少女の身体の未成熟さへのこだわり 台湾生まれの“ロリダークソウル”「Little Witch Nobeta」オタク文化への執念と愛情
身長が小さくてレバーに届かない女の子、ノベタ。
Steamで配信されているゲーム「Little Witch Nobeta(リトルウィッチノベタ)」(体験版)。アーリーアクセス版にもかかわらず、ゲーム実況者が取り上げたりファンアートが次々アップされたりと大人気(※)。発売初週世界で5万本と売上も上々。
※編注:日本でものすごく話題になっていますが開発元は台湾のPupuya Games
ファンが付けた通称が「ロリダークソウル」。「ダークソウル」はいわゆる「死にゲー」で、めちゃくちゃ強い敵に対して何度も死にながら対策を見いだしていくハードなアクションゲーム。「リトルウィッチノベタ」も同様に、歯ごたえのあるボスたちを倒すため難易度高めの敵に対して試行錯誤を繰り返し攻略するのが楽しいゲームです。
魔法攻撃メインだから遠くに離れていればいいのでは?と思いきや、魔力が割と頻繁に切れるため、近接で殴りにいったり、相手の攻撃をパリィしたりとリスキーな行動で回復しないといけないというシステムで、かなりゲームバランスがいい。
アクションゲーマーがこぞって腕試しをしているのが話題になった大きな要因……ではあるけど、キャラクターのロリ度への執着に引かれた人もまた多いと思う。ぼくはターニアの映像を見て即買いでした。
制作スタッフの並々ならぬ少女キャラへのこだわりと理解度の深さを探ってみます。
ロリ的要素を徹底したノベタの動きの数々
以降、ノベタに対しての「ロリ」は、「少女らしさ」という感覚で捉えていただけると幸いです。
通常ビジュアルだけでも十分にかわいらしい魔法使いヒロイン・ノベタ。実際動かしてみると彼女がただのプレイヤーキャラクターではなく、制作スタッフによるロリ感覚をパンパンに詰め込んだキャラであることが分かるはず。
1:レバーに届かないノベタ
Twitterで話題になっていたのが、レバー操作の際身長が低くて届かないため、ノベタがジャンプしてしがみつき、体重をかけておろしていること。背が全く届いていない。身長137センチ、体重37キロだそうです。
アクションゲーム的にはなくてもいいモーションです。そもそもスイッチを低い位置におけばいいだけ。しかし制作者は、演出に徹底的にこだわりました。
このゲームでのノベタは、小さくかよわきもの、という描写が徹底しています。レバーが高い位置にあるということは、このお城でレバーを動かしていたのは自分よりはるかに背の高い存在なのも分かります。
2:筋肉が育ちきっていない感があるノベタ≫
ノベタの近接攻撃はとても大ぶり。魔法使いだから殴りは得意じゃないのがよく分かる。中でも連打コンボの最終段、大ぶりすぎてこけそうになるビジュアルはとても細かいです。避けキャンセルをすればまだましですが、死にやすいこのゲームで隙をさらすとかなりまずい。
またタメ攻撃の中には大砲型で打ち出すものもあります。このとき反動でノベタは大きくのけぞるモーションになります。
一応「筋力」というステータスはあるものの、彼女の身体は筋肉の育ちきっていない子供の動きをデフォルメしているようです。だからと言って操作しづらくなるわけではない、あくまでも演出。動きのおぼつかなさは「リトルウィッチ」なノベタの魅力になっています。
3:眠るノベタ
この作品は基本死にゲーなので、最初は何度もリスポーン地点に戻される羽目になります。セーブポイントにあたるのは女神像。
ただ復帰するわけではなく女神像の前で眠りこけていたノベタという描写で復帰します。目覚めて冒険再開。残虐さをおさえ、女の子を丁寧に描こうという意気込みが強く感じられる場面です。
4:コケるノベタ
走ったり回避行動を取り続けていると、スタミナが消費されます。スタミナがゼロになると走れなくなる…のではなく、コケる。この後敵にボコボコに殴られる、というリスク行動であることをゲームに落とし込んでいるのですが、それ以上に子供は走って疲れたらコケがちというしぐさを再現しているあたりに並々ならぬこだわりが感じられます。
ボス敵のフェティシズム
アーリーアクセス版では3面まで遊ぶことができます。現段階で2面、3面の人形型ボスがノベタ並にネットで大人気。この二人のキャラクターにはノベタではできなかったフェティシズムがぎっちり詰め込まれています。
1:ダウナー人形女子ターニア
2面ボスのターニアは、リボンが大好きな生魂人形。頭の大きなリボンがチャームポイント。かなりミステリアスでダウナー系。ガーリーなふわふわ衣装で殴り掛かってくることで残酷さが引き立ちます。
球体関節人形型の彼女(このゲームは人形が多数出てきます)、「少女人形」と言われた時に頭に浮かぶであろうかわいさ、怖さ、エロティックさのイメージがしっかり反映されています。ひらひらふわふわの衣装と髪の毛、あちこちについているリボン、ぐるぐる巻の脚が過剰なまでに「女の子らしさ」を強調。ジト目無表情キャラと、属性もばっちり。
彼女がリボンを生きた友人のように扱っているのも、制作者の「少女」像への執着のように見えます。ちなみに彼女、この人形は本体ではなく、ノベタの身体を次の器に狙っています。その思考めちゃくちゃエロティック。
