「カプコンアーケードスタジアム」が21世紀の奇跡である理由を皆さんに説明します:今日書きたいことはこれくらい
「19XX」と「プロギアの嵐」の移植がどれだけ奇跡的かという話。
すいません、ねとらぼ読者の皆さんに剥き出しの感情を唐突にぶつけるのは大変に申し訳ないところではあるんですが、冷静な筆致を取り戻して理性的で落ち着いた対話を行うために、最初に1行だけ叫ばせてください。
うおおおおおおおおおおおおおああああああああああああああああああ「19XX」の家庭用移植が!!!!! ついに!!! ついにきたああああああああああああああああああああっ!!!!!!!!!!!!!!!
ちょっと落ち着きました。ありがとうございました。
皆さん、先日、一部シューター連中がTwitter上でお祭り騒ぎをしていたのってご覧になりました? いやもう本当、本当に、本当に信じられないことが起きたんですよ。個人的には令和最大のニュースが2020年の最後の最後になってぶち込まれてきやがった、ってくらいの印象なんです。
その理由は、2021年2月発売予定の「カプコンアーケードスタジアム」に収録されるタイトル群にあります。
この記事は、上記リンク先からご覧いただける「カプコンアーケードスタジアム」というゲームがどんな歴史的価値をもっており、私にとって、また皆さんにとっていかに奇跡的なゲームなのかをご説明し、ついうっかり皆さんにポチっていただけないものかという意図で書かれた記事です。あらかじめご了承ください。
ゲーマーの夢だった「移植」
まず、ゲームの「移植」というものについてちょっとだけ昔話をさせてください。PCやアーケードのゲームを、ファミコンやらMSXやらメガドライブやらPCエンジンやらに移植するアレです。
かつて、「ゲームセンターのゲーム」がゲームっ子たちの憧れであり、かつ手が届かない高根の花でもあった時代がありました。「ゲーセンのゲームが家で遊べる」という言葉にすさまじい魅力があった時代、それでいて移植それ自体がゲーム機のスペックとの戦いだった時代がありました。
古来よりゲーセンにはめちゃんこ面白いゲームが山ほどあったのですが、ゲーセンが子どもにはだいぶハードルが高い場所だったこともあり、「遊びたいのに遊べないゲーム」も山のようにありました。
そんな中、わずかな希望が「家庭用ゲーム機への、アーケードゲームの移植」でした。「〇〇が家庭用に移植!」というニュースは、ファミっ子たちの狂喜乱舞を引き起こしましたし、ときにはハード間戦争の直接の原因にもなりました。
しかし、特に1990年代くらいまでは、アーケードゲームは家庭用ゲームを大きくスペック的に上回っており、「ゲーセンそのままの移植」というのは幻想の言葉でした。ゲーセンほどのキレイな画面で、ゲーセンほどの派手なアクションやSTGを、そのままご家庭で遊ぶことは(X68000持ちのご家庭などのごく少数の例外を除いて)、大抵のファミっ子たちにとってはほとんど不可能事だったんですよ。
もちろんこれは、「限られたスペックで、できる限り面白い移植作を」という数々の挑戦を生み、その結果さまざまな名作が世に送り出されましたし、ときには若干のコレジャナイ感を、ときには「そう来るか」という恐るべき変化球を生み出しもしました。
ゼビウス。ファンタジーゾーン。バブルボブルに奇々怪界。アフターバーナ―。源平討魔伝にスプラッターハウス。アルゴスの戦士。グラディウスIIにストII、餓狼伝説やサムライスピリッツ。
「あのころ」を生きた皆さんなら、恐らくそれぞれに、「家庭用移植と、それにまつわるさまざまな物語」を思い起こしていただけるものと思います。ファミコン版アルゴスの戦士とか、あれはあれで私すごく好きだったんですが、アーケード版とは全く別物でしたよね。パッケージのショタっ子どこいった。
あとファミコン版グラディウスIIはマジで奇跡の一作ですのでその点はよろしくお願いいたします。
とはいえ、「やっぱりゲーセンのゲームをそのまま家でも遊びたい」という欲望、ないし希望が、ファミっ子たちの主要な願望の一つであり続けたことは間違いありません。
やがて、時代を経るごとにアーケードのゲームと家庭用ゲーム機のどうしようもないスペックの壁は埋まっていき、多少の「移植度」という問題こそあれ、だんだんと「家庭ではどうあがいても遊べない」というタイトルは少なくなってはいったのですが。
世の中には「大人の事情」というものがありまして、それでもどうしても「ゲーセンでしか遊べない」というゲームは残り続け、多くの人に移植を望まれながらも移植されない傑作、というものは今でも存在するんですよ。
例えば版権の問題とか。ソースが残ってなくて開発が難しいとか、売上が見込めないとか。
「あんなに面白いのに……!!」と思いつつ移植されない、家庭で遊べない。よっしゃじゃあゲーセンに行ったらあ! と思っても近所のゲーセンにそのタイトルがない。最終手段「基板を買う」は経済的にも場所的にも容易ではない。そういった極めて遊びにくいゲームを家庭で、しかもできることなら完全な移植度で遊びたい、というのは、いつの時代もゲーマーの一つの夢なのです。
私にとって、その最右翼となるタイトルが「19XX」というゲームでした。
「19XX」「プロギアの嵐」が収録されているという奇跡
「19XX」については以前この記事でも書かせていただきましたが、本当に面白いんですよ、このゲーム。個人的には、並みいるカプコンSTGの中でもぶっちぎりトップの一作なんです。
その「19XX」が。
1996年に発売されて、以来24年間移植されなかった「19XX」が、
ついに、ついに、ついに、本当についに、「カプコンアーケードスタジアム」で家庭用移植されるんですよ!!!!!!!
