インボイス制度が始まったら、フリーランスにどのような影響があるの? 元国税局員が解説します【前編】
フリーランスと企業、双方で対応が必要な制度です。
令和5年(2023年)から始まる「インボイス制度」。「適格請求書」の提出が求められ、フリーランスで働いている人にも大きな影響が出るこの制度を、元国税局員のさんきゅう倉田が前後編に分けて解説します。
さんきゅう倉田
大学卒業後、国税専門官試験を受けて東京国税局に入庁。法人税の調査などを行ったのち同退職、芸人となる。芸人活動の傍ら、執筆や講演で生計を立てる。好きな言葉は「増税」。公式サイト、Twitter
インボイス制度、聞いたことありますか?
税金界ではすでに話題になっている、適格請求書等保存方式。一般的に「インボイス制度」と呼ばれるこの制度は、芸人を始めフリーランスの人たちに大きな変化をもたらします。しかし、フリーランスとして働いている人でも、この制度をすでにばっちり理解しているという人は、まだ少ないのではないでしょうか。
制度を知らないままで事業を続けていると、のちのち自分自身が損をしてしまいます。かといって、取引先や所属事務所が教えてはくれないし、フリーランスは人によって働き方などが異なるため、テレビなどで平易に解説するのは難しいものです。
今ならまだ間に合うどころか、だいぶ早い。今のうちから少しずつ「インボイス制度」について学んでおきましょう。
適格請求書等保存方式ってなに?
令和5年10月1日から、インボイス制度=適格請求書等保存方式が始まります。
これは、我々フリーランスが発行している請求書の形式を改める制度で、制度が始まったら、今まで取引先にメールや郵便で送っていた請求書を「適格請求書」にしなければいけません。今までと同じ様式で請求書を送ると、結果として取引先が消費税を多く納めることになり、損をさせてしまうのです。
だから、取引を継続するために、適格請求書を作れるようにならなければいけないし、適格請求書等保存方式について知っておかなければいけません。
今送っている請求書はなんなの?
まずは、現在の請求書について解説します。
現在我々フリーランスが発行している請求書は、区分記載請求書等保存方式と呼ばれる形式のものです。
会社などと取引をしたときは、区分記載請求書をメールや郵便で送りますよね。この際に、消費税が8%の取引と10%の取引を分けて書くことを区分記載と言います。
消費税が8%の取引とは、スーパーで食べ物を買ったり、レストランでテイクアウトをしたりした時などの、軽減税率の対象の取引のことです。
飲食業以外のフリーランスの人が、消費税8%の取引をしてそれを請求書に書くことはほとんどないかもしれません。執筆や取材、編集、出演など、食べ物以外の商品の売買はすべて10%の取引です。
そのため、今までみなさんが書いていた請求書は、知らないうちに結果として「区分記載請求書」になっていたケースが多かったのではないでしょうか。
自分で請求書を送らない芸人のような仕事はどうなるの?
そもそも、取引をしたときに消費税がかかることを知らなかった、取引をして消費税分をもらったことがない、という方はもう少し勉強が必要です。
ぼくは芸人として活動していますが、そういえば所属する芸能事務所から報酬と共にもらう明細には、消費税分の記載がありません。だから、ほとんどのタレントは消費税について認識していないのではないでしょうか。
現在、ぼくは事務所に対して請求書は送っていませんが、適格請求書等保存方式が始まれば、適格請求書を求められる可能性は0ではありません。0ではないけれど、個人的には、適格請求書の発行を事務所から求められることはないと思います。
この理由は、ふたつあります。
ひとつは、基本的に行った仕事の報酬額が不明で、振込の数日前に届く支払明細で確認しているということ。このため、金額を把握して、芸人側が請求書を作成することは困難です。
もうひとつは、行った仕事を把握して請求書を送るような、事務的な「面倒なこと」を、芸人自身がやる可能性が低いこと。そもそも、スケジュール管理をはじめ、事務仕事を芸人やタレントがやることは少ないです。
以上の理由から、所属事務所は芸人から適格請求書がもらえず、消費税分の損することになります。ただ、その分は、芸人に振り込まれる報酬額から引かれることが考えられます。
制度の理解が必要不可欠に
このように、フリーランスが適格請求書を作成して送らなかった場合、取引先が損をすることになり、その損を理由に取引を継続してもらえない可能性があります。
だから、フリーランスのみなさんは今から適格請求書を作れるように勉強しなければいけません。
さらに、適格請求書の発行には事前の登録が必要になります。適格請求書は、登録を受けた課税事業者のみが発行できるのです。
さらにさらに、今まで免除されていた消費税を個人で納める必要があるのです。これは大きな変化ですね。
今後のインボイス制度に対応するには、自分自身で税金の知識をつけることが必要不可欠です。後編では、インボイス制度の仕組みとフリーランスがやらなければならないことについて解説します。
関連記事
- ロッテリア「30%OFFバーガーパック」発売 人気の「絶品チーズバーガー」やサイドメニューがお得なパックに
家族や友達とシェアするのにぴったり。 - 東京都内のハイアットホテルが「FOR TOKYO」キャンペーン実施中 Go toトラベル併用で宿泊料金が最大55%オフに!
