「室町時代の変身ロッドみたい」 藝大の卒展に登場した漆芸の「魔法の杖」がみやびな味わいで話題(1/2 ページ)
作者に製作の経緯を聞きました。
これは室町時代から寺に代々受け継がれてきた、魔法少女の変身ロッド――。そう言われたら信じてしまいそうな漆芸作品が、東京芸術大学の卒業・修了作品展で注目を集めています。
話題の作品は、漆芸を専攻する学生の奥村花梨(@machiyuyutao)さんが手がけた「Your Magic -01-」。三日月や雲、ハートや羽根のモチーフに仏具のような柄が付いていて、もしもセーラームーンの設定が仏教的世界観に基づいていたら、こんなアイテムで戦っていただろうか……? と想像をかきたてます。
観覧した人のツイートがきっかけで、作品は「十二単衣のみやびな姿に変身できそう」「雅楽師の演奏でムーンライト伝説が流れてきそう」「かぐや姫の装備」などと話題に。なかには本当に室町時代から存在する宝物と勘違いする人すらいました。
編集部は奥村さんを取材し、作品にかける思いなど、詳細を聞きました。
―― まず作品のコンセプトを教えてください
奥村さん 「現代文化と伝統工芸技術が融合した、勇気や自信を与えてくれる魔法のステッキ」です。
魔法というと、その力を持った人が他者に使うイメージがあります。しかし私が幼いころに見たアニメの少女たちは、ステッキをかざし自分自身を変身させるために力を使っていました。なのでこの作品も、手にした人自身にパワーを与えることを目指し制作しました。
―― それを卒業制作のテーマに選んだきっかけは?
奥村さん 一つ一つていねいに、正確に作業しなければならない性質の漆は、大ざっぱでせっかちな私に向いているとは思えない素材で、同級生と比べてうまくできないことにコンプレックスを感じていました。やりたくない気持ちで作業をすると、当然うまくいきません。そうしてなかなか上達しないまま、どんどん自信もやる気もなくしていきました。そのような状況で、コロナ禍や進路の悩みなどが重なり、またこのまま卒業制作に取りかかるのは精神的に難しくもあって、両親に相談して一年休学し、漆からもいったん離れてみようということになりました。
その間は料理をしたり、友人と展示をしたり、とにかく興味の湧いたことはなんでもやってみました。初めてのことはやはり想像以上にできなくて、その代わりやるたびに少しずつ上達するのが楽しく、人と比べる必要もなく、なんでも新鮮に感じました。そうしていろいろな経験を少しずつ増やして時間を置いてみると、だんだん自分で「自分はこういう人間だ」と決めつけているからできないのではないか? 自分はできると心の底から信じられたなら、私は作品を完成させられるのではないか? そう思うようになっていきました。
そうして日々自分の存在の小ささを実感するなかで、幼いころの記憶がよみがえりました。アニメに出てくる、輝く衣装をまとい勇敢に戦う少女たちの記憶です。彼女たちが手にしていた魔法のステッキを、量産されたおもちゃではなく世界に1つだけの本物として私の手に握れたら、きっと私は強くなれると考えました。自分に自信や勇気を与えてくれる、そんな魔法の道具が欲しい! という気持ちがあふれてきました。
また、私はもともと仏像がとても好きで、年に1度は京都に足を運び仏像巡りをしています。よく仏像が手にしている金剛杵(こんごうしょ)や宝輪などの法具たちは、まるで魔法道具のようだと以前から感じていました。さらに宗教の持つ神秘的な存在感が、勇気をくれる魔法の力に、より説得力を与えてくれるとも考えました。そこで密教法具、今回は特に錫杖(しゃくじょう)をデザインのヒントとして制作しました。
―― 製作にあたって注力した部分は
奥村さん 「どんな角度から見ても美しい形状か」はとても意識しました。正面から横、後ろに回って見た時、その都度表情を変え新しい発見のある、魔法を感じさせるような形を目指しました。また装飾の部分でも、卵殻や螺鈿の伏彩色、箔押し、平蒔絵などさまざまな伝統技法に挑戦しました。職人さんから見ればまだまだ未熟な技術だと思いますが、とにかく挑戦してみるという精神でやり切りました。
―― 最後にSNSでの反響について、ご感想をお願いします
奥村さん 純粋に、たくさんの方に見ていただけてうれしいです。漆芸は工芸界の中でも、一般にどういうものかあまり認知されていないので、これをきっかけに興味を持つ人が少しでも増えたらと思います。そのためにも、私ももっと自分から発信していかなければならないなと強く感じました。
協力:奥村花梨(@machiyuyutao)さん
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