マーカーミサイルを敵にぶち込んで撃ち込みまくったときのあの恐ろしいほどの爽快感が、
「マーカーミサイルをどう当てれば効率よく敵を倒せるか」という戦略性が、
マーカーミサイルの当て方を考えながらプレイしていると勝手にうまくなっているあの見事な成長曲線が、
巨大な敵ボスを打ち倒したときのあのド迫力のステージクリア画面が、
撃墜率アップと勲章回収に命を賭けておいてボスで死んでパーになったあの得点稼ぎが、
「Dance of green gnome」や「Glayish tornado」をはじめとするあの冗談かと思うほどにかっこいいBGMが、
ご家庭のSwitchで楽しめる!!!!!! マジか!!!!!!!????
いや、「19XX」自体については上記の記事でも散々書いたのでそちらご参照いただければと思うんですが、本当に私、この20年間ことあるごとに「19XX移植されねーかなー」ってずっと、ずっと、ずーーーっと言い続けてたんですよ。
正直なところ、大人の事情ってのは難しいんだろうなあ、と。移植の望みがあるかっていうとそこまでないかもなあ、と思ってもいました。分かってた、可能性が高くないことくらい。
このまま「19XX移植」という言葉を使うことは一生ないのかもしれないと思っていた、それがついに、本当についに移植される! めちゃくちゃうれしい!!!!! うれしすぎて心臓発作起きるかと思った!!!!!!
もう本当、「19XX」は極めてハイレベルの名作でして、STG初心者の方にも大大大お薦めですので、それ目当てだけでもポチる価値は十二分どころか65535分くらいはあると思う次第なのですが、今回の「カプコンアーケードスタジアム」の恐ろしさはそれだけではありません。
そう、
「プロギアの嵐」!!!!
あれもです!! Capcom Home Arcade(関連記事)を見て、「海外だけかよ……!!!」と血涙を垂らした皆さん、今度こそ正々堂々正真正銘、国内版発売ですよ!!!!
「プロギアの嵐」はケイブ開発のこれまた名作中の名作弾幕横シューでして、ゲーム自体の面白さだけではなくストーリーや世界観演出も出色というほかなく、これまた数多のシューターに移植を望まれまくっていました。しかし2004年iモードの「ゲーセン横丁」でほんの一時期遊べた以外は、国内では19年間移植されなかった幻のタイトルです。
「19XX」と「プロギアの嵐」が同時移植されるとか、盆と正月と蝕とヴァルプルギスの夜が一緒に来たような超絶イベントですよ。なにこれ夢かな?
さらに、どこでもセーブ機能と巻き戻し機能で「難しい場所を集中的に練習」なんてことも簡単にできる! ブラックノイズ戦を練習しまくれますよ皆さん!!
