人としてそれはどうなのか 小学生女子のお金でガチャを回す『今日から俺はロリのヒモ!』という脳みそハッピーライトノベルあのキャラに花束を

大富豪・二条藤花とクズ男・天堂ハルの華麗なる生活。

» 2017年07月01日 18時00分 公開
[たまごまごねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

画像 天使がいる(1巻書影)

 ちっちゃい少女と仲良くすごす妄想。ほっこりしますね。でもこの作品は、見る人によって夢か狂気か分かれそう。

 今回は『今日から俺はロリのヒモ!』の小学生ヒロイン・二条藤花と、彼女に甘えまくる元男子高校生・天堂ハルをご紹介。


藤花、ピクシブでハルのファンになる

 絵はうまくて担当がついているけど、ストーリーがヘタでデビューできない、高校生の天堂ハル。ある日、ピクシブで彼の漫画を見て大ファンになった少女・二条藤花に出会います。彼女いわく、ハルが高校に通っていたら作品づくりの時間が割かれてしまい、それは文化的な損失だとのこと。

藤花「でしたら、わたしが先生のパトロンになります」

 小学5年生にして、投資と企業コンサルで1日2億円近くもうけている藤花。彼を自宅に住まわせ、仕事場も提供するという。「先生には漫画だけに打ちこんでほしいんです!」


画像 いわゆるイカ腹体形。ワンアウト(1巻)

 ハルは即高校を辞め、小学5年生の豪邸に招かれることに。藤花の友人で超絶お金持ちな、ツンデレっ子・丹沢千鶴、不思議ちゃん・小森紗奈ら3人の元で、ヒモ生活を開始します。


ハルの悪行三昧

 問題はハルが全然漫画を描かないということと調子にのってやりすぎること。それが全部許容されることです。苦労せずオールオッケーになる世界って、感覚がおかしくなる。

小学生のお金で同人誌大人買い

 藤花は支援するのが楽しいので、ハルが「資料代」だと言えば何でもお金を出します。「先生がほしいと思うものにかかるお金は、すべて必要経費です」。

 同人誌に興味があったハルは「資料」だと説明して、秋葉原で買い物三昧。「ロリのヒモとなった俺は! ロリのお金で! エロ同人を好きなだけ買うことができるのだ!」これがハルの理性の糸をプッツンと切るきっかけになります。

小学生のお金でソシャゲガチャ課金

 どうしてもほしいSSR巨乳キャラがいるということで、課金をお願いしたところ即OK。これも資料扱いらしい。


画像 想像しうるヒモ行動として最低の部類(1巻)

 「アイデアとは、ガチャみたいなものだからだ。どちらも求めているものが出るときは出るし、出ないときは出ない」ハルは、超理論を出すことにおいては天才。「あきなめなければいつかは出るわ!」「にいさまならできるにゃ」と応援されながら小学生のお金でガチャをまわした男子は、現実二次元あわせてコイツだけだと思う。

ロリキャバクラ

 キャバクラを体験してみたい。しかしキャバ嬢と話すより藤花たち3人と話すほうが楽しい。だから小学生がキャバ嬢になって接客してくれたら最高ではないか、という理論。指名をもらえた人には賞品として「天堂ハル1日乗車券」が手に入るということで対戦形式に。ヘンに下心を出さず、遊びの範ちゅうに持っていったのは巧み。


画像 ガチャよりファンタジーなので、一周まわってありな気がしてきた。いや、アウトだわ(2巻)

 お酒はないものの、ふとももをぴったりくっつけてきたり、鎖骨を触らせたり、髪の毛を触らせたり、ひざまくらしたり、おへそ当てゲームをしたり。まあ、確かに藤花にお金をもらって本物のキャバクラに行くよりは、マシ……かなあ?

小学生にお風呂で身体を洗わせる

 一番アウトな行動ですが、思考的には一番まとも。「ヒモ」として慣れてきたハルは、自らをクズとして下げまくることで、藤花たちを喜ばせる術を身につけていきます。そのひとつとして、水着を着た3人に洗わせる、というゲスい名目で、スキンシップをはかることに。

 ハルは生粋のおっぱい星人で、ロリ性癖ゼロなので、お風呂でのじゃれ合いは明るく楽しい雰囲気。なるほど、一応は3人のことを妹的に好きなのはわかった。


無邪気なフェアリー、藤花ちゃん

 この作品が幸せかつホラーである要因の一つが、藤花のキャラクター性にあります。

 藤花はハルの頭の先から足の先まで全肯定。作品だけでなく、彼自身のことを好きで好きで仕方ない子です。だから、彼には湯水のごとく出資します。正直だいぶネジがとんでいるので、周りにストップさせられることもマレにはありますが、イヤイヤやったことはありません。


画像 これだけ見るとお兄ちゃんと妹ですね。本当はヒモだけど(2巻)

 彼女は、ハルを甘えさせているという発想ではなく、全て「自分がそうしたいから」「楽しいから」「先生の漫画が好きだから」やっています。

 何もかもを無邪気に楽しむ妖精的な子で、別に仏心を示しているわけではない。ハルをクズだと知った上で、自分たちを楽しませてくれるお抱えエンターテイナーとして接しています。彼女視点で読んでみると、意外とWin-Win。


幸せってなんだろう?

