「ドキドキ!プリキュア」10周年 “全員が優等生”という異色のプリキュアはなぜ生まれたのか?サラリーマン、プリキュアを語る(1/2 ページ)

僕はキュアエースの「プリキュア5つの誓い!」が大好きです。

» 2023年07月27日 18時00分 公開
[kasumiねとらぼ]

 2023年は「ドキドキ!プリキュア」10周年イヤー。

 なぜ「ドキドキ!プリキュア」は、「全員が優等生」という異色のプリキュアになったのでしょうか?

ドキドキ!プリキュア 2023年はドキドキ!プリキュア10周年イヤー(出典:Amazon.co.jp

kasumi プロフィール

プリキュア好きの会社員。2児の父。視聴率などさまざまなデータからプリキュアを考察する「プリキュアの数字ブログ」を執筆中。2016年4月1日に公開した記事「娘が、プリキュアに追いついた日」は、プリキュアを通じた父娘のやりとりが多くの人の感動を呼び、多数のネットメディアに取り上げられた。


 「ドキドキ!プリキュア」は、2013年放送のプリキュアシリーズ第10作。前作「スマイルプリキュア!」が子どもたちはもちろん、大きなお友達も巻き込み大人気となった後を受けて始まりました。

 テーマは「愛」と「愛から生まれるドキドキ」。「愛」という難しいテーマを、「博愛」「自己愛」「献身」など多様な愛を描くことで、小さな子どもたちにも分かりやすく伝えました。敵すらも包み込むキュアハートの圧倒的な「笑顔」が印象的でしたよね。

 そんな「ドキドキ!プリキュア」の特徴の一つに「プリキュア全員が優等生」ということが挙げられます。

 主人公、相田マナ(キュアハート)は、成績優秀で生徒会長も務めるハイスペックなキャラ、他のプリキュアたちも、全国模試ベスト10、学年トップの成績の「菱川六花(キュアダイヤモンド)」、超お金持ちお嬢様「四葉ありす(キュアロゼッタ)」、トップアイドル「剣崎真琴(キュアソード)」と、登場するプリキュアたち全員のスペックが高く設定されていました。

 プリキュアの主人公というと「ちょっとドジで勉強は苦手だけど、元気いっぱい!」みたいなキャラで子どもたちの共感を誘うことが多い中、キュアハートをはじめ「全員が優等生」というのは異色の設定でした。

ドキドキ!プリキュア 全員が「優等生」という異色のプリキュアとなった「ドキドキ!プリキュア」(出典:Amazon.co.jp

「ドキドキ!プリキュア」が全員優等生となった理由

 なぜ「ドキドキ!プリキュア」は全員が優等生という設定となったのでしょうか?

 「ドキドキ!プリキュア」のシリーズディレクター(監督)の古賀豪氏は、「当時プリキュアが低年齢層へとシフトしすぎて幼稚園の卒園と同時にプリキュアも卒業する」という風潮となっていたことを懸念し、小学生以上にも興味をもってもらうために「子どもたちが憧れる女の子」にしたかったため、と書籍の中で語っています。

古賀 あと、『プリキュア』シリーズが低年齢層の子どもにシフトしすぎているのではないかというのが気になっていたんです。小学生になったら『プリキュア』を卒業しなくちゃ、と思われている気がして。僕としては、興味があれば小学生になっても、『プリキュア』を観られるようにしたかった。そこで、ターゲットにしている子たちが憧れるような女の子を主人公にしたんです。
これは正直なところ賭けだったかなとも思っていました。でも結果的に女の子には、キュアハートだけでなく、ありす/キュアロゼッタやキュアエースのような、お姫様然としたキャラクターも人気が出たので結果オーライかなと。
学研ムック「ドキドキ!プリキュア オフィシャルコンプリートブック」(P83)

 「全員が優等生」という設定はプリキュアの「対象年齢を引き上げるための施策」の一つだったのです。

ドキドキ!プリキュア 対象年齢を上げたドキドキ!プリキュアはストーリーもやや大人向けだった(出典:Amazon.co.jp

開始とともに大好評

 そんな「ドキドキ!プリキュア」。放送開始とともに子どもたちに大反響となり関連商品もよく売れました。

 変身玩具「ドキドキ変身!ラブリーコミューン」は、前作「スマイルプリキュア!」の「スマイルパクト」を上回る勢いで売れ、玩具業界誌でも「シリーズ史上1番の好発進」と言及されます。

