「デコ助野郎」なのか一度じっくり議論したいなあと思いました。

イッコウ 「死ぬなら一人で首でもくくれ!」とか。

青柳 一番良い煽りは「なんだとコノヤロー、俺のこの燃え上がった勉強意欲をどうしてくれるんだよ」ですね。

戸部 それ、本当に良かったですね。あと「タコが陸で死んでるって?」も良かったです。誰も居ないバーでみんなが来るの待ちながらずっと考えてたんだろうなーって……。

k村 鉄雄かわいい。

青柳 鉄雄くんけなげや……。

k村  あと、「やめんか! 刮目して大局を見るんだ!」がお気に入りです。

イッコウ セリフで言うと、冒頭の「ピーナッツ…3個」は「ブレードランナー」の「2つで十分ですよ!」のオマージュらしいですね。

青柳 それは伝わった。サイバーパンクみもありますもんね。

イッコウ 「鉄人28号」の影響はさっきも話しましたけど、「AKIRA」の時代設定は2019年ですし、「ブレードランナー」の影響も強く受けているんですよね。

AKIRAはBLか論争、開始

イッコウ で、どのへんがBLだったのか聞きたいんですが。

青柳 むしろどこがBLじゃないと……?

戸部 平行線だ……。

青柳 ずっと一緒にいたどんくさいけどいいやつな弟分が変な力に覚醒してしまい、助けに行くと「俺はお前に勝つ!」みたいにメッチャイキっており、それでも戦っていると第三者が出てきて、兄貴分を助けて、最後には「助けて…」となり、最後は解放してあげるというBLでした。巨大感情があると……うれしい!

イッコウ 友情物語ではあると思うけど……。BLみが強かったのはどのへんですか?

k村  鉄雄の金田バイクへの執着っぷり、金田へのコンプレックス、でも金田は決して殺さないところ、結局守るところなど。あとカオリへの無慈悲な扱いですかね。鉄雄のコンプレックスが良い具合にゆがんでました。

小林 金田が鈍感なのが最高にBLなのでは……?


AKIRA BL 鉄雄の「どうしていつも助けに来るんだ」という言葉を聞いたときの金田。鉄雄のコンプレックスをおそらく初めて認識する場面(映画「AKIRA」より)

戸部 コンプレックスはBLですよね。でも俺は「金田は女の子が好き」派です。

青柳 金田はそうですね。

イッコウ BL初心者すぎてつらいんですけど、異性愛者同士でもBLって成立するんですか……?

青柳 諸説ありますが、片思いでもBLです。人間関係の中で、恋人も片思いも親友も敵同士も親の仇もBLという説がある。

イッコウ 俺はBLに人生を狂わされてしまっていたのか……。

青柳 今からでも遅くは無いよ。正しい理解を……。


AKIRAは非BL派の反論

イッコウ でもね、俺にはこれがBLじゃないという確信があるんですよ。漫画版の4巻には東京を支配した鉄雄が数人の女性を抱くシーンがあるので、鉄雄は異性愛者なんです。

k村 女を抱いているからといってBLじゃないとは限らないですよ。

青柳 イッコウさん、女を抱いていても両方が異性愛者でもBLは成立します。

イッコウ えっ。

青柳 むしろ数人の女を抱いているとよりBLみが出ます。「女はトロフィーで本当に大事なのは男」というのが本邦のBLあるあるなのですね。もう少しカオリに対して好意を示してたらBL係数下がっていたと思いますね。

k村 鉄雄の回想ではカオリが一切出てこなかったですし、カオリへの無関心さが金田への愛をひきたてていました。

戸部 個人的には、腕が吹っ飛んだところがBLっぽかったです。キャラクターが大けがすると二次創作の幅が広がってPixivが生き生きしません?

青柳 戸部さんの理解度の高さがすごい。

イッコウ このメンツ、BLリテラシー高すぎないか。


なぜAKIRAで人生を狂わされたのか

青柳 ちなみにイッコウさんは「AKIRA」のどのへんが好きなんですか?

イッコウ それ、実は難しい問題で……。まず、「AKIRA」の重厚なストーリーとか、音楽の雰囲気とか、セリフや絵のカッコよさとか、その辺ももちろん大好きなんですけど、俺の場合、鉄雄の考え方やコンプレックスにすごく共感できちゃったんですよね。

青柳 イッコウさんにも金田的な友人が……?

イッコウ いや、明確に「こいつが俺の中の金田!」みたいな人は居なかったです。「AKIRA」を見たのは俺が中学生のときだったんですけど、昔からリーダー的な存在には絶対なれないし、運動神経でもトップにはなれないし、頑張ってるつもりなんだけど助けてもらうことのほうが多いなぁ……っていうのがずっとあったんですよね。

だから、自分の中で「AKIRA」が人生を狂わせるような作品になったのは、半分は「AKIRA」のコンテンツそのものの力なんですけど、もう半分は俺の方に原因があるんです。最後の「僕は鉄雄」のセリフ聞いたとき、「俺じゃん」って思って心臓バクバクで足元もフラフラのまま無理してベッドに入ったのを覚えてます。

青柳 人生をメチャクチャ動かされている。BLって第三者目線から関係性を見るものなので、BLだ!!! という気持ちに支配されるとイッコウさんのような没入や深い感情移入からは遠ざかるところがあるかも……。

イッコウ まぁ個人の感想の範囲なんで、BLだと感じるのも自由だと思います

小林 これ、自分が見る時期にもよるのではないかと思います。私は大学1年生のときに初めて見たんですが、そのときは鉄雄に感情移入して最初の方とか割と辛かったんですけど、今日見たらめちゃくちゃBLだったのでびっくりしています……。

イッコウ 確かに、これを見たのが中学生だったからこそ響いたってのは確実にあります。

青柳 10代のときに見たかった感じはありますね。今だと出てくる大人側にけっこう目線がいっちゃうもんな〜。

イッコウ 自分にとって「AKIRA」を中学生の頃に見るということは、太陽をレンズで見るようなものでした。だから「AKIRA」を見なければよかったといつも思います。そのせいで目が焼かれて全てのコンテンツが「AKIRA」以下になってしまいましたから。

戸部 共感しすぎて作品への感情が狂う話、大変理解できました……。

イッコウ 多分、誰しもあるんでしょうね。

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