「ギガウイング」や「サイバーボッツ」など、他のタイトルも魅力的
「19XX」と「プロギア」だけでも1フレ購入ボタン連打が決定づけられているというのに、カプコンアーケードスタジアムの魅力はそこにとどまりません。
「19XX」と同じく長年移植されなかった「U.S.NAVY」、国内では移植が実現していなかった「1944」や「バース」、サターンやドリキャスに移植されたものの現行ゲーム機では遊ぶのが困難な「ギガウイング」や「サイバーボッツ」をはじめ、「ついにきたか!!!!!」というタイトルがこれでもかとばかりめじろ押し。さらに「帰ってきた魔界村」(※)などという隠し玉まで投入されています。
一部には過去のゲームコレクションとかぶるラインアップもあるものの、これだけ目玉ソフトがそろっていれば、もうこの地球という蒼い星に住む全人類が購入するべき一作だと言ってしまっても過言ではないのではないでしょうか。50億本くらい売れて欲しい。そんで次は版権の壁を乗り越えて「パニッシャー」や「エイプレ(エイリアンVSプレデター)」、あと「スーパーマッスルボマー」や「ウォーザード」あたりも移植されてほしい。
上述の「19XX」「プロギアの嵐」以外で、かつ近年収録されていなかった個人的な注目作について、何作かピックアップして簡単に触れてみます。すいません全部触れてると記事が永遠に終わらないので、5〜6作に留めさせてください……。
まずなんといっても「サイバーボッツ」。同じく収録作の「パワードギア」からスピンアウトしたロボットもの格闘ゲーム。SS版・PS版の他、2011年にゲームアーカイブスで配信されたものの、その後現行機には移植されていなかった一作です。基本的に「ブースト」というシステムを利用した機動が重要な、爽快感とメカメカしさを両立させた名作格ゲーなんですが、のじゃロリ王女であるデビロット姫が一部でさく裂的な人気を誇っています。あとワーロックが死ぬほど強い。
「天地を喰らう」。本宮ひろ志先生の、同名の三国志漫画を元にしたベルトスクロールアクション。カプコンベルトスクロールコレクションには「II」しか収録されませんでしたので、PCエンジン版以来実に26年ぶりの移植になるはずです。難易度も高く、知名度や遊びやすさでは「II」に一歩を譲るかも知れませんが、馬に乗ってぶんぶん武器を振りまくるのはめちゃくちゃ気持ち良かった。「II」と違って劉備も使えます。あと呂布が死ぬほど強い。董卓まで行けたことはない。
「ギガウイング」。これも、ドリキャス版以降ようやくきたかーーーーー!!!! って感じの名作縦シューです。「リフレクトフォース」というシステムを使った得点稼ぎがものすごーーーく気持ちいいんですよ。画面を埋め尽くした弾幕が一斉に得点アイテムに変わる光景には、一種麻薬的な魅力があります。難易度もほど良くって、「19XX」と同様、シューティングに不慣れな方にも全力推しできる一作です。
「U.S.NAVY」。上記した通り、30年間移植されなかった幻のタイトルです。私が大好きな横シューである「エリア88」のシステムをそのまま使っておりまして、一種の続編的な立ち位置でした。「お金をためて新しいサブウェポンを買う」というシステムがめちゃ好きでして、自機が分かりやすくパワーアップするのがすごく気持ちいいんですよ。難易度も序盤はそこまででもなく、初心者でも入りやすい一作です。後半は結構難しいんですけど。
「フォゴットンワールド」。アーケードでいうロストワールド、弾の撃ち分けが特徴の横シューでして、これもPS2のクラシックスコレクション以降、久々の移植ですよね。ローリングスイッチがない分操作がちょっとややこしいんですけど、サテライトというオプションのパワーアップとハイセンスなクリア台詞が著名な名作です。あとシルフィーがかわいい。
「1941」。これも、PCエンジンに移植されて以降、30年間移植されなかった19シリーズの縦シューです。グラフィックが「1943」に比べてもめちゃくちゃキレイになっていまして、当時「すげーーー!!」ってなったんですけど、難易度もめちゃくちゃ高くって3面くらいまでしか攻略出来ませんでした。今やったらもうちょっとくらい進めるかしら(逆に2面もクリアできない可能性もある)。
と、すいませんこれ語ってるといつまでも終わらないのでこのへんにしておきますが、とにかくこの記事を一言でまとめると、
「19XX」と「プロギアの嵐」とその他多数が収録されるとかあまりにも最高すぎるぞ!!!!!!!! 皆買おうぜ!!!!!!
ということになり、他に言いたいことは特にありません。よろしくお願いします。
今日書きたいことはこれくらいです。
関連記事
今日書きたいことはこれくらい:「〇〇のカプコン」といったら何? という件と、「19XX」があまりにも面白すぎるという話
そして唯一にして最大の問題点とは。今日書きたいことはこれくらい:「天穂のサクナヒメ」がアクションゲームとしてもすげー面白かったのでベタ褒めします あと飯がガチでうまそう
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あとヒロインの妙(みよ)がかわいい。今日書きたいことはこれくらい:スーパーファミコンの「らんま1/2 爆烈乱闘篇」はキャラクターもの格闘ゲームの一つの完成形だ、という話
EVO Japan 2018のサイドトーナメントの種目に選ばれて話題になったりもしました。今日書きたいことはこれくらい:『コロボックル物語』シリーズ、特に2巻の『豆つぶほどの小さな犬』が、児童小説としては信じられないほど良質なミステリーでありかつラブコメだという話
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