ニュース
» 2017年04月30日 18時00分 公開

学校で生きることは戦うことだ 「星野、目をつぶって。」星野海咲のメイクと青春の疾走あのキャラに花束を

君は人のために、ドロップキックできるか。

[たまごまごねとらぼ]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 高校デビュー、大学デビューなんて言葉があります。今まさにリアルタイムで実行中の新入生さんも多いのでは。

 かつての自分をいったん隠し、新しい自分として再スタート。一層元気に生きていこう、という決意。毎日が戦いだ。


画像 華やかなギャルが目印

 『星野、目をつぶって。』は、高校という生きていくには過酷な場所で、人気者の美人ギャル星野海咲(ほしの・みさき)と、学校の生徒たちに嫌気がさしている少年・小早川を中心に描く、群像劇。

 リア充も、オタクも、体育会系も、文化系も、黒ギャルも、白ギャルも。みんな「学校」という空間で、悩んでいる。

星野、ばれたらやばいって

 クラスのトップリア充グループに所属している、星野海咲。華やかな美人で、グループの中でもひときわ目立っている。

 しかし、彼女には秘密がありました。その派手さは全て、メイクによるもの。すっぴんになると、全然目立たないういろう顔。別人すぎて、学校の誰も気付かないほど。


画像 注・同一人物です(1巻P63) (C)永椎晃平/講談社

画像 すっぴん。正直こっちもめちゃくちゃかわいいんですが、まあ本人がどう思うかは別よね(1巻P50) (C)永椎晃平/講談社

 別人になっちゃうメイクってマジであるんですよねえ……。もともと彼女は元気で明るい子。それはメイクをしてもしなくても、ほぼ変わらない。ただ、過去にちょっといろいろあったこともあり、中学時代にメイクをしたことで、自信がついた。メイクをしていれば、自分本来の明るい気持ちを、そのまま出せる!

 かくして、絵のうまい小早川が引っ張り出されて、星野にメイクをするハメになったのでした。

 なるほどメイクが大事なのはわかった。でもバレたところで、問題ないんじゃないの? 友達ってそのくらいで離れないでしょ? 人間関係でうだうだやっている高校生が大嫌いな小早川は、言います。

小早川「オシャレじゃないとダメ!? 可愛くないとダメェ!? バカか!!! 自分は自分だろ!! コソコソ隠れて他人の顔色うかがったり! 他人に合わせて自分を無理矢理変えたり!! そういう生き方疲れねェか!?」
星野「ほんとの自分じゃないかもしれないけど、みんなもあのあたしを好きになってくれるんなら、あたしはあの姿で居続けたい。誰になんと言われようと、この生き方を変える気はないから」


画像 誰かの顔を伺ってるわけじゃない。彼女は自分の心の支えを、手放しはしない(2巻P41) (C)永椎晃平/講談社

星野の正義感

 星野海咲は、正義感が異常に強い子。頭がいい方ではないというか、バカです。だから小早川と違って、理屈で考えることをしません。感覚で動きます。

 学校の中では、いじめなど理不尽なことは山ほどあります。これについて、どういう関係なのかとか、人にどう見られるかとか一切考えず、星野はこうする。


画像 許せない青春の歪みには、何も言わず強烈な一撃!(1巻P118-119) (C)永椎晃平/講談社

 問答無用でドロップキック!

 誰かが困っていたら後先顧みず助けに行く。正義の味方を気取ってはいません、バカだから。勝手に身体が動いちゃう。高い橋から飛び込もうとしたこともある。死ぬぞ!

 彼女は大抵メイクを取った状態で突撃します。バレないようにというのと、激しく動いてメイクが落ちるのを防ぐため。だから、小早川はその後の再メイク要員。最初のうちはしぶしぶだった小早川も、星野の人のために動ける力と信念を感じるうちに、彼女のために自らメイクを施してあげるように。


画像 世界を、変えさせておくれよ(2巻P100-101) (C)永椎晃平/講談社

メイクをすれば、帰る場所がある

 「メイク」は一般的には、自らを飾るもの。きれいに見せるためのもの。取った状態が「素」。星野の感覚は、ちょっと違います。

星野「メイクしてるあたしがいるから、メイクすれば安心して帰れる場所があるから、あたしは思いっきり走れるんだよ」

 メイクしている状態は「自宅」であり、こっちが「素」。むしろメイクしていない方が戦闘状態という逆転現象になっている。実際、すっぴんで人助けに行く彼女の行動って、ヒーローがマスクをかぶって戦うのと逆ですよ。

 もちろん「かわいいからメイクが好き」というのが最前提なんだけれども、人に合わせるための擬態じゃない。


画像 見て見ぬふりはしない(2巻P86) (C)永椎晃平/講談社

 彼女がこんな風になったのには、ちょっとどころじゃない理由があった様子……ですが今は語られていません。ただ、「絶対見て見ぬ振りはしない」という自分ルールは、星野のみならず、小早川にも伝染していきます。

