【座談会】Flash、今までありがとう―― あのころ、僕らが夢中になった「Flashの時代」を振り返る(前編)(4/5 ページ)

» 2020年12月27日 18時45分 公開
[かーずねとらぼ]
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業界にショートアニメの需要が増えていき、Flashを仕事にする機運が高まった


かーず


セミナーに通っていたってことは、wosaさんは映像のプロになろうとしていたんですか?


wosa

いえ、それは全然ないです(笑)。純粋に高い技術を学びたかっただけでした。Flashイベントの運営としては、僕自身がFlash職人の方々に接してきて、圧倒的な力の差を感じてました。若い人達がセンスの塊で、自分にないものを全部持ってるんですよ。512kb君のセンスとか、もうすごすぎてね。



かーず


今見てもめちゃくちゃ笑えてカッコいいなー。塚原さんがFlash職人からプロを目指されたきっかけは?


塚原重義

一度もないんですよ。プロを目指した瞬間がないまま、目の前の楽しいだけをずっとやっていた結果が今なんです(笑)。2005年ごろに、2ちゃんねる系とはまた別に、ルンパロ・チータさん(@rumparo)やFROGMANさん(@ono_ryo1)のような人たちが、なんとかFlashを仕事にしようって機運というか動きがあったんですよね。その1年後に「THE FROGMAN SHOW」がテレビで放映されることになったころ、僕もDLEさんに誘われて就職したのがプロになった経緯です。


かーず


誘われて、映像関係のお仕事に就かれたんですね。


塚原重義

その後フリーになってしばらく続けていると「自分って本当は何がしたかったんだっけ?」って迷う時期がやってきました。そうこうしてる間に、世の中が「YouTubeだ」「ニコニコ動画だ」って時代になってきて。出す場所が違うだけで、作る側のやることは一緒なんですけど、世間的にも「Flashは過去のもの」って空気感が流れていて……。


wosa


「Flashは死んだ」的な言われ方をされるたびに、みんなカチンときましたよね、死んでねーしみたいな(笑)。


塚原重義


(笑)。それで2009年〜2010年ごろだったかな。自主制作アニメブームが起こって、「フミコの告白」が発表されていた時期ですね。



かーず


塚原さんが悩まれていた時期も、NHKで星新一原作のアニメーション作品「うるさい相手」(2008年秋放送)の監督をされたり、経歴を積み上げていらっしゃったようですが。


塚原重義


この仕事は面白かったなー。そのころから業界内でショートアニメの需要が高まったんです。FROGMANさんしかり、森井ケンシロウさん(@morii)しかり。


かーず


森井さんは今期もTVアニメ「ぐらぶるっ!」が放映されていて、精力的に活動されてらっしゃいます。


塚原重義


たけはらみのるさんやみのぷうさんも、「異世界かるてっと」とか仕事されてますし。原点回帰して自分の作品を作りたくなって、2年近くかけて「端ノ向フ」(2012年)という作品を完成させて、「あ、作るってやっぱり楽しいな」って初期衝動を取り戻した形です。



wosa


「端ノ向フ」は塚原イズムの復活で、「あ、塚原さんだわー……」みたいなすごい安心感があったのを覚えてる。


塚原重義


それから「『端ノ向フ』みたいな感じでお願いします」って仕事が来るようになったのが今に至る転機になってますね。


後編に続く


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