米セレブ300人が“AIフェイク規制”法案を支持 1月にはテイラー・スウィフトの偽ポルノで騒然「ディープフェイクから人権を守る」(1/2 ページ)

カーディ・Bやスティーヴン・タイラーも。

» 2024年02月07日 17時30分 公開
[城川まちねねとらぼ]

 2月2日付の米USA Today紙への広告に、300人近いアーティストや俳優が署名した公開書簡が掲載。これは1月10日に下院へ提出された、“AI偽造禁止法(No AI FRAUD Act)”を支持するものです。

AIによるディープフェイクを規制する法案を約300人のアーティストが支持 署名したアーティストら(画像はThe Human Artistry CampaignのInstagramから)

“AI偽造禁止法”を支持する声

 “AI偽造禁止法”は、フェイクの声やアーティストの外観などを同意なくAI生成することを規制する法案。

 エンターテインメント業界の連合体でありAI使用に対する基本原則を示す団体「The Human Artistry Campaign」によって掲載された公開書簡には、21サヴェージ、カーディ・B、オフセット、ベット・ミドラー、スティーヴン・タイラー、ミッシー・エリオット、エルヴィス・コステロ、コモン、アリッサ・ミラノ、ボーイズIIメン、パリス・ジャクソンら、ミュージシャンを中心とした第一線で活躍するアーティストの名前がずらりと並びます。

 さらに米USA Today紙の広告へはブラッドリー・クーパー、ケヴィン・ベーコン、キーファー・サザーランドら俳優の名前も多数見られました。そして「あなたの声、顔、イメージ、アイデンティティー」「No AI FRAUD Actはあなたの声や外見の基本的人権を守り、合意のないディープフェイクから全ての人を守ります」というメッセージも掲載され、法案が全ての人に必要なものであることを訴えています。

 現在アメリカでは「パブリシティー権」によって無許可でアーティストらの声やイメージを商業利用しないよう規制されていますが、これは州法であり連邦法ではないため、連邦レベルでの基準が求められています。

AIによるディープフェイクを規制する法案を約300人のアーティストが支持 1月にAIによる偽ポルノ動画が拡散されたテイラー・スウィフト(画像はテイラー・スウィフトのInstagramから)

これまでもさまざまな議論を呼んだAI利用

 AIの出現から、エンターテインメント業界ではそれがアーティストにとって助けとなるのか脅威となるのかといった議論は常に行われてきました。

 有名音楽プロデューサーで人気DJのデヴィッド・ゲッタら、表立ってAIを利用し本人に似せた声などを積極的に作っていく人もいれば、AIの悪用やアーティストが仕事を奪われる未来を案じる人も。2023年にハリウッドで起こった脚本家と俳優による大規模なストライキでは、AIの利用に対する規制は大きなテーマとなっていました。

 2023年4月に、カナダのラッパーであるドレイクとシンガー・ソングライターのザ・ウィークエンドによる“コラボ曲”「Heart on my sleeve」がリリースされたことでこの議論はさらに加熱することに。同楽曲にはアーティスト本人は一切かかわっておらず、「ghostwriter」と自称する人物が無許可でAIを使って制作したものでした。

 また、2024年1月下旬にはAIで制作されたテイラー・スウィフトの偽ポルノ動画がSNSで拡散。X(Twitter)で瞬く間に広まった後、一時的に検索不可にするなどといった措置が取られたものの、動画はすでに4700万回閲覧される状況に。当然ながら全てのSNSでの拡散を完全に制御することも、保存された画像や動画を回収することも不可能な状態でした。