みんな悩んでいる

 このマンガはいじめる側、いじめられる側を、並列に描いています。もちろんいじめるのは絶対的に悪い。ただいじめる側の心の歪みには、理由があるはずなのも見捨てない。いじめられている側には手を貸す、いじめてる側のことをバカにしたりしない、というところは、この作品絶対ぶれないのがすごい。

 一方でリアクションしない側、見て見ぬ振りをする人間には非常に手厳しい。みんな悩んで戦っているのに、その外側から、あたかも自分は関係ない、という様子でバカにするのは、星野も小早川も絶対認めない。もちろんそれらの人が少しでも心を動かしたら、星野はすぐ手を差し伸べる。


画像 いじめっ子で嫌われ者な、黒ギャルヤンキー加納。3巻以降彼女の物語が荒波のように語られます (C)永椎晃平/講談社

 ぼくがこの作品で、すげーなと心の底から思っているのが、いじめっ子だった黒ギャルの加納愛那果(かのう・まなか)の話。さっきの、ドロップキックかまされている子です。

 星野と小早川の友人松方いおりをいじめており、学校中から全然信頼されていない素行不良の少女。しかし彼女「見て見ぬ振り」な生徒たちに手のひらを返されて、いじめられる側に転落。ギャル友達もあっという間に離れてしまい、一人ぼっちのヒールに。

 彼女のメイクは、擬装。毎日わざわざ肌を黒く塗って、化粧をこれでもかと施して。みんなと距離を置くための、強がりの、威嚇の仮面。私は黒ギャルだから、という言い訳の装甲だ。

加納「ムリだ…私にはこの生き方しかできない」

 ポジティブのためのメイクをする星野と同じような言葉なのに、意味が全く逆です。メイクを取った彼女は、誰もが認める美人なのに。

みんな救われたいけど、答えなんて無い

 『星野、目をつぶって。』は、星野と小早川を中心として描かれてはいるものの、基本的にメインになる人物はバラバラ。星野が全然出てこないこともあります。

  • 内気で一歩踏み出せない、おとなしい眼鏡の少女
  • バレー部で1人、先輩たちからハブられてしまった少女
  • 野球部で、いつも明るくて、ザ・リア充という雰囲気の少年
  • 星野のことを心から大切に思っている、親友のギャルグループの子たち
  • アイドルだと学校で言われるのがいやで、静かにクラスメイトと過ごしたかった少女
  • 誰にも相手にされず先輩にもバカにされ続けても、好きなものはゆずれないオタク少年

 みんなみんな、苦しんでる。だから星野はすぐに困っている人のところへダッシュで走っていくし、小早川は悩みつつも怒鳴り散らして叱咤激励する。頑張る人間を2人は絶対に見捨てない。

 結果として、一歩前にみんな進めている……と思うんだけど、答えなんて無いよ。多分一生見つからないよ。だから、自分を保つために、スポーツをしたり、友達を作ったり、趣味を守ったり、メイクをしたりする。プラスであれマイナスであれ、みんなよろいだ。

 見て見ぬ振りをせず、みんなが誰かのためにプラスマイナスにかかわらずリアクションをするよう、伝染していく。星野に助けられた人が、別の人に声をかける。映画『ペイ・フォワード』のような、善意を受けたら他の人に、というところまでは行かないけれど、誰かに優しくされた時は、他の人が困っている姿が目に入りやすくなると思うな。

 それはそれとして、文化祭の後夜祭の、内輪ノリの「ウェーイ」系うぜえ! っていう小早川の鬱屈もずーっと描き続けています。だよね、簡単に「リア充とネガティブ」の壁は飲み込めないスよ。嫌いな人は当然いる。それはそれで、いいんです。ムリをしないのも大事な自己防衛。なによりウェイ系の人だって、裏では孤独かもしれないよ。


画像 いい顔してるなー、星野ぉ!(5巻P125) (C)永椎晃平/講談社

 どんどん親しくなる星野と小早川の関係。なんせ今は身の回りの人のことでいっぱいいっぱいだから、自分の恋愛感情とか理解しきれない。意識はしているようです。今は、裏表全部知った上で本気でぶつかってくれる人がいるのが、なによりうれしい。

