老舗の喫茶店を救った、1枚の紙ナプキンを巡るエピソードが「ええ話」「泣いた」と反響 オーナー「苦境でも諦めたくない気持ちに」(1/2 ページ)
話題の喫茶店に話を聞きました。
老舗の喫茶店を救った、1枚の紙ナプキンを巡るステキなエピソードが、SNS上で「ええ話」「久々に泣いた」などと大きな反響を呼んでいます。編集部では、話題の喫茶店に話を聞きました。
SNS上でエピソードを紹介したのは、東京・上野にある約50年の歴史を持つ喫茶店「珈琲 王城(おうじょう)」。世の中がコロナ禍に足を踏み入れた約2年前、同店は1日の売り上げが1万円という日々が続き、3代目オーナーの玉山さんは廃業を考えるまでに落ち込んでいました。
そんなある日、店員が会計後にテーブルを片付けていた際、1枚の紙ナプキンを目にしました。紙ナプキンの裏には、パフェのかわいいイラストともに、「すごく美味しかったです。次はピラフを食べに来ます。コロナに負けないでください!!」と励ましのメッセージが書かれていたのです。
玉山さんは店員から受け取った紙ナプキンのメッセージを目にして、コロナ禍の経営状況にめげずに「やれるところまでやってみよう!」と心に決めました。今があるのは、そのメッセージのおかげだと振り返ります。
「苦境でも諦めたくない気持ちを後押ししてもらった」
当時はどのような経営状況だったのか。また、励ましの言葉が書かれた紙ナプキンを見て、どのように感じたのか。編集部では、玉山さんに話を聞きました。
──「廃業」という言葉が頭によぎっていたとのことですが、当時の経営状況について教えてください。
玉山さん:「廃業」という言葉が頭によぎったのは、1度目の緊急事態宣言が発出されたころでした。お客様の数で言うと、それ以前は1日100人前後の方にお越しいただいていましたが、1番酷いときは1日5人まで減ってしまっていました。
このまま経営を続けるのは厳しいと考え、臨時休業して通販で何とか乗り越えようと考えていました。当時は(お客様が減った代わりに)通販の商品を購入していただくお客様が増えていて、それでなんとかギリギリ従業員の給料は支払えるかな、という経営状態です。もちろん、私の給料はなく、赤字経営でした……。
──紙ナプキンを見つけたときの状況について教えてください。また、イラストとメッセージを書いたお客さんはどのような人でしたか?
スタッフの話によると、会計後にテーブルを片付けていた際に紙ナプキンを発見したとのことでした。実は、そのとき私は現場にはいなかったので、そのお客様がどのような方か分からず、(「次はピラフを食べに来ます」と書いていただきましたが)お会いできていないままです。
──実際にお会いできていなくても、コロナ禍の厳しい状況だと、紙ナプキンのメッセージは相当励みになったのではないかと思います。
玉山さん:私は3代目のオーナーです。初代は祖父、2代目は父ですが、幼いころ父に連れられて、ここでいろんなものを食べました。そのときの思い出もあり、私は店の1番のファンだと自負しています。
紙ナプキンに書かれたイラスト付きのメッセージは「私のためではなく、お客様のためにも絶対に廃業したくない!」「経営者としてよりもファンとして絶対に諦めたくない」という気持ちを後押ししていただいたと思っています。
──ちなみに、現在はお客さんの数はどれぐらい戻ってきていますか?
玉山さん:現在は平日は100人、休日になると200人以上の方がお越しいただき、行列ができることもあります。以前もツイートがバズったことがあり、その際に多くの方に当店の存在を知っていただくことができたからです。そういう意味でも、Twitterの影響も大きいと思います。奇跡は何度でも起こるんだなという心境です。
紙ナプキンについての投稿には、「素敵な話だ」「心に響きますね」「思わずウルッと来た」など心を響いたという声のほか、「続けてくれてありがとうございます」「また上野に行った際は寄らせていただきます」など、常連客による応援の声も寄せられています。
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