 この出来事はホワイトハウスでも重く受け止められ、カリーヌ・ジャン=ピエール大統領報道官は「もちろん議会は何らかの立法措置を取るべきだ」とコメント。こういった、アーティストの著作権や肖像権、またいち個人としての尊厳を傷つける事件までが起こり、多くの人が憂慮した未来が現実になってしまったことで、早急な対策を求められています。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2407/24/news014.jpg 庭で見つけた“変なイモムシ”を8カ月育てたら…… とんでもない生物の誕生に「神秘的」「思った以上に可愛い」
  2. /nl/articles/2407/25/news017.jpg 「これが生えたら庭終了」 プロも降参する“何をやっても全部ムダな最恐雑草”の正体が400万再生「ほんとこれ厄介」「土ごと変えないと不可能」
  3. /nl/articles/2407/26/news151.jpg イトーヨーカドー春日部店が閉店へ 「クレヨンしんちゃん」に登場するスーパーのモデル 「残念」「寂しい」惜しむ声
  4. /nl/articles/2407/25/news012.jpg 夜、山中の側溝をのぞいてみたら…… 思わず声がもれる“あらぬ生物”の姿に「ヤバいw」「生で見てみたい」
  5. /nl/articles/2407/25/news007.jpg 水槽の中で卵を発見→慎重に見守って1カ月後…… 小さな命の誕生に飼い主も視聴者もメロメロ「まじで可愛すぎるほんとに可愛い」
  6. /nl/articles/2407/25/news138.jpg 「お父さんはママのオタクだった」 母親が「元・おニャン子」のタレント、アイドルとオタクが“つながっちゃいけない理由”を問いかける
  7. /nl/articles/2407/25/news050.jpg 「立体的に円柱を描きなさい」 中1の“斜め上の解答”に「この発想は天才」「先生の優しさも感じます」
  8. /nl/articles/2401/26/news015.jpg スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  9. /nl/articles/2407/26/news119.jpg 工藤静香、15歳の愛犬が天国へ 感謝の言葉つづるも……「泣いてばかり」「心が追いつかない」と悲痛な思い
  10. /nl/articles/2407/26/news008.jpg 外国人が来日して“3年後”…… マクドナルドの“オーダーの変化”に「胃袋が日本人のそれなんよw」とツッコミ
先週の総合アクセスTOP10
  1. プロが本気で“アンパンマンの塗り絵”をしたら…… 衝撃の仕上がりが360万再生「凄すぎて笑うしかないww」「チーズが、、、」
  2. 6年間外につながれっぱなしだったワンコ、保護準備をするため帰ろうとすると…… 思いが伝わるラストに涙が止まらない
  3. 「お釣りで新紙幣来た!!!!!と思ったら……」 “まさかの正体”に「吹き出してしまった」「逆に……」
  4. 赤いカブトムシを7年間、厳選交配し続けたら…… 爆誕した“ウルトラレッド”の姿に「フェラーリみたい」「カッコ良すぎる」
  5. ダイソーで買った330円の「石」を磨いたら……? 吸い込まれそうな美しさが40万回表示の人気 「夏休みの自由研究にもいいのでは?」
  6. 「これ最初に考えた人、まじ天才」 ダイソーグッズの“じゃない”使い方が「目から鱗すぎ」と反響
  7. もう笑うしかない Windowsのブルースクリーン多発でオフィス中“真っ青”になった海外の光景がもはや楽しそう
  8. アジサイを挿し木から育て、4年後…… 息を飲む圧巻の花付きに「何回見ても素晴らしい」「こんな風に育ててみたい!」
  9. スズメの首は、実は……? 「心臓止まりそうでした」「これは……びっくり!」“真実の姿”に驚愕の声
  10. 【今日の計算】「8×8÷8÷8」を計算せよ
先月の総合アクセスTOP10
  1. 18÷0=? 小3の算数プリントが不可解な出題で物議「割れませんよね?」「“答えなし”では?」
  2. 日本人ならなぜかスラスラ読めてしまう字が“300万再生超え” 「輪ゴム」みたいなのに「カメラが引いたら一気に分かる」と感動の声
  3. 「最初から最後まで全ての瞬間がアウト」 Mrs. GREEN APPLE、コカ・コーラとのタイアップ曲に物議 「誰かこれを止める人いなかったのか」
  4. 「値段を三度見くらいした」 ハードオフに38万5000円で売っていた“予想外の商品”に思わず目を疑う
  5. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  6. かわいすぎる卓球女子の最新ショットが730万回表示の大反響 「だれや……この透明感あふれる卓球天使は」「AIじゃん」
  7. 「これはさすがに……」 キャッシュレス推進“ピクトグラム”コンクールに疑問の声相次ぐ…… 主催者の見解は
  8. 天皇皇后両陛下の英国訪問、カミラ王妃の“日本製バッグ”に注目 皇后陛下が贈ったもの
  9. 「この家おかしい」と投稿された“家の図面”が111万表示 本当ならばおそろしい“状態”に「パッと見だと気付けない」「なにこれ……」
  10. 和菓子屋の店主、バイトに難題“はさみ菊”を切らせてみたら…… 282万表示を集めた衝撃のセンスに「すごすぎんか」「天才!?」