非日常を味わいたい! - 「ドコモ口座使っていない」「携帯がドコモじゃない」から大丈夫ではない ドコモ口座不正出金、提携銀行に口座がある人は確認を
被害のあった銀行に口座を持っている人は要確認。 - 連日上がっていく株価、この流れに乗りたい!→悩みぬいて買うと……? 株の「あるある」な葛藤を描いた漫画が共感を呼ぶ
タイミングが難しい〜! - 舞台もライブも中止! なのにカードの請求額が減っていない謎…… その理由を描いた漫画に「わかる」と共感の声
なぜかいつも通りの明細……その理由は?
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
【ハンドメイド】余った布が大変身! 捨てるのがもったいなくなる活用法に「天才じゃないですか!」「素敵なアイデア」
-
庭に置かれた“普通の物置” → DIYで“まさかの姿”に大変貌 「え?物置ですか?」「すごすぎ」
-
クルマのドアが開かない……! 車内から緊急脱出する“驚きの方法”に目からウロコ 「貴重な情報」「良い知識」
-
両親の離婚を機に、男子高校生が初めて作った“お弁当” その出来が「すごい」「なんか泣ける」と300万再生突破
-
コストコで人気「ヨーグルト」に大腸菌群陽性の可能性…… メーカーなど謝罪「深くお詫び」 5万8000個自主回収
-
買ったばかりの家の風呂場に”ありえない欠陥” 信じられない状況に「そんなことある?」「取り付けた業者……」
-
大人なら5秒で解きたい!「9+0÷2−3」の答えは?【算数クイズ】
-
天皇皇后両陛下と愛子さま、“おそろいコーデ”に23万いいね 着用アイテムに同系色
-
高校生のときに出会った“同級生カップル”→「親に頼らん!」と必死に貯金して…… 19年後、現在の姿に反響
-
「上達すごくね!?」 中学生絵師、小1→中2の成長ぶりに思わず感嘆 「人間の可能性を感じる」
- 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
- DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
- 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議
- スーパーで買った半玉キャベツの芯を植え、5カ月育てたら…… 農家も驚く想像以上の結末が1300万再生「凄い」「感動した」
- 東京藝大卒業生が油性マジックでサンタを描いたら? 10分で完成したとんでもない力作に「脱帽です」「本当にすごい人」
- 定年退職の日、妻に感謝のライン → 返ってきた“言葉”が約200万表示 大反響から7カ月たった“現在の生活”を聞いた
- 【ヤフオク】“3万円”で購入した100枚の着物帯 →現役着付師が開封すると…… “まさかの中身”に驚き
- 「立体的に円柱を描きなさい」→中1の“斜め上の解答”に反響「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」 投稿者に話を聞いた
- 「すんごい笑った」 “干支を覚えにくい原因”を視覚化したイラストが勢いありすぎで1700万表示の人気 「確かにリズム全然違う!」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
- パパに抱っこされている娘→11年後…… 同じ場所&ポーズで撮影した“現在の姿”が「泣ける」「すてき」と反響
- 東京美容外科、“不適切投稿”した院長の「解任」を発表 「組織体制の強化に努めてまいる所存」
- ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- イモトアヤコ、購入した“圧倒的人気車”が思わぬ勘違いを招く スーパーで「後ろから警備員さんが」
- 「何があった」 絵師が“大学4年間の成長過程”公開→たどり着いた“まさかの境地”に「ぶっ飛ばしてて草」
- フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
- 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
- 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」