事故死した息子夫婦のカフェを「オラたちでやるべな」 老夫婦の第二の人生を描いたマンガに「号泣」「親の声を聞きたくなった」と感動の嵐(1/2 ページ)

2010年、文化庁メディア芸術祭審査員推薦作品になった『かへ』。

» 2023年12月16日 11時30分 公開
[ねとらぼ]

 事故で息子を失った老夫婦の第二の人生を描いたマンガ『かへ』が「号泣」「親の声を聞きたくなった」とX(旧Twitter)で話題になり、約6.4万いいねを獲得しています。

 『かへ』は原作・藤井慶さん、作画・平井志さんによる作品。2007年にマッグガーデン社より短編集として発売された他、文化庁メディア芸術祭審査員推薦作品(2010年)に選ばれた後、全3章構成の作品としてフランスで出版されています。

 物語の始まりは、漁師のおじいさん・源次郎が、妻のおばあさん・トメの営む食堂「蟹江食堂」で仕事終わりの朝食を食べるシーンから。2人のあいだには漁師の仕事を継がず、夢を追って20年前に上京した龍太という息子がいるのですが、ある日、交通事故で夫婦ともに亡くなってしまいます。

 龍太が最期に残した言葉は「子どもと店をたのむ」。息子が経営していた「Cafe Crab Creek」がどんな店だったのか一目見ようと鍵を開けたとき、事情を知らずに店外で待っていた客たちが入店。そもそもカフェというものを知らず、周囲に「“かへ”ってなんだべ?」と聞いてしまう源次郎も、たちまち埋まった客席を見て「息子の店はこげにも大事にされていたんじゃのう……」と気付きます。

 そして、トメが気付いたのは「Cafe Crab Creek」が若い人向けのオシャレなつくりながらも、龍太や源次郎、トメにとって思い出深い蟹江食堂のような内装を取り入れていること。老夫婦は「あいつのかへ、オラたちでやるべな」と決意し、亡くなった息子夫婦に代わって、東京でカフェを経営しながら孫を育てる第二の人生を始めるのでした―――。

 「朝から嗚咽(おえつ)漏らして泣いた」「めっちゃ静かに涙こぼれた……演出と表現力と画力凄すぎて……」と感動の声が寄せられる本作について原作者・藤井慶さんにお話を伺いました。

――― 「漫画界におけるカンヌ」とも言われる「アングレーム国際漫画祭2013」で受賞するなど、高い評価を受ける本作。制作のきっかけなどはございますか?

 ふと浮かんだアイデアを書き起こすうちに、登場人物がつぶさに浮かんできて、それを作画の平井志さんが丁寧に描いてくれました。

――― 本作の制作で特に力を入れたところは?

 意識せずとも、親が子に、子が親にそれぞれ影響を与えあって生きていることが伝えたかったです。それがたとえ亡くなった後だったとしても。

――― 原作者としてこの作品への思い入れや、ご自身の中で気に入っているポイントはありますか?

 平井志さんの魂のこもった作画ですね。源次郎やトメのシワのひとつひとつに人生を感じます。

――― 読者へのメッセージをお願いします

 この物語を読んで、ご家族のことに思いをはせてもらえたらうれしいです。一言優しい言葉をかけるとか、電話をするとか。

 それから、平井志さんとのコンビでフランスで発売されていた『終恋(ついこい)』が逆輸入されて、日本でも発売されました。70代でそれぞれ連れ合いを亡くした2人が、初恋のような純粋な恋をするお話です。もしよろしければお読みください。

制作協力:藤井慶さん

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
本記事は制作段階でChatGPT等の生成系AIサービスを利用していますが、文責は編集部に帰属します。

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2407/24/news014.jpg 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  2. /nl/articles/2407/25/news017.jpg 「これが生えたら庭終了」 プロも降参する“何をやっても全部ムダな最恐雑草”の正体が400万再生「ほんとこれ厄介」「土ごと変えないと不可能」
  3. /nl/articles/2407/26/news151.jpg イトーヨーカドー春日部店が閉店へ 「クレヨンしんちゃん」に登場するスーパーのモデル 「残念」「寂しい」惜しむ声
  4. /nl/articles/2407/25/news012.jpg 夜、山中の側溝をのぞいてみたら…… 思わず声がもれる“あらぬ生物”の姿に「ヤバいw」「生で見てみたい」
  5. /nl/articles/2407/25/news007.jpg 水槽の中で卵を発見→慎重に見守って1カ月後…… 小さな命の誕生に飼い主も視聴者もメロメロ「まじで可愛すぎるほんとに可愛い」
  6. /nl/articles/2407/25/news138.jpg 「お父さんはママのオタクだった」 母親が「元・おニャン子」のタレント、アイドルとオタクが“つながっちゃいけない理由”を問いかける
  7. /nl/articles/2407/25/news050.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」 中1の“斜め上の解答”に「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」
  8. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  9. /nl/articles/2407/26/news119.jpg 工藤静香、15歳の愛犬が天国へ 感謝の言葉つづるも……「泣いてばかり」「心が追いつかない」と悲痛な思い
  10. /nl/articles/2407/26/news008.jpg 外国人が来日して“3年後”…… マクドナルドの“オーダーの変化”に「胃袋が日本人のそれなんよw」とツッコミ
先週の総合アクセスTOP10
  1. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが360万再生「凄すぎて笑うしかないww」「チーズが、、、」
  2. 6年間外につながれっぱなしだったワンコ、保護準備をするため帰ろうとすると…… 思いが伝わるラストに涙が止まらない
  3. 「お釣りで新紙幣来た!!!!!と思ったら……」 “まさかの正体”に「吹き出してしまった」「逆に……」
  4. 赤いカブトムシを7年間、厳選交配し続けたら…… 爆誕した“ウルトラレッド”の姿に「フェラーリみたい」「カッコ良すぎる」
  5. ダイソーで買った330円の「石」を磨いたら……? 吸い込まれそうな美しさが40万回表示の人気 「夏休みの自由研究にもいいのでは?」
  6. 「これ最初に考えた人、まじ天才」 ダイソーグッズの“じゃない”使い方が「目から鱗すぎ」と反響
  7. もう笑うしかない Windowsのブルースクリーン多発でオフィス中“真っ青”になった海外の光景がもはや楽しそう
  8. アジサイを挿し木から育て、4年後…… 息を飲む圧巻の花付きに「何回見ても素晴らしい」「こんな風に育ててみたい!」
  9. スズメの首は、実は……? 「心臓止まりそうでした」「これは……びっくり!」“真実の姿”に驚愕の声
  10. 【今日の計算】「8×8÷8÷8」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
  3. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  4. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  5. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  6. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  7. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  8. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
  9. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  10. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」