「マイペース」「モザイクカケラ」歌うSunSet Swishの今 コロナ禍で見つけたYouTubeという新たなステージ:ねとTube(2/4 ページ)
そんな名曲が生まれたきっかけは神戸にある複合施設「umie MOSAIC(ウミエ モザイク)」。レコード会社から「コードギアス」のタイアップを提案された順三さんがふと神戸のことを思い出し、「モザイクカケラってどう?」と冨田さんに聞いてみると「えぇやん」と返ってきたことから制作が進んだそうです。
その後も「ありがとう」「Top Of The Morning」「PASSION」「I Love You」「あすなろ」「さくらびと」「バライロ」とアニメ、CM、ドラマなどのタイアップを行いながら精力的に楽曲を発表してきたSunSet Swishですが、2011年に突如オフィシャルサイトにて一時活動休止を発表しました。
当時「このコメントが、さよならSunSet Swishコメントになってしまったら嫌なんで、謝罪も感謝もあえて述べないでおきます」とコメントしていた順三さんは活動休止の真相について、「方向性の違いということにしていましたが、実際は仕事の激減だったり、不仲になってしまったり、ライブがポシャってしまったりいろいろなことが重なりました。でも一番はヒット曲が出ない、というところでしたね。レコード会社からの期待がプレッシャーに代わり、『別の作曲家が作った曲を歌ってみないか』と提案されたり、SunSet Swishから離れる期間がそれぞれに必要だったと思います」と振り返りました。
新たなステージ、YouTubeとの出会い
活動休止期間中、大介さんはサラリーマン生活を送りながら、「ドエラーズ」というユニットを結成。ライブ活動を行うなど、歌うことだけはやめませんでした。
冨田さんは地元に帰り、トラック運転手としてフルーツを配達する仕事に従事するもあまりの激務にギターを触る暇もなかったとのこと。当時の時給は最低賃金を割り込んでおり、寝て起きて働くだけの日々が過ぎていったと振り返ります。
順三さんは作曲活動をつづけながらピアノやベースなどを中心のバックサポートミュージシャンとして活動。3.11のボランティア活動ではピアノ演奏を行うなど、メンバーの中で唯一音楽中心の生活を続けていました。
活動休止から4年後、それぞれの暮らしを送るメンバーに共通の知り合いから「またバンドをやったらどうか」と連絡が入ります。最初は躊躇していたメンバーたちですが、知人の熱心な説得に加えて結成10周年が迫っていたこともあり、周年ライブを計画。全員で集まって久しぶりに音を出す機会が増えていきました。
順三:活動休止をした時には「一時活動休止」としていたのですが、本当はもうSunSet Swishはできないだろうなと思っていました。しかし知人のおかげでまたメンバーと会うことができて、やり始めたらやっぱりしっくりきて。僕は活動再開の条件として「絶対に売れる。高みを目指す」ということを提案しました。
冨田:僕が一番腰が重かったと思います。でもリーダーの真剣な思いを聞いて、みんなでその思いを共有できたタイミングでバンド活動の正式な再開が決まりました。
大介:いざ、ということでインディーズとしてストリートライブをやったり、イベントに出たり、自分たちなりに精力的に活動を行い始めたんですが、お客さんが全然来ないんですよ。もともといらっしゃった僕たちのファンが何人か来てくれることもありましたけど、ほとんどの場合僕たちが活動していることすらも知らないっていう状況だったんですよね。
冨田:僕たちはもともと音源を作るのが好きで、メジャーで活動していた期間は、「CDを売りたい」という思いが強かったので、あまりライブ活動に力を入れてこなかったんですよね。だからこそ活動再開をライブという形でしても人が来てくれなかったんですが、新しい形でエンターテインメントができないかと取り組み始めたのがYouTubeでした。
冨田さんが撮影・編集などを手掛けるYouTubeでは、ライブ映像はもちろん、人気楽曲のMV、体当たり系のバラエティー動画などを幅広く投稿。
紅蓮華(LiSA)やサヨナラの意味(乃木坂46)といった人気楽曲を大介さんがカバーする動画も人気を集めています。
またメンバーがそれぞれ自宅からリモートで演奏・歌唱する「おうちでライブ」など、時代に合わせた企画にも取り組み、チャンネル登録者数も順調に伸びているそうです。
冨田:これまではとにかく楽曲を届けたくて、僕たちの人間性を伝える努力をしてきませんでした。だから「マイペースとモザイクカケラって同じ人が歌ってるの!?」と驚かれることも少なくなかったんですよ。でもやっぱり、どんなにいい曲でも誰が歌っているかが大事なのだと思うので、YouTubeではできるだけメンバーのキャラが伝わるような企画を立てることに力を入れています。
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