ネットで話題沸騰、神戸にオープンした水族館「アトア」は超SNS特化型水族館だった(4/4 ページ)

» 2021年11月06日 20時30分 公開
[しげるねとらぼ]
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 回廊という名前の通り、1つ上のフロアまで行くための通路ではあるんですが、ここにも体験型の展示が並んでいます。一番強烈だったのは動物たちの「お尻の匂い」を嗅げるというコーナー。どんな匂いだったかここでネタバレするのも無粋なので、気になる人はぜひ現地で嗅いでみていただきたい……!

4階は開放感のある展望スペースになってます
夜行くと神戸港の夜景も見られるのだ
ちょっとだけ展示スペースも。手前の水槽は3階のオーバーハング型水槽とつながっています
いきなりフンボルトペンギンがいて驚く

 4階は、丸々全部が「SKY SHORE/空辺の庭」になっています。こちらは屋外に向けて解放されている展望スペース。軽食を買えるスタンドも併設されており、またコツメカワウソやフンボルトペンギン、ゴマフアザラシといった動物も見ることができます。なんせ目の前が神戸港なので、見晴らしは最高。

 昼間行けば開放感のある港の風景が見られる……とのことなんですが、今回の取材のように夜行ってもハーバーランドなどの夜景が見られるので、ぶっちゃけどっちもアリ。21時まで開いてるのは、こういう理由からだったんですねえ。

「映えさせ特化の都市型水族館」というアトアのありよう

 というわけで2階から4階までぐるっと一周してきましたが、とにかく「SNS特化型水族館」のお手本とはこういうものか……と強く思わされる展示ばかりでした。フロアごとのコンセプトや、主要な水槽の配置や大きさ、光源の色や光の当たり方の強弱、光による演出の速度や内容などなど、全てが「ブロカメラマンではない人間が適当にスマホで写真を撮っても、なんかいい感じに見えてSNSで自慢できる」というあんばいにチューンされております。

手ぶらで行っても、スマホだけ持ってればなんか自慢できそうな写真が誰でも撮れる、というのはけっこうすごいことだと思います

 通常の水族館であれば薄暗いので光量がないと水槽や展示がうまく写らないのですが、さりとて光が強すぎても白飛びするし、第一そんな強烈な光を水槽の中の魚に営業時間中当て続けるのもなんか悪影響がありそう……。そんな難しい条件がそろう水族館という場所でありながら、アトアは絶妙な調整で「誰でもある程度以上はいい感じの写真が撮れる」という課題を達成しています。

 本当に、適当にスマホのカメラを向けてシャッター押しただけで、どのエリアもいい感じに写る。これは驚くべきことですし、実現するまでには大量のアイデアと並々ならぬ努力が必要だっただろうと思います。

 ただし、コンセプトが明確な反面、「魚や水棲生物について詳しく知りたい」とか「この生き物の自然のままの姿が見たい」といった学習・教育的側面についてはちょっと弱め。神戸の市街地に近い都市型水族館ということもあり、教育的な機能よりは「カップルや家族でまず遊びに来てもらって、いい感じの写真を撮ってSNSで自慢してほしい」という点に重きを置いたのだろうという印象があります。それはそれで、水族館運営のありようや住み分けとして分かるというか、現代的な話であることだな、と感じました。

ちなみに、出口にあるミュージアムショップを抜けるとそのままフードコートにつながっているので、お腹が空いても安心!

 日本全国、どこの観光地も「なんとかして映えたい!」といろいろな取り組みを行っている昨今。そんな中で、アトアの作りはまさにキング・オブ・映えさせ。映えのためにはここまでやるという、強い意気込みを感じました。現にSNSではしっかり話題になっているわけで、これはもう水族館にとどまらず「いい感じの写真を撮ってもらってSNSで自慢してもらおう」という施設や取り組みにとっては、1つのベンチマークになるのではないでしょうか。

 今後は神戸ポートミュージアムに入っているブライダルデスクと連動して、館内でアクアリウムフォトなども撮影できるようになるというアトア。まずはパンチの効いた映え要素で大きな話題となりつつ、神戸の新名所としてうまくいってほしい……と思うのでした。

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