渋谷に1億円のポーカールーム誕生! YouTuber・世界のヨコサワとひろきが「日本にクリーンなポーカーを広めたい」理由(3/4 ページ)
アミューズメントポーカーでプライズを出さないというプライド
――東京・渋谷に店舗を構えようと考えたのはなぜですか。
ひろき:トレンドが生まれる街であり、日本・東京を象徴する場所だからです。渋谷を中心に全国へとポーカーが流行していくというビジョンを持っています。
――日本のアミューズメントポーカーでは、成績に応じてプライズ(賞品や海外渡航費の補助など)がもらえるという、ある意味プライズありきの運営で成り立っている部分もあるかと思いますが、ROOTS SHIBUYAでは、プライズを一切出さないという方針が大きな特徴です。慣例に縛られない運営方針を決定した背景を教えてください。
ヨコサワ:まず、日本のアミューズメントポーカーがなぜプライズを出せているのか。僕たちもすごく調べたし、弁護士さんにも相談しに行きました。その結果、アミューズメント施設に関係する風俗営業法(5号営業)では「遊技の結果に応じて賞品を提供すること」が明確に禁じられている一方で、それを警察もいちいち摘発していられないし、グレーゾーンとして黙認されている状態なのだと教えてもらいました。
だから、僕たちもやろうとすればプライズの提供をできたかもしれませんが、ぎりぎりまで議論を重ねた結果、ポーカーってただでさえ、怪しいと思われているのに、そこで少しでもグレーなことをやってしまったら「やっぱりね」って、そういう目で見られてしまうんじゃないかと思いました。
日本のポーカー界を背負って立っているという自覚があるからこそ、ROOTSが失敗してしまったら、万が一にでも摘発でもされるようなことが起きたら、日本のポーカー界は一体どうなってしまうのかと。その責任を考えたら、クリーンであることが最も重要だと考えて通常営業においてはプライズを出さないと決めました。
もちろん、風営法5号営業外で行う賞金制の大会を否定しているわけではないし、なんならいつか大会が開けたときには、現行の法律に沿う形でプライズの提供を行いたいと思っているんですけれども。
ひろき:ここまでポーカーを広めてくださったポーカー事業者さんたちに対するリスペクトは勿論あります。そのおかげで、僕とヨコサワがポーカーにハマることができたわけですし。
一方で、ヨコサワが説明した通り、日本におけるポーカーの立ち位置がこれまで光属性ではなかったというのは僕たちも感じています。でも日本のポーカーを発展させるためには、そこをちゃんと光で照らしていかなければならないし、正義の力で整備していかないといけないんじゃないかと思うんです。
僕は人生の中で「正義は勝つ」っていうことを目の当たりにしてきたので、「最後は光が勝つ」っていう信条、信念を持っています。
これはすべての業界でいえることですが、ズルいこと、悪いこと、刺激的なことが瞬間的なバズを生むことはあります。でも、それをちょっとでもやった途端にそのコンテンツの終わりが見えるし、長期的に生き残っていけない。一方で光属性でいることって、大きな刺激を与えられないし、すごく難易度が高いことなんですよね。でも最後には絶対に勝つんですよ。その厳しい制約を乗り越えるからこそ大きな勝利を得られる、それが光だと思っているので、僕たちは必ずやり遂げます。僕らが参入することでポーカー業界全体を一緒により盛り上げたい、と思っています。
ヨコサワ:今でも忘れられないんですけれど、「世界のヨコサワ」チャンネルが始まってすぐぐらいの企画会議で、“海外の大人向けのお店に入る”とか、“裏カジノに潜入”みたいな案が出たことがあったんです。そのときに、「それはやっぱり闇の企画だからやめよう」という話になったんですが、当時の僕は闇とか光っていうのがあんまり分からなくて、「なんで絶対に数字が獲れることをやらないの?」と尋ねたんです。そうしたらひろきが「闇属性っていうのはズルをして楽をしていることで、あえて大変なことを1つずつていねいにやるのが光属性なんだよ」って答えたんですね。それが僕の心にはすごく刺さって。確かに闇属性の人たちって、手段を問わずに簡単な方法を選んでいるイメージがあったので、このひろきの言葉できっぱり分別が付きました。