 ただ、ここまでみんなのために走り回れちゃう2人、へらへら笑ったり必死になっているうちに、周囲の人から手助けが来る日も近いんじゃないかと思うし、そうあってほしい。

 だから今日も1日、精いっぱい「学校」という戦場で戦えるように、メイク道具を小早川は手にする。星野、目をつぶって。


画像 星野!! (C)永椎晃平/講談社


たまごまご


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2402/25/news016.jpg 8人目の赤ちゃんが誕生、兄姉たちとの初対面が愛にあふれている 300万再生の光景に「号泣です」「素敵すぎて、尊くて……」
  2. /nl/articles/2402/24/news060.jpg 小泉進次郎、生後3カ月の長女を抱く姿に「貴重なパパの顔」 2023年末には小泉元首相の“幸せじいじ姿”も話題に
  3. /nl/articles/2402/24/news009.jpg かなり危ういほど小さく、獣医師から「育たないかも」と告げられた子猫が豪快に成長し…… 現在の姿に感嘆「あー涙出ちゃう」
  4. /nl/articles/2402/25/news065.jpg 「ほんと愛でしかない」「心から尊敬します」 “6男7女の大家族”うるしやま家のスーパーママ、“15人分のお弁当作り”が神業レベルで称賛の声
  5. /nl/articles/2311/24/news117.jpg 小泉純一郎元首相、進次郎&滝クリの第2子“孫抱っこ”でデレデレ笑顔 幸せじいじ姿に「顔が優しすぎ」「お孫さんにメロメロ」
  6. /nl/articles/2402/24/news017.jpg 雑草で荒れた庭を柴犬のために劇的ビフォーアフター 約2万円で実現した夢の自宅ドッグランが「イイお買い物」と話題に
  7. /nl/articles/2402/25/news014.jpg 母が帰宅したと思って出迎えた猫、ふと顔をあげたら…… 想定外の事態へのリアクションに「いいねを一万個ぐらいあげたい」
  8. /nl/articles/2402/25/news059.jpg 「吉本の給料上がらず」 山田花子、“リアルな台所事情”さらし共感の嵐 割引駆使する“ママの顔”に「親近感」「見切り品も買って偉い」
  9. /nl/articles/2402/24/news007.jpg “幻の錦鯉”を入手→開封して見てみると…… 素人目でも分かる“他の鯉とは明らかに違う”姿に「こんな鯉いるのかよ」
  10. /nl/articles/2402/25/news028.jpg 赤ちゃんの目の前で横になってみたら……? 思わぬ展開に「泣いていい?」「号泣」と780万いいね【海外】
先週の総合アクセスTOP10
  1. 8歳兄が0歳赤ちゃんを寝かしつけ→2年後の現在は…… 尊く涙が出そうな光景に「可愛すぎる兄妹」「本当に優しい」
  2. 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  3. 宿題する8歳娘と、邪魔しつづける猫を1年記録したら…… 490万再生の愛がつまったやりとりに「最強の名コンビ」
  4. 真田広之の俳優息子、母の手塚理美がエール「彼なりに頑張ってる」 両親ゆずりのルックスに「イケメン」「男前」の声
  5. 野生の鯉を稚魚から育て4年後、判明した事実に飼い主「僕は今まで何を…」 激変した姿に「爆笑してしまいました」
  6. 1歳妹を溺愛する18歳兄、しかし妹のひと言に表情が一変「ちがうなぁ!?」 ママも笑っちゃうオチに「かわいいし天才笑」「何度も見ちゃう」
  7. 食用でもらった車エビ、4歳息子に「育てたい」と懇願され…… 水槽で飼育した貴重な記録に「可愛い姿見せてくれてありがとう」
  8. 2歳娘とパパ、愛と平和しかないやりとりに「100億年分のストレスが消滅した」 涙が出るほど幸せな会話に称賛の声
  9. 3歳双子姉妹、17歳お姉ちゃんを修学旅行で見送ったら…… 寂しくて号泣する様子に「もらい泣きです」「愛されてますね」
  10. 1人遊びに夢中な0歳赤ちゃん、ママの視線に気付いた瞬間…… 100点満点のリアクションにキュン「かわいすぎて鼻血出そう!」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「天までとどけ」長女役、芸能界の「負の連鎖」訴え 主演俳優の“お誘い”拒否し「他の演者やスタッフからも無視」「本当の事なんか誰も話さない」
  2. 田代まさし、南部虎弾さん通夜で“一団”に絡まれる騒動へ……にらみ合いの末に「ちょっと来い」「止めろよお前」
  3. 妊娠中の英俳優、授賞式での“金太郎”ドレスが賛否両論 「半裸の妊婦なんて見てられない」「ホットなママ」
  4. 「変わんないもん俺のと」 所ジョージ、ホンダ軽を超速カスタムで高級外車と“まったく同じ”外見に 「朝から楽しいよ」「完璧!」
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 「意識もうろう」「何も食べられない」 すい臓がんステージ4の森永卓郎、痩せた顔出しで“最悪の時期”告白 息子は「『死ぬ』が冗談に聞こえなかった」
  7. 授業参観の度に「かっこいい」と言われた父親が10年後…… 「時間止まってる?」と驚愕の声がやまない父子の姿が870万再生
  8. 65歳マドンナ、ワールドツアー中のダンスが“おばあちゃん”だと視聴者衝撃 「もうやめなよ」「こんなふうに終わりを迎えるなんて」
  9. 人気ブロガー医師が4年の闘病の末に42歳で逝去 夫が伝える「素敵な女性がいたということを皆様の心に残していただければ」
  10. 能登半島地震により海底が“隆起”→すさまじい様子を収めた写真に「自然の脅威を感じる」