 一方で状況を第三者から見ると、ハル・藤花まわりの空間は完全に閉じています。現実の倫理が通用しない、痛みが一切ない極楽。

 ハルは3巻時点で、商業誌に載る漫画は一切書いていません。お金は全て藤花任せなまま。「最終的に努力して、成長する」というのがすっぽり抜けています。

 ハルが藤花のためだけに漫画を描くシーン。藤花があることで涙したのを見て、彼女が求めているものが全部詰まっている漫画を描きます。商業誌には出しません。

 この行動は「自分の内から出る、表現のあり方」を問うものです。ただ1人のためだけに描いて、あとはそばにい続けることが幸せなのか。自分が描きたいものをプロとして描くために、パトロンになってもらうのが幸せなのか。彼と藤花が選んだのは、前者でした。


画像 この4人で完結する、不思議な幸福論(1巻)

 藤花「先生は、わたしのヒモです。でも、わたしはそれでいいと思うんです。先生がそばにいてくれるだけで、わたしは楽しいんですから。これでもっと漫画を描いてくれたら、本当に言うことなしです」

 ハルの担当編集さんは、散々に彼のことを「最低のクズ」と、もっともな罵倒した後、ポロッと言います。

 「大好きな作家が、自分のためだけに漫画を描いてくれるんだぞ? そんなの、究極の贅沢じゃねえか」

 幸福はお金では買えない。藤花は今、幸せなようだ。

 7月25日には4巻が、7月28日にはドラマCDが発売になるそうです。甘さしかないパライソ。素直に萌えキャラに囲まれた幸せと受け取るべきか、萌えの果てにたどり着いた極彩色の歪みと見るべきか。


(C)Yuki Akatsuki/KADOKAWA(MF文庫J刊) イラスト:へんりいだ


たまごまご


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2501/21/news021.jpg 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
  2. /nl/articles/2501/22/news010.jpg 子なし夫妻が“人間の子ども”のように育てた柴犬を、実家の家族に会わせたら……  幸せあふれる展開に「とっても嬉しそう」
  3. /nl/articles/2501/22/news035.jpg 友達に「あれ、お前んちパーティ中?」と言われた“実家”が100万再生 衝撃の全貌に「ビビってます」「ウチの中にない物ばかりwww」
  4. /nl/articles/2501/22/news088.jpg 道で“お宝”拾ったと大興奮→磨いたら…… 3430万再生された驚きの職人技に「まさに芸術作品!」「信じられない」【海外】
  5. /nl/articles/2501/21/news098.jpg 「キティちゃんのお面だと思ったら……」 ひっくり返した“まさかの正体”が830万表示 投稿者に話を聞いた
  6. /nl/articles/2501/22/news029.jpg 0歳赤ちゃん、朝起きてママに気付いた瞬間…… 涙が出そうになる表情が600万再生「こーれーはーやばい!」「あかん一生みてまう」
  7. /nl/articles/2501/22/news108.jpg 東京ディズニーリゾート、“あのブランド”とコラボした紅茶に反響 「遂に来たぁあああ!!」「買うしか!」
  8. /nl/articles/2501/22/news076.jpg 実物大ν(ニュー)ガンダムが公開から数年たち…… 現在の姿を捉えた写真に反響 「イラストかと思った」「かぁぁっこえぇ……」
  9. /nl/articles/2501/21/news023.jpg 100円で売ってた謎のジャンクDSソフト、その中身は…… “とんでもないデータ”が入った掘り出し物「これもう運命の出会いでしょ」
  10. /nl/articles/2412/09/news077.jpg 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
先週の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  4. 鮮魚店で売れ残っていたタコを連れ帰り、水槽に入れたら…… ヤバすぎる光景に「こんなに可愛いなんて!」「笑ってしまった」
  5. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  6. 「まじで終わってる」 マクドナルド「エヴァ」コラボ品“高額転売”に嘆く声…… 「結局欲しい人が買えない」
  7. 母に「髪染めやピアスはダメ」と言われ続けた25歳東大女子、大変身を決意したら…… まさかの事態に「さすがにおもろい」「涙出てきた」
  8. 賞味期限「2年前」のゼリーを販売か…… 人気スーパーが謝罪「深くお詫び」 回収に協力呼びかけ
  9. 風呂上がりに偶然「牛乳を注ぐ女」になった人に反響 「ほぼそのままw」「盛大にふきだした」 投稿者に話を聞いた
  10. タンクトップ姿のパパ「昔はモテた」→娘は信じていなかったが…… かつての姿に衝撃走る「『トップガン』に出ていても納得」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
  3. 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
  4. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
  7. 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
  8. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  9. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  10. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」