その1つが2月3日に放送開始した、シリーズ10作目の「ドキドキ!プリキュア」だ。 昨年のスタート時を上回りシリーズ史上1番の好発進で、なりきりアイテムを中心に動いており、メーカー側も昨年の動きを踏まえ、ゴールデンウィーク以降も好調が維持するような仕掛けを投じていくとの事で今後の動きにも要注目だ。
(東京玩具人形協同協会)『月刊トイジャーナル』2013年3月号(P62)

ドキドキ!プリキュア スマイルパクトを上回る勢いだった変身玩具「ラブリーコミューン」(出典:Amazon.co.jp

 あの「スマイルパクト」を上回る勢いというのは当時としても、ものすごいことだったのです。そんな絶好調な滑り出しで、シリーズ最高の売り上げも視野に入っていた「ドキドキ!プリキュア」。

 しかし、その勢いは徐々に落ちていってしまいます。

一方、女児玩具に関しては「ドキドキ!プリキュア」が初動は過去最高の販売を記録したものの次の商品までの間隔が空き、ペースダウン。3月に入って前年を割っている。
(東京玩具人形協同協会)『月刊トイジャーナル』2013年4月号(P76)

 玩具業界誌では「期待値に届いていない」「売り場の期待に応えられない」などと言及されるようになってしまうのです。

女児玩具は「プリキュア」が売れてはいるが期待値には届いていない。
(東京玩具人形協同協会)『月刊トイジャーナル』2013年7月号(P56)

バンダイの「プリキュア」は決して売れていないわけではないが、現状では売り場の期待に応えられていない。
(東京玩具人形協同協会)『月刊トイジャーナル』2013年7月(P57)

 なぜ「ドキドキ!プリキュア」は失速傾向となってしまったのでしょうか。そこには、「ドキドキ!プリキュア」の「対象年齢を上げる」という施策が、ある誤算を生んでいた事が一つの要因と考えられます。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/25/news174.jpg 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  2. /nl/articles/2404/26/news154.jpg 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  3. /nl/articles/2404/21/news011.jpg 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  4. /nl/articles/2404/12/news174.jpg 築年数不明の平屋にある、ボロボロ床板をはがしてみたら…… 発覚したヤバい事実に「ビックリ!」「大丈夫でしたか?」心配と驚きの声
  5. /nl/articles/2404/26/news022.jpg ママの足にくっつく生後7カ月の赤ちゃん、甘えてるのかと思いきや…… 計算された行動と「ちいこい後ろ姿がかわいすぎ」て目が離せない
  6. /nl/articles/2404/25/news016.jpg 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  7. /nl/articles/2404/25/news069.jpg “作画軽減ガンダム”をガンプラで作成 → 使用パーツも最小限の再現ぶりに「完全に一致」「部品軽減ガンダム」
  8. /nl/articles/2404/23/news090.jpg 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  9. /nl/articles/2404/18/news134.jpg 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  10. /nl/articles/2404/26/news024.jpg 0歳赤ちゃん「(ママ来たっ!)」→喜びが抑えきれなくて…… 尊すぎるダンスが300万再生「心が浄化されていく」「朝から癒やされました」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  2. 富山県警のX投稿に登場の女性白バイ隊員に過去一注目集まる「可愛い過ぎて、取締り情報が入ってこない」
  3. 2カ月赤ちゃん、おばあちゃんに少々強引な寝かしつけをされると…… コントのようなオチに「爆笑!」「可愛すぎて無事昇天」
  4. 異世界転生したローソン出現 ラスボスに挑む前のショップみたいで「合成かと思った」「日本にあるんだ」
  5. 【今日の計算】「8+9÷3−5」を計算せよ
  6. 21歳の無名アイドル、ビジュアル拡散で「あの頃の橋本環奈すぎる」とSNS騒然 「実物の方が可愛い」「見つかっちゃったなー」の声も
  7. 1歳赤ちゃん、寝る時間に現れないと思ったら…… 思わぬお仲間連れとご紹介が「めっちゃくちゃ可愛い」と220万再生
  8. 業務スーパーで買ったアサリに豆乳を与えて育てたら…… 数日後の摩訶不思議な変化に「面白い」「ちゃんと豆乳を食べてた?」
  9. 祖母から継いだ築80年の古家で「謎の箱」を発見→開けてみると…… 驚きの中身に「うわー!スゴッ」「かなり高価だと思いますよ!」
  10. 「ゆるキャン△」のイメージビジュアルそのまま? 工事の看板イラストが登場キャラにしか見えない 工事担当者「狙いました」
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」