特別ゲストは堀井雄二さん 奇跡のコラボ「流氷物語号×『オホーツクに消ゆ』」聖地巡礼レポート月刊乗り鉄話題(2021年3月版)(2/5 ページ)

» 2021年03月12日 20時30分 公開
[杉山淳一ねとらぼ]

「北浜駅」……死体も流氷もいなかった

 釧網本線の北浜駅は網走駅から4つ目。海岸に近く「プラットホームから流氷が見える駅」として知られています。ゲームではこの海岸で第二の被害者「いいじま ゆきお」の死体が発見されました。ゲームでは駅員さんが証言しますが現在は無人駅。駅舎が喫茶店になっています。

流氷物語号 オホーツクに消ゆ 堀井雄二 荒井清和 北浜駅。映画やドラマのロケ地としても有名な観光スポット
advertisement

 北浜駅のプラットホームはゲームの画面とは逆の位置にあります。徒歩数分の踏切を渡ると海岸へ行けます。寒いからもう死体役はやりません。毎回死体役をやって参加者に期待されても困るし。

流氷物語号 オホーツクに消ゆ 堀井雄二 荒井清和 死体発見現場の海岸
流氷物語号 オホーツクに消ゆ 堀井雄二 荒井清和 展望台から海を眺めていたら、快速「しれとこ摩周号」が来た
流氷物語号 オホーツクに消ゆ 堀井雄二 荒井清和 来訪記念として駅舎に名刺を貼っていく人がいる……あれ?
流氷物語号 オホーツクに消ゆ 堀井雄二 荒井清和 ゲーム序盤の登場人物、高田馬場のキャバレーの女の子たちも来たのか(笑)

「網走刑務所」……全国唯一のニポポ産地、特製ニポポお土産製作の裏話

 網走市内のホテルで昼食を取り、次の目的地は網走刑務所です。ゲームでは事件の鍵となるアイテム「ニポポ」を作っているところです。

advertisement
流氷物語号 オホーツクに消ゆ 堀井雄二 荒井清和 網走刑務所。受刑者さんが雪かきなど外で作業をしている場合は撮影禁止。ニポポなどの販売所は右手の奥にある

 ちなみに「ニポポ」には「小さな木の人形」という意味があります。「ニポポ人形」は間違いで「ニポポ」が正しい呼び方です。ゲームでは殺人事件の翌日に「顔に涙が彫られたニポポ」が土産店に入荷します。これを彫った受刑者は無期懲役の「うらた じんごろう」でした。事件の背景を知る人物です。

 ニポポは刑務作業の一環として1955年から作られました。刑務所内に自生していたエンジュの木を使います。ニポポは網走市が商標を持っていて、製作所は網走刑務所だけです。「流氷物語号×『北海道連鎖殺人 オホーツクに消ゆ』」の乗車記念品「涙入りニポポ」も網走刑務所で作られました。

流氷物語号 オホーツクに消ゆ 堀井雄二 荒井清和 刑務官は制作を担当する受刑者に涙の意味を説明したんでしょうか。受刑者がこのゲームを知っていたら……?

 「涙入りニポポ」はスタッフがいちばん作りたかったお土産の1つ。ゲームをプレイして「ロケ地訪問」した人なら、ニポポを買って自分で涙を彫った人もいるはず。私もそのひとり。本企画初期段階の2020年9月頃、主催者のMOTレール倶楽部が網走市観光協会に打診しました。

advertisement

 2021年現在の網走刑務所は短期受刑者が多く、ニポポなど手間のかかる民芸品を作れる受刑者は限られるそうです。そんな網走刑務所に「特製ニポポを発注」するという珍しい経緯でした。

 「実は刑務所内のエンジュの木が残りわずかで……」「え、全部ニポポになっちゃったの?」とか「町工場へ発注するなら残業で増産してもらえそうだけど、刑務所の受刑者に強制労働は強いられないよね……」とか、いろいろな裏話もありました。

 試作品をいくつか作り、ゲーム原作者の堀井雄二さん、キャラクター原画の荒井清和さんに確認していただき、生産開始は10月から。1月中旬に150本を納品していただくことになりました。150本という大きな数字にビックリ。観光列車のお土産として、1本3000円は高額です。売れ残ったらどうしよう。言い出しっぺの私が責任を持って買い取らなくちゃ……と思っていました。おかげさまで運行期間早期に完売してホッとしています。