ターニアステージは周囲にたくさんの牢獄があります。その中に収監されているのは、多様な少女人形たち。つい反応してSSを撮影したくなる演出が随所にばらまかれています。
2:巨娘人形モニカ
3面ボスのモニカは白い身体にうさみみ、クマのぬいぐるみに大きな手、片目には包帯と萌属性ごりごりのキャラクター。ターニアと真逆で怒ったり喜んだりと喜怒哀楽が非常に強い生霊人形です。
彼女の真価は第2形態にあります。普段はノベタとあまり変わらない138センチなのですが、クマを倒すと一気に巨大化、マグマの中で暴れる巨娘キャラに。
ボス戦として、巨大化からの攻撃の数々はとてもユニーク。初見殺しな技があるため、一発クリアはだいぶ難しい敵です。パリィでの対抗が熱いため、戦っていて面白い。
大きな女の子好き、巨娘フェチを満たしてくれるキャラでもあります。かなり密着して攻撃することもあり、楽しく触れ合えます。手で包み込んでくれる攻撃が触れ合いの際にはオススメです。
他にも道中に多数人形が出てくるのですが、これがまたニヤッとしてしまうデザインで(ツインテールなど)少女感もりもりです。
公式のフットワークの軽さ
「リトルウィッチノベタ」の公式はフットワークが軽く、ゲームの更新のみならずゲームまわりのファンの盛り上がりをとても大事にしています(※)。
ファンアートがちらほら盛り上がり始めたとき、すぐに公式は「日本における二次創作ガイドライン」を提示しました。
基本同人制作はOK、禁止事項は明示しています。最初から公式が出してくれているおかげで、ファンは二次創作を非常にしやすくなりました。二次創作や実況配信には公式も積極的で、ファンアートをがんがんリツイートしています。今のネットでのコンテンツが盛り上がる流れを、ちゃんと把握しているスタッフの判断が感じられます。
ノリノリで「変態」と言ってくる公式素材も準備済み。使いやすさ抜群です。
オタク文化への愛と再解釈
「ノベタ」は今までのオタク作品の文法を、がっちりかみ砕いて自分のものにしている作品です。
日本でもアジア圏でも「見た目だけ」では納得しない審美眼を、既にアニメ・ゲームファンは持ちあわせています。細部に神は宿る。キャラクターの一挙一動の細かい部分にこだわりが見られ、一人一人に命が見いだせたときに、ぐっと引き込まれるものです。
「ノベタ」にはアクションゲームをするだけの場合には不要な行動がとても多く盛り込まれています。一方でそれはキャラクターを掘り下げる際には重要な演出になります。スタミナが切れてビタンとコケた時に、プレイヤーは制作者が注ぎ込んだ彼女の命を感じ取ることができます。
敵キャラクターは人形ですが、ポーズ一つ一つが丁寧に作られているため、制作者が彼女たちの中に魂を宿らせているのを強く感じることができます。いたずらっ子っぽく遊ぶモニカの笑顔に、表情は変わらずとも憂いを感じさせるターニアの姿に、制作者はがっちりストーリー性を織り込んでいるのがちゃんと伝わってきます(まだアーリーアクセスなので結末は分かりませんが…)。通りすがりのモンスターで終わっていません。
その一方で、基本上品なゲームの中に、こっそりと仕込みをしているのもポイントが高い。
例えばノベタのパンツ。ゲームの中ではちょうちんパンツで、回転避けなどでめくれてもあまり下品ではありません。しかし公式キャラクターデザインではとんでもないパンツを履いていることが明らかになっています。公開されているということは、二次創作に使えちゃうということです。
ターニアもなかなかにえっちなパンツを履いています。一見するとこちらも黒のちょうちんパンツなんですが、お尻側にまわると分かります。ただそれを見るためには命がけで彼女に近接してテクニカルに回り込まねばいけない。SSを撮るとなると、やりこみ要素レベルでアクション的にハードです。撮影したときの喜びもひとしお。
設定からノベタの衣装変更もできます。帽子とマントを取った状態になり、ノベタの背中が思いっきり開いているのがこれでようやく分かります。衣装替えしないとマントでがっちり隠れているので、まず分かりません。
知らない人には分からないし、多分気付かない。知っている人にはニヤニヤ。ファン向けの絶妙な線引ができています。露骨にしていないのはかなりの配慮。
ノベタは話が進むにつれどんどん強く心が成長し、熱い展開になっていきます。この制作陣が作るものなら間違いなく信用できる、完成版が待ち遠しくて仕方ない。
この作品、1回のプレイにつき1セーブ形式なので、例えば「ターニアにもう1回会いたい!」と思ったら最初からプレイしなおす必要があります。ちょっと歯がゆく感じるのですが、それでももう一度プレイしてしまうくらい、ボスそれぞれのキャラクターが魅力的。小さくかよわき少女ノベタになって、死線を交えて心通わせた女の子たちに、成長して会いに行くゲーム…だとぼくは思っているので、二周目からが本番です。
(たまごまご)
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妄想が過ぎるぞ(褒め言葉)。
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