だからこのお店でも「プライズを出さない」と、大変な選択をしましたが、その背景には「法律」という大きな壁があります。しかし、同じ風営法でもクレーンゲームだけは「小売価格が概ね800円以下の物を提供しても構わない」という有権解釈を警察庁が行っていたりと平等なわけではありません。
クレーンゲームでプライズを提供できるなら、アミューズメントポーカーでもプライズを出せないわけがないし、ポーカーに関する法律があってもいいと思うんですよね。僕たちは賭博を推進したいのではなく、あくまでも「プライズがあったほうが盛りあがる」とか「みんなが楽しめる」のであればそれを実現したいだけなので、それこそプライズの限度額を決めるなど、ある程度の制限の中でみんなが楽しくポーカーできるような法整備をお願いしたいです。
――ROOTS SHIBUYAではデイリートーナメント3300円、グランドトーナメント6000円、ルーキーズトーナメント3300円、ビギナーズゲーム2500円と比較的安い価格でアミューズメントポーカーを楽しめる印象があるのですが、圧倒的な知名度がある中であえて安価な価格設定にしているのはなぜですか。
ひろき:法律論を抜きに考えれば、確かにすごく高い参加費を取って、すごく大きなプライズや賞金を出すということもできるわけですが、僕たちはそれをやろうとは思いません。
なぜかというと、プライズや賞金目当てのお客さんに来てほしくてROOTSを作ったわけではないからです。
ヨコサワ:中にはお金を賭けなければ面白くないと感じる人もいるでしょうから、そういう人は海外に送り出してあげたいし、そういうサポートも今後はしていきたいと思っています。
しかし、国内のレジャーとしてアミューズメントポーカーを楽しむことを考えると、“お金のためにプレイする層”と“純粋にポーカーを楽しみたい層”は全然違うジャンルのプレイヤーですし、そこがごちゃごちゃになってしまうと、最終的には“純粋にポーカーを楽しみたい層”が来店しにくくなっていくと思うんですよね。
本気でポーカーを広めよう、流行らせようと思っているからこそ、業界全体としてのお客さんの層のことも考えていますが、僕たちが本当に大事にしたいのは“純粋にポーカーを楽しみたい層”なんです。だからこそ、純粋にポーカーを楽しめるような環境ってなんだろう。演出はどういうのが面白いだろう。とめちゃくちゃ悩んで考えました。その結果、こんな素敵なお店を作ることができたので、安易に「プライズを出す」という選択をしなくて本当に良かったと今は思っています。
――店内で特にこだわった点を教えてください。
ひろき:例えば「ファイナルテーブル」という特別なテーブル。このテーブルは通常のプレイでは使用できず、あくまでもトーナメントで勝ち残った9人だけが座れる特別な席として用意しています。
正直に言えば、ファイナルテーブルを取り外せばあと2テーブル店内に配置できるし、床面積に対してここまでゆったりとポーカーテーブルを配置することで40%近い利益を失っているんですよね。でも、それでいいんです。僕たちはプライズを提供できないけれど、テーブルの間隔だったり、ちょっとした照明だったりすべてにこだわることで、特別な価値のある体験・経験を提供できるわけですから。
ヨコサワ:ファイナルテーブルに関していえば、カードを伏せた状態でもプレイヤーが何を引いたかがわかるRFIDシステムとプレイヤーの手元を映し出すカメラの配置もこだわりました。
今後、大きな大会の場合にはYouTubeなどで試合の模様を配信する計画があるのですが、手元のカメラがあるかないかで、観戦の面白さは全く違ってくると思います。またこのテーブルを使えばYouTuberとのコラボみたいなこともできるでしょうから、そういった面も楽しみですね。
