【好きなゲームが世間のクソゲーな人】番外編:良ゲー/クソゲーの境界線の難しさ(2/3 ページ)

» 2020年12月31日 22時00分 公開

ローグライクならではの魅力とハードルがある「風来のシレン」(吹逸甘造(すいーつあまぞう)さん/@amazoudotcom

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最新作「風来のシレン5plus フォーチュンタワーと運命のダイス」トレーラー

 「絶対勝てる」はない代わりに「絶対勝てない」もない。ある人は「風来のシレン」シリーズをクソゲーと評し、またある人は良ゲーと評す理由はこの一言で言い表せると思います。

 同シリーズは、ダンジョンの地形、アイテムや敵の配置などがランダムに変わる「ローグライクゲーム」。どれほど強力な装備を整えたとしても、たった一歩、ワナの有無を確認しなかったがために運悪く眠りガスを受けて無防備になったところを殺されたり、出会い頭に復活アイテムを盗まれて安定した冒険が大ピンチになったり……という理不尽な展開に見舞われることが、一度や二度では済みません。

 しかしまた、そのランダム性ゆえに、逃げた先で踏んでしまった地雷のワナで敵が一網打尽になったり、切羽詰まって振った未鑑定の杖(つえ)が自分を窮地から救ってくれたり、と予想だにしなかった逆転劇が生まれることも少なくありません。

 「もっと慎重なら、回避できたかもしれない不運」「最後まで諦めなかったから、つかめた幸運」があり、さらに「そのバランスを幸運の側に偏らせるための努力、テクニックが存在する」ということに気付いたとき。

 「あ、このアイテムで楽に経験値を稼げるぞ!」「そうか、こうすれば回避できたことだったのか!」「なんだよあの展開、どうしようもねえだろ! ……いや、あのアイテムを温存していればどうにかできたかも」と気付いたとき、このゲームはクソゲーから良ゲーに変わるのだと思います。

ゲームとしては欠点もあるけど映画の世界に浸れる「マッドマックス」(おぢさまさん/@odzisama

 小学4年生のころから映画『マッドマックス』シリーズのファン。『怒りのデス・ロード』(2015年公開)と同年に発売されたゲーム「マッドマックス」(PS4ほか)ではあの文明崩壊後の世界がオープンワールドで描かれており、主人公・マックスのロールプレイとして浸れる作品だったと思います。

 「ひたすら砂漠のまま景色が変わらなくてつまらん!」という批判的な声も目にしたことがありますが、映画『怒りのデス・ロード』を見てもらえば分かる通り、砂漠とスクラップまみれで視界が茶色い作品です。むしろ砂漠こそが彼らの生きる世界なんです。

 マップの単調さはオープンワールドゲームとしては致命的な問題かもしれませんが、私はむしろ「ここを大事にしてくれて良かった」と思っています。だって、映画の中でフィリオサがどんなに探してもなかった緑の地が、ゲームにあったら「なんだそりゃ」ってなりますから。

 そのほか、攻略が単調だったり、敵や車両のモデリングが多くなかったり、やり込み要素がそれほどなかったり……コアなゲーマーには受け入れられない部分も多いかもしれません。また、ビーグルに乗りながらの戦闘がやりにくかったり、格闘は攻撃ボタンと防御ボタンを同時押しで連打すれば無敵だったりと、確かにゲームとしてはいろいろと穴があると思います。

 ですが、この作品にはマックスになって遊べる楽しみ、彼の世界を歩き回れる興奮があります。食料にドッグフードがあったり、文明の遺物を拾う収集イベントでカマキリの写真を見たマックスが「あれはうまかった……」と言ったり、サンダードームで戦うことになったり。過去の映画の小ネタがいろいろとちりばめられていて、長年のファンにはたまらない作品でしたね。

 そうそう、マックスといえば愛車「V8インターセプター」なんですが、映画と同様、ゲーム冒頭であっさり奪われます。正直「またかよ!」と思いますが、最終的に取り返す……けど、やっぱりまた『怒りのデス・ロード』で奪われ、さらには廃車に。映画を見るたび「“俺が”あれだけ苦労して奪還したのに!」と思います。

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