Netflix「パシフィック・リム:暗黒の大陸」レビュー 日本よ、あの熱狂を思い出せ! エヴァファンにもおすすめしたい理由(1/3 ページ)
Netflixオリジナルアニメ「パシフィック・リム:暗黒の大陸」があまりに話題になっていないため、その魅力を全力で訴える。
Netflixオリジナルアニメ「パシフィック・リム:暗黒の大陸」が2021年3月4日より配信開始されてから、2週間あまりが経過した。
しかし、どういうわけか、あまり話題になっていない。SNSでの感想も、いくらなんでも少なく見受けられるのだ。
2013年に公開された実写映画「パシフィック・リム」は、日本の偉大なコンテンツである「巨大ロボット」と「巨大怪獣」のバトルを「ハリウッドの大資本と技術力で全力でやり切った」とてつもなくありがたい作品であり、熱狂を生んでいたはずだ。劇場公開時には「僕たちの夢をかなえてくれて本当にありがとう」「拝みながら見た」「たったの5回しか見ていなくてすみません」といったアツい感想があふれていたではないか。
あの時の「パシフィック・リム」の信奉者たちはどこに行ってしまったのか。そのスピンオフであり最新作のアニメシリーズが展開しているのに、どうなっているんだ。そんな憤りを覚えつつ実際に「暗黒の大陸」を見たところ、1つのアニメ作品として面白いことはもちろん、本家「パシフィック・リム」へのリスペクトも存分にある、創意工夫が凝らされた良作だった。後述する賛否両論を呼ぶ要素もあるが、それでも見る価値は絶対にあると断言する。
そして、現在劇場で「シン・エヴァンゲリオン劇場版」が公開中であるが、その「エヴァ」シリーズのファンにもおすすめできる理由もあった。何しろ、もともとの実写映画「パシフィック・リム」からして、「シンクロ率」や「プラグスーツっぽいスーツ」など(ギレルモ・デル・トロ監督は否定はしているが)「エヴァ」シリーズからの影響が多分に感じられたのだから。その実写映画版を吹き替えで見ると、女性パイロットの声優が林原めぐみであるため、より綾波レイらしさが増していたりもしていた。
今回の「暗黒の大陸」でも、後述する実写映画版から引き継がれた「ドリフト」の設定などに、存分に「エヴァらしさ」を感じられた。具体的な作品の特徴と魅力を、以下に記していこう。
ヒロイックな戦いから、マッドマックスな世界での旅路へと作風が変化
実写映画「パシフィック・リム」および続編の「パシフィック・リム アップライジング」は、人類の脅威となる巨大怪獣に、訓練を積んだ人間たちがヒロイックに立ち向かっていくという、巨大ロボットもののスタンダードともいえる内容であった。それをハリウッド大作として、「ここまでやってくれた」ことに大きな感動があった。
だが、今回の「暗黒の大陸」は、それら実写映画2作とは大きく作風を変えている。舞台は都市部も含め壊滅状態に陥ったオーストラリア大陸であり、主人公は公に戦士として認められているわけではない、若い兄妹だ。イェーガー(巨大ロボット)のパイロットであった両親が救助を求めて旅立ってから5年がたち、彼らの居住地で別の訓練用のイェーガーが見つかり、時を同じくして巨大怪獣が襲ってきたことから、物語は始まる。
彼らは、その後に生きているか死んでいるかも分からない両親を探しに行くという、絶望的ともいえる旅に出る。その道中では悪意のある人間も登場し、容赦無く人死にも出る。荒廃した世界観は「マッドマックス」シリーズのようでもあるし、さまざまな場所を渡り歩く過程でキャラクターの関係性が変化していくロードムービーの面白さも併せ持っているのだ。
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