原ノ町駅・立喰いそばまるや「天ぷらそば」(440円)〜常磐線の乗り換え時間に食べたい! 駅弁屋さんルーツの立ち食いそば
毎日1品、全国各地の名物駅弁を紹介! 福島県・原ノ町駅の立ちそば店「まるや」です。
【ライター望月の駅弁膝栗毛】(初出:2020年3月30日)
原ノ町駅を発っていわき駅に向かう、常磐線の普通列車。
青帯のE531系電車は、北は原ノ町、南は東京・品川まで乗り入れます。
この他、交流・直流両方の電化区間を走ることができる性能を活かして、水戸線(友部〜小山間)、東北本線(黒磯〜新白河間)でも活躍中。
関東と東北を在来線で乗り継ぐ際は、お世話になる機会が多い車両です。
一方、仙台から原ノ町へやって来る常磐線は、緑帯のE721系電車。
東北本線(新白河〜一ノ関間)、仙山線(仙台〜山形間)、磐越西線(郡山〜喜多方間)でも活躍している、南東北エリアにおけるローカル輸送の主役的存在です。
時間帯によっては、車内がロングシートの701系電車が連結されたり、701系電車のみでやって来ることもあります。
原ノ町で普通列車を乗り継ぐ場合、30分程度の待ち時間ができることがあります。
そんなとき、旅好きなら訪れたいのが、駅前にある「立喰いそば まるや」です。
以前は、駅前の「ロイヤルホテル丸屋」の一角にお店がありましたが、2018年からはホテルの駐車場の一角に建てられた、新しい店舗で営業しています。
営業時間は、午前8時〜午後2時までと少し短めです。
「丸屋」は、明治31(1898)年の常磐線開通以来、駅前に旅館を構え、原ノ町駅弁を手掛けてきたお店で、2000年代に入っても希少な立ち売り形式を残していました。
私自身も、原ノ町で列車を乗り継ぐ際、立ち売りの方から駅弁を買った記憶が甦ります。
合わせて、駅構内で立ち食いそばの営業も行っており、このルーツを汲むのが「立喰いそば まるや」となれば、そば1杯すすらずに原ノ町駅をスルーすることはできません。(参考)南相馬市ホームページ
「立喰いそば まるや」は、暖簾をくぐって入ると、左手に券売機がある食券方式のお店。
今回は、「天ぷらそば」(440円)を買い求めました。
「まるや」のすごいところは、天ぷらなのに「お揚げ」も載ってくること!
ある意味、“きつね”がベースともいえる、食べ応えのある天ぷらそばなのです。
駅弁屋さんゆえ、いなり寿司はお手のものだったでしょうから、そのルーツも感じられます。
そばつゆのいい香りを感じて、サクサクのかき揚げを少しずつつゆに浸していただきます。
久しぶりにいただいてみると、天ぷらが数年前より幾分大きくなったような印象。
食べ進めていくと、そばつゆがこの大きなかき揚げとお揚げにどんどん吸い込まれて、つゆまで完食できてしまうので、何となく幸せな気分になれます。
丼をカラにして思わずにっこり、返却口へ「ごちそうさまでした」!
以前、そば店が入っていた「ロイヤルホテル丸屋」は、平成30(2018)年から新築工事中。
今年(2020年)5月中旬ごろ、「ホテル丸屋グランデ」としてオープンする予定だそうです。(注:2020年7月31日にグランドオープン)
「立喰いそば まるや」は引き続き、現在の店舗にて営業するとのこと。
常磐線が全線運転再開して初めてとなる、この夏に予定される「相馬野馬追」。
何とか、無事に開催されてほしいと祈るばかりです。
いわき〜原ノ町間の普通列車は、日中、2〜3時間に1本程度の運行です。
復旧の際、単線化された区間では1つのホームに上下両方の列車がやって来る駅もあり、慣れない方のなかには、上下の列車を乗り間違えていた方も見受けられました。
1本乗り遅れると、日程のリカバリーが効きにくいので、くれぐれもご利用は計画的に!
ぜひいい時期に、1人でも多くの方に全線で運転が再開された常磐線を自分の目で見て、体感してほしいものです。
連載情報
ライター望月の駅弁膝栗毛
「駅弁」食べ歩き15年の放送作家が「1日1駅弁」ひたすら紹介!
著者:望月崇史
昭和50(1975)年、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、放送作家に。ラジオ番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年以上、およそ5000個!放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。ニッポン放送「ライター望月の駅弁膝栗毛」における1日1駅弁のウェブサイト連載をはじめ、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の連載を行っている。日本旅のペンクラブ理事。
駅弁ブログ・ライター望月の駅弁いい気分 https://ameblo.jp/ekiben-e-kibun/
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