 しかし、前述の通り増産が難しい商品でした。買えなかった人にはゴメンナサイ……。むしろ150本を確保した網走のスタッフさんの目利きと交渉力がすごいと思いました。

流氷物語号 オホーツクに消ゆ 堀井雄二 荒井清和 観光地としての「博物館網走監獄」も見学。網走刑務所から少し離れた丘にある、古い建物を移築した博物館。受刑者を模した人形がちょっと怖い……

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2503/29/news054.jpg 「全てが完璧」 無印良品の“1990円バッグ”に称賛続出 「やっぱりこれ」「文句なし」「使い勝手抜群」
  2. /nl/articles/2503/27/news056.jpg 福袋に入ってた“定価3万円”の高級魚を大事に育てたら…… 「やりやがったな」涙する結果に「すごい」「ほんと感動」
  3. /nl/articles/2503/29/news094.jpg 普通のクリップを2つつなげるだけで…… あると助かる“便利グッズ”に大変身 「マジで!」「素晴らしいアイデア」【海外】
  4. /nl/articles/2503/29/news091.jpg 「全色買いしてしまった」 ユニクロ“新作2990円ベルト”に称賛続出 「これは買い」「1万円以上に見える」
  5. /nl/articles/2503/29/news015.jpg 捨てるしかないトイレットペーパーの芯をそのまま通すだけで…… 目からウロコの簡単ライフハックに「天才!」「素晴らしいアイデア」【海外】
  6. /nl/articles/2503/25/news065.jpg パパに抱っこされる娘→30年後…… 同じポーズで撮影した“現在の姿”に驚き「私もお父さんが恋しくなった」【海外】
  7. /nl/articles/2503/30/news010.jpg 6年間外につながれひとりで取り残されていたワンコ、あれから半年後…… 別犬のような姿に「嬉しすぎて泣きそう」「只々感動です」
  8. /nl/articles/2503/29/news086.jpg 「これでいいんだよ」 ユニクロ新作“2990円バッグ”に高評価続出 「こんなの待ってた」「多用しそう」
  9. /nl/articles/2503/29/news013.jpg ホテルで使ったタオル、どこに置く? ホテル従業員が「こうしてもらえると助かる」とアドバイス【“ホテル従業員の本音”記事3選】
  10. /nl/articles/2503/29/news004.jpg 20代で貯蓄1000万円、30歳女性ミニマリストの部屋をのぞくと…… “驚きの光景”に「家具数違いすぎて笑った」「憧れます」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「うそでしょ!?」 東京ディズニーランド、“老舗”レストランの閉店を発表 「とうとう来てしまったか」「いやだああああ」と悲しみの声
  2. Koki,、豪邸すぎる“木村家の一室”がウソみたいな広さ! 共演者も間違えてしまうほどの空間にスタジオビックリ「コレ自宅!?」「ちょっと見せて」
  3. 息子の小学校卒業で腕を組んだ34歳母→中学校で反抗期を迎えて…… 6年後の姿に反響 「本当に素敵!」「お母さん、変わってない!?」
  4. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが550万再生「凄すぎて笑うしかないw」「チーズが、、、」 話題になった作者に話を聞いた
  5. ディズニーランドがオープンした1983年当時、カップルだった2人→37年後…… 目頭が熱くなる現在の姿に感動
  6. ニットで口元が隠れた赤ちゃん、そっと脱がせてみると…… “想像を超える”表情が2300万再生「心に刺さった」「今まで見た中で1番!」【海外赤ちゃん記事3選】
  7. 水族館のイカに“指でハート”をしてみたら… “まさかのお返し”が190万表示「こ、こんなことあるのか」
  8. 「ひどすぎ」 東京ディズニーランドで“約100人のドジャースファン”が一斉に“迷惑行為” 「やめてほしい」と物議
  9. 19万8000円で購入した超高級魚を、4年間育てたら…… ド肝を抜く“大変化”に「どんどん色が」「すごい」
  10. 初めて夫の実家に挨拶した妻、初々しかった表情が9年後…… “そうはならんやろ”な変わりっぷりが1150万再生
先月の総合アクセスTOP10
  1. 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  3. パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
  4. 和菓子屋で、バイトの子に難題“はさみ菊”を切らせてみたら……「将来有望」と大反響 その後どうなった?現在を聞いた
  5. 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
  6. 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  7. 希少性ガンで闘病中だったアイドル、死去 「言葉も発せないほどの痛み」母親が闘病生活を明かす
  8. “きれいな少年”が大人になったら→「なんでそうなったw」姿に驚がく 「イケメンの無駄遣い」「どっちも好きです!笑」
  9. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  10. 芸能界引退した「ショムニ」主演の江角マキコ、58歳の近影にネット衝撃「エグすぎた」 突然顔出しした娘とのやりとりも話題に