――ROOTS SHIBUYAでは、予約の取れない店で知られる焼肉「誇味山」がフードの監修を行っていますよね。名店のお料理を提供できる秘密を教えてください。
ヨコサワ:もともとは僕とひろきが個人的に「誇味山」に通っていて。オーナーの込山さんに「僕たちYouTubeやっているんです」と話したら、「世界のヨコサワ」チャンネルにすごくハマってくださったんです。そこから飯を食べに連れて行ってくださったりする仲になったんですけれど、今回ROOTSを開くタイミングで「フードとかってどうしたらいいんだろう?」と考えたときに、ひろきが「一回直球で『プロデュースお願いしたいです!』って言ってみる」と言い出して。そうしたらビックリなことにまさかの「OK」が出たんですよね(笑)。最終的には込山さんのコネクションで「ヘンリーズバーガー」「羊サンライズ」「えい輝(えいき/金へんに英でえい)」「DAL-MATTO」といった名店のお料理を提供できることになりました。
――メインディッシュがすべて1000円台というのも驚きました。
ひろき:正直、ドリンクやフードで利益を出そうと思っているわけではないので、あくまでもおいしい体験を提供したいという気持ちで価格設定しているからかもしれません。ある程度の調理工程は各店舗さんにお願いしていて、仕上げをROOTSで行うという方式を取っているため味は間違いないですし、自信をもって「うちの料理はおいしい」と言えます!
――公式アプリでは来店予約ができたり、店内でフードやドリンクの注文ができたり、過去の戦績も確認できますね。世界でもこのようなアプリを採用しているポーカールームはないと思うのですが、開発のきっかけを教えてください。
ひろき:お客さんにテーブルでお財布を出してもらいたくないな、という考えからアプリの開発が始まりました。ドリンクを頼むときに財布からお金を出すしぐさって一気に現実に戻るし、ポーカーテーブルでお金を出す行為はやっぱり賭博を連想させると思うんですよね。だからこそ決済はアプリでスマートにと思いました。アプリに搭載されているのは僕たちが「あったらいいな」と思っていた機能ばかりですが、今後もさまざまなコンテンツを実装する予定なので楽しみにしていてほしいです。
ヨコサワ:プレオープン中はクレジットカードを使っての予約決済システムのみとなっていましたが、まもなくコンビニ払いを使用した現金決済での予約サービスも実装されるので、クレジットカードを持っていない未成年の方にも安心して来場してもらえるようなシステムを展開予定です。
――最後に一言お願いします。
ひろき:POKER ROOMに集まったのは本当にポーカーが大好きで、ポーカーを広めていきたいと強く想ってくれている人たちばかりです。まだまだ未熟な点もありますが、スタッフの熱意にヨコサワが積んできた海外での経験、僕のエンターテイナーとしての力も合わせて、もっともっと日本でポーカーを好きになってくださる人を増やせるように、ポーカーのルーツにしていけるように、僕たちは精一杯頑張ります。少しでも興味が出てきたら、ぜひ1度ポーカーをプレイしてみてほしいです。
ヨコサワ:これまで「ポーカーの興味はあるけれど、どうやって始めたらいいか分からない」という質問を受けたとき、毎回「なんて答えたらいいのかな?」と考えていたのですが、今回僕たちが理想としてきた場所をここ、渋谷に作ることができました。ですから今は自信をもってこう言えます。「ROOTSにポーカーの楽しさを体感しに来てください!」。特にこれまでギャンブルはやったことがない、なんかポーカーって怖そうだなって思っている方にこそ、ポーカーの真の楽しさを届けられたらうれしいです。
(※)撮影時のみマスク外しています。営業中は店内でのマスク着用が義務付けられているほか、感染予防対策への取り組みも行われています。